世界一価値のある”石”!?

 「石=stone」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。近所の公園に落ちている石ころ、川辺で面白い形へと削られた石、あるいは、石が綺麗に陳列された骨董品ショップを思い浮かべるかもしれない。

 しかし、ここで紹介するのはそのような石ではない。イギリスの由緒ある博物館で大切に保管され、私たちが決して直接触れることのできない石、その通り、ロゼッタストーンである。

 

 ロゼッタストーンとは、アレクサンドリア(現在のエジプト第二の都市)近郊のラシードという町で発見された石碑である。古代プトレマイオス朝(前304〜前30年に存在したギリシャ系の王朝)の国王であったプトレマイオス5世をたたえた紀元前196年の碑文で、文字が刻印されている面は3段に分かれている。

 上から神聖文字(ヒエログリフ)民用文字(デモティック)ギリシア文字が刻まれている。神聖文字は絵文字から発達して生まれたエジプト最初の文字であり、民用文字はそれを民衆用に簡略化した書体のことである。

 また、ギリシア文字が刻まれているのは、プトレマイオス朝がギリシア系のヘレニズム諸国の一つであったためである。

 

 1799年、ナポレオンのエジプト遠征中に、参謀ブーシャールと兵士たちが作業をしていた際、黒い大きな岩に絵文字が刻まれているのを見つけた。ロゼッタという名前は、ラシードをヨーロッパ人がロゼッタと呼んでいたことに由来する。

 

 発見後、ヨーロッパ諸国の学者たちが上段に刻まれたヒエログリフの解読にあたった。しかし、ヒエログリフの大部分が破損しており解読は難航した。

 その理由の一つは、学者たちがヒエログリフを表意文字(一つ一つの文字がそれぞれ一定の意味を表す文字)だと認識して解読を図ったためである。

 そんな中、初めて解読に成功したのはフランスのエジプト学者、シャンポリオンである。彼はヘブライ語、アラビア語、シリア語、コプト語を学び、ナポレオンのエジプト遠征によって古代エジプトに関する研究に着手した。

 

 1822年、シャンポリオンはヒエログリフは表意文字ではなく表音文字(一つの文字が音と結びついて意味を表す文字)であると仮定し、コプト語(古代エジプトの言語)の知識を活かして解読に至った。

 

 ロゼッタストーンは1801年のアレクサンドリアでのフランス軍敗北によってエジプトに引き渡され、約200年後の現在もイギリスの大英博物館で保管されている。

 

rosetta-stone-1958394_640 (2).jpg

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中