キーワード解説:メンタルヘルスケア
ストレス社会を生きる中でどのように向き合って行きてゆくべきなのでしょうか。
最近よく聞くキーワード「メンタルヘルスケア」を解説します。
メンタルヘルスケアとは
メンタルヘルスとは、精神面での健康状態を指します。
精神面と身体面は密接にかかわっていて、精神的な不調は身体に影響します。
同時に、身体の不調は精神にも影響を及ぼします。
メンタルヘルスケアを行うことで、職場において本人がもっとも高いパフォーマンスを発揮することができます。
逆に、強いストレスを受けるとメンタルヘルスは低下する関係にあります。
メンタルヘルスケアは個人が個人的にケアを受けるという訳ではなく、企業側が積極的に従業員のケアを行っていくべき問題なのです。
メンタルヘルスの意義
働く人の約6割が仕事で強いストレスや不安を感じているといわれています。
精神的な理由で1カ月以上休業や退職した方のいる事業所は8.1%にのぼります。
メンタルヘルスへの悪影響は、生産性の低下だけでなく事故を引き起こし得ることです。
危険性があり、職場におけるメンタルヘルス対策は大きな課題となっています。
メンタルヘルスケアを実践する意義として次の3つが挙げられます。
①生産性の低下防止
精神面が不調になると、仕事への意欲が低下します。
重要な決定事項が判断できなくなったり、仕事をこなすスピードが目に見えて遅くなったりと、本来のパフォーマンスが維持できなくなります。
最悪の場合は自殺や離職につながることもあます。
メンタルヘルスケアを実践することで、労働者自身によるストレスへの気づきのノウハウを身につけること、メンタルヘルス不調を早期発見・早期対処できることで、これらの発生や悪化を防止できます。
②生産性の向上
メンタルヘルスケアはメンタルが不調になった人のみに施すものではありません。
精神的な不調に陥った人だけでなく、社員全員や組織を対象として職場環境改善を行ったり、組織開発を行ったりすることは、社員の労働生活の質を高め、ワークモチベーションを維持し、生産性や活力の向上につながります。
ストレスがよりフリーになり、仕事に対して意欲的に臨むことができるので、より生産性が向上します。
③リスクマネジメント
精神的な不調に陥ると、集中力や注意力の低下による事故・トラブルにつながります。
特に公共の交通機関やクレーンなどの運転を行う場合は、本人だけでなく、周囲の安全と健康も脅かしかねません。
トラブルが起きてしまうと更に精神的に追い詰めてしまう要因になります。
また、企業がメンタルヘルスケア対応が不適切だったために、不調を悪化させてしまった場合、労災請求や民事訴訟につながる場合もあります。
これらのトラブルを防止するためにも、メンタルヘルスケアを適切に実践していくことが大切です。
どのようにケアする?
メンタルヘルスケアは以下のように進めていきます。
①メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供
社員に対する教育の場や情報を提供する事によって、ストレスへの気づきやその対処方法について学びます。
また、色々な窓口や、相談できるコミュニティを作り出すことで、最悪の事態を免れるような体制を作ります。
②職場環境などの把握
働く人がストレスを感じる職場環境には、職場の空調や照明、広さといった物理的環境があります。
作業レイアウトや職場組織、情報の流れ方、労働時間、求められる作業量や責任など多岐に渡ります。
③メンタルヘルス不調への気づきと対応
上司などは職場環境などの問題点を把握して改善する役割を担うほか、部下からの相談に対応する必要があります。
部下に対する気づきが、早期発見や早期予防に繋がります。
④職場復帰における支援
メンタルが不調になり、職場を休みがちになる人には、しっかりとした職場復帰プログラムが必要になります。
休業から復職までの道筋や対応する手順、内容や関係者の役割などを示したルール「職場復帰支援プログラム」の策定が必要となります。
まとめ
業務上の心理的負荷が原因で精神障害を発症した、あるいは自殺したとして労災が認定された件数は近年、増加傾向にあります。
ストレスは現代社会において切っても切れない関係です。
「自分は大丈夫」とは思わず、1人1人ストレスへ向き合っていくことが重要です。