キーワード解説:BRICs
新興国の市場は2012年には世界経済の50%を超えるなど、伸長を続けています。その代表格がブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの各国の頭文字を取ったBRICsです。それら各国の経済がどのように発展してきたのか。新興国の台頭と世界経済の今後についても解説していきす。
・新興国とは先進国と比べ発展途上ではあるものの、条件を満たせば高い成長が見込めると言われている国家の事
・先進国の中でも最先端を走っている国として挙げられるのがBRICs。ブラジル(Brazil),ロシア(Russia),インド(India),中国(China),南アフリカ(South Africa)の英語の頭文字を取ったものです。
*この言葉は、ゴールドマンサックスが作成したレポート内で使用され、以降新興国を表す言葉として浸透しています
・2050年にはBRICsの4カ国が世界のGDPで上位6カ国に入る可能性があると言われています。
そもそも新興国って?
新興国とは、日本や欧米などの先進国に比べ、経済発展が遅れているものの、近年政治・経済・軍事などの様々な面において急速に発展しつつある諸国の事です。主に、中南米、東南アジア、中東、東欧などの国々を指し、特定の条件を満たせば高い成長が見込めると言われています。
新興国の将来性と注目度
新興国はまず始めにビジネスや株式などの市場で注目されるようになりました。
中国のような新興国は輸出して外貨(外国のお金)を獲得する事によって経済拡大を始め、世界経済に対するシェアは1980年代には30%・2012年には53%にまで拡大しました。
これにつれて2000年代半ばには、新興国の代表格であるBRICsに注目が集まるようになり、BRICs諸国を取り上げるマスコミの報道や書籍が目立つようになります。
代表的な新興国BRICsの国一覧
BRICsとは、新興国の中でも特に先端を走っている国々を表し、ブラジル(Brazil)・ロシア(Russia)・インド(India)・中国(China)・南アフリカ(South Africa)の英語の頭文字を取ったものです。
ブラジル
ブラジルは、日本の真裏にある南米最大の国家です。
鉄鉱石などの豊富な天然資源を持ち、世界有数の農業大国としてコーヒーやカカオの生産で有名であるなど、近年注目度が高まっている国家です。また、自動車生産など製造業での強みも確立しています。
ここ数十年ブラジルは人口や国土の割には低成長であると言われてきました。そこで2019年1月に誕生したブラジルのトランプと言われるボルソナロ大統領は新自由主義的な経済政策を実行。新型コロナ感染拡大前は緩やかな成長を果たしていました。ブラジルの成長はこれらの経済政策成否にかかっているでしょう。
ロシア
ロシアは、世界最大の国土を持つユーラシア大陸北部の国家です。
ロシアの強みは豊富な資源であり、その広大な領土には、石油やガスを初めとしてダイヤモンド、ニッケル、石炭、金などの多様な資源で世界有数の生産量を誇っています。しかしながら長年、国や企業、家計が投資に回す比率である投資率が低く、なかなか生活水準が他の先進国に追いつかないという問題も抱えています。
景気は、2000年前後はアジア通貨危機や財政悪化により低迷状態でしたが、その後成長を続け緩やかな成長基調にあります。2017年にはヨーロッパ5番目の経済規模となっています。
インド
インドは、南アジア最大の国土と世界第2位の人口を有している国家です。
90年代以降成長を続け、世界で6番目の経済規模を持っています。インドでは労働力の3分の2が何らかの形で農業に携わっている一方、IT産業の伸びが凄まじい事が特徴として挙げられます。
インド南部にあるバンガロールはIT産業の中心都市として「インドのシリコンバレー」と呼ばれるまでになりました。
中国
中国は、東アジアにある世界一人口の多い国家です。
1970年代まで立ち遅れていた経済発展も鄧小平の「改革開放」を皮切りに伸び続け、2005年には世界のGDPに占める割合が5%だったものが2018年には16%となっています。2010年に日本を抜き世界第二位の経済大国となった事は世界的なスクープとなりました。
中国経済の伸びはまさに海外からの投資によって支えられており、2003年には世界第2位の投資受け入れ国としてアメリカを抜いき、こうした投資により中国の経済、特に対外的な輸出がここ数十年年伸び続けています。
中国の外貨準備高(直ちに利用可能な対外資産)は世界第一位となっており、海外輸出の伸びによって稼いだ資産が積み上がっている証しだと言えます。
現在の先進国経済には、もはや中国の存在は不可欠となっており、今後の成長も期待できます。
南アフリカ
南アフリカは、南アフリカ大陸にある地域大国であり、アフリカ最大の経済大国です。
南アフリカの経済発展はインフラ整備が大きく寄与しており、1994年のアパルトヘイト撤廃によって黒人が土地を所有するようになり、2010年のワールドカップに向けた整備として経済効果4700億円が生まれています。
しかし、南アフリカでは長年エイズの流行に悩まされており、平均寿命が低い水準に止まっていました。
治安の悪さも社会問題となっており、特に強姦の件数が高く、南アフリカの男性の4人に1人を超える割合が、「過去に成人女性または少女をレイプしたことがある」と回答するという調査結果もあるくらいでした。ただ、強姦件数は近年減少にあり、エイズの死者数の減少により平均寿命も上昇するなど今後の治安や保健分野での伸長が望まれます。
これからの新興国について
BRICsの各国は2006年の時点で世界の国土の29.2%、そして人口では42.7%を占めており、圧倒的な比重を持っており、GDPの世界経済での割合では30.2%と既にアメリカやEUを上回っています。今後も世界的な地位や存在感は高まっていくと見られます。
また、BRICsに次いで高い潜在力を持っているとされている。NEXT11(日本ではN11と言われる事が多い)も台頭しており、2030年ごろにはEUの経済規模を上回ると予想されています。具体的にはイラン、インドネシア、エジプト、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、韓国の各国です。
BRICsやN11や初めとした新興国の台頭に世界は注目しています。