キーワード解説:「憲法改正」
今回は、「憲法改正」について簡単に解説します。
最近のニュースは「新型コロナウイルス」で持ちきりのため耳にする機会が減ったかもしれませんが、「憲法改正」は2012年の安倍政権(〜2020年)発足以来、議論が活発になっている話題です。
まずは、なぜ「憲法改正」という言葉がここ数年でニュースに急浮上したのか解説していきましょう。
なぜ憲法改正の議論がされているの?
日本国憲法は1947年に施行され、以来その文言が1度も変えられることなく現在に至ります。
「1947年」は太平洋戦争で日本が敗戦してから2年後です。
それから73年(2020年現在)が経過し、世界情勢は大きく変化しました。
「現在もしくは将来の有事の際に、果たして70年前のルールに則って正しく対応できるのだろうか」
この疑問から「憲法改正」が唱えられているのです。
※かつて憲法改正が議論になったこともありますが、今回は2010年代~現在までの憲法改正についての解説です。
具体的にはどこがどう変わるの?~自民党の改憲4項目~
では具体的に全103条の条文の中でどこが議論されているのか見ていきましょう。
2019年に自民党が草案を提出した憲法改正案を紹介します。
改憲4項目 ① 自衛隊を明記する(憲法9条2項)
日本国憲法9条1項では「戦争の放棄」を、2項では「戦力の不保持、交戦権の否認」をそれぞれ定めています。
自衛隊は「戦力ではないのか」という問題や、「自衛」は同盟国が攻撃された場合にも発動されるのか(集団的自衛権)という問題がが浮上したことから、憲法9条の改憲が議論されています。
改憲4項目 ② 参議院銀選挙での「合区」を解消する
「法の下の平等」から、1票の格差をなくすべきだと憲法では定められています。
そのため、2016年の参議院議員選挙では鳥取と島根、徳島と高知を「合区」として1つにまとめられました。
これに対して自民党は「地方の国民が自分の自治体から代表者を選ぶ権利を奪っている」と主張し、憲法で新たに定め合区を解消しようと動いています。
改憲4項目 ③ 緊急事態条項
「緊急事態条項」とは、疫病の蔓延や大災害時、テロの発生などの有事によって国会が機能しなくなった際、一時的に政府の権限を強めることを定めるものです。
また、有事に任期が満了する場合、選挙を行えないと判断されれば自動的にその任期が延長されることも定めようとしています。
これについては「国を揺るがす緊急事態時に政府が素早く決断できるシステムがあることで、国の運営を保つことができる」という賛成意見があります。
一方で、「政府の権限が強まることで国民の人権が侵害されないか」という懸念もあがっています。
改憲4項目 ④ 教育の無償化
憲法26条は「教育を受ける権利」を定めています。
「格差による教育機会の均等が揺るがないよう国が務めなければならないこと」を憲法に定めようというのです。
最後に
自民党と日本維新の会は改憲に賛成、他の政党や派閥も「賛成」「反対」「部分的には賛成」など、難しい議論なのです。
日本国憲法は1947年に施行されて以来73年間、一度も改正されていません。
その事実だけでも、「改憲するか否か」はいかに重要な問題であることがわかると思います。
私たち国民が主権を持つ日本国憲法です。
自民党政権が続く中で、コロナウイルスがひと段落すればこの議論は再びトップニュースとなるでしょう。