【難民問題】国際問題の原因や現状、ドイツや日本の例を解説

世界には7,950万人難民がいます。
難民は主に近隣諸国で受け入れられていますが、ドイツをはじめとする先進国も積極的に受け入れています。
一方で、難民の受け入れに対する自国民の反対の声もあり、難しい国際問題となっているのです。

キーワード解説:難民問題

難民とは?

難民とは、紛争、宗教、人種、政治などの要因で迫害を受け、生命の危機に晒されていて他国に逃れざるを得ない人のことです。

1951年に採択された難民条約によって定義されています。

難民の地位に関する1951年の条約(UNHCR 日本)

世界の難問の現状とその数

2019年末時点で、自分の故郷を追われた難民は7,950万人いるとされています。

難民はどこの国で発生し、どこの国で受け入れられているのでしょうか。

難民の出身国

2019年難民の出身国人数
1位シリア660万人
2位ベネズエラ370万人
3位アフガニスタン270万人
4位南スーダン220万人
5位ミャンマー110万人

現在、難民が最も多い国はシリアです。

数年前、イスラム国(ISIS)によるテロ活動や内戦によって国を追われてしまったシリア難民のニュースが連日報道されていました。

2番目に難民が多い国は南米のベネズエラです。

政治情勢が不安定となり、急速なインフレが進んでおり経済が回らず国民が困窮しています。

不安を感じた国民が暴徒化し治安の維持もままならず、なくなく国を捨てる人々が増えているのです。

最大の受け入れ国

では、多くの難民を受け入れている国はどこなのでしょうか。

2019年難民の受け入れ国人数
1位トルコ360万人
2位コロンビア180万人
3位パキスタン140万人
3位ウガンダ140万人
5位ドイツ110万人

必ずしも当てはまるわけではないですが、難民が多く発生している国の周辺国は難民の流入が多い傾向があります。

難民を最も多く受け入れている国はトルコです。

周辺の中東諸国の政情が安定していないことから多くの人々が押し寄せ、シリア難民を中心に多くの難民を受け入れています。

次に多くの難民を受け入れているのは南米コロンビアです。

こちらも、隣接するベネズエラの人々が国境を超えてくることが要因としてあげられます。

数字で見る難民情勢(2019年)(UNHCR 日本)
ベネズエラ難民が抱える問題について考えよう(World Vision)

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難民に対する先進国の受け入れ

難民を積極的に受け入れているトルコやコロンビアですが、ともに途上国です。

先進国の難民の受け入れの現状をみていきましょう。

ドイツは難民の受け入れに積極的

ドイツは多くの難民を受け入れており、特に2015年以降シリア難民の受け入れに積極的です。

ドイツは、第二次世界大戦中にユダヤ人を迫害したことへの反省から「あらゆる人種を受け入れる」という文化が強く根付いています。

メルケル首相がシリア難民を全員受け入れると発言したことは話題を呼び、多くの人々が中東からヨーロッパの西側にあるドイツを目指しました。

また、移民国家であるドイツはあらゆる出自を持った移民もドイツ社会へ参加してもらおうと積極的です。

難民申請者はドイツ語教育や職業訓練を受けることが可能です。

さらに、難民として不認定となっても職業訓練を通して永住資格を取れる可能性もあるのです。

日本国内の難民の数は?

日本は難民の認定に非常に厳格な体制をとっています。

2016年には1万人以上の難民申請があったものの、認定されたのは28人でした。

日本はアジアの外れにある島国ということもあり、まずやってくることが地理的に困難です。

加えて多民族国家ではないため国民のほとんどが日本語を話しています。(私たちにとっては当たり前かもしれませんが、世界的には珍しいんですよ)

言語の壁は難民たちにとってとても大きいようです。

また、出稼ぎ目的や偽装難民が難民が日本に在留することを防ぐことを目的として日本は厳格な審査をしているのです。

そのため、日本の難民認定率は0.2~0.4%ほどです。

ドイツおよび日本における難民問題について(JFTC MONTHLY ONLINE)
難民認定率、日本はたった0.2%。日本が難民受け入れに厳しい理由とは(gooddo)

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なぜ難民の受け入れに賛否が分かれるのか

難民の受け入れに対し、どこの国でも賛成派と反対派がいるのが現状です。

難民の積極的受け入れに賛成の人々は、同じ人間なのだから、人種や民族など様々なバックグラウンドを持った人々がお互いに助け合うべきだと主張します。

加えて、諸外国からの難民を受け入れることで国際的な貢献も出来ます。

難民によって多様性が生まれ新たな文化の創出が期待できることや、人口や労働力の増加は国にとって経済の発展につながることは事実です。

一方で、過度な難民の受け入れに反対する人々もいます。

難民を受け入れることで雇用が奪われるという不安の声があがっています。

安い労働力で働く人々の流入によって、もともといた国民の生活が不安定になるなら反対するのは無理もないことかもしれません。

また、民族的、宗教的な違いも不安の要因となっています。

2015年に大量の難民が押し寄せたハンガリーは、国境を封鎖しました。

さらに、チェコやスロバキア、ポーランドなどの東欧諸国は難民の受け入れに消極的な姿勢を示していました。

これは財政負担への懸念だけでなく、キリスト教社会にイスラム教が入り込んでくることで自分の国、自分の民族のアイデンティティが失われるのではないかという不安からでした。

なぜハンガリーは難民を拒むか(世界日報)
難民は本当に負担?:知られざる好影響とは(GNV)

まとめ

世界には8,000万人近くの難民がいます。世界人口のおよそ1%にあたる数です。

国を追われるということはどういうことなのか、先進国に暮らしている私たちには想像もできないことかもしれません。

しかし、世界の100人に1人は家を捨て、故郷を捨て、国を捨てて言葉も土地もわからない外国で生き延びる術を探しているのです。

【TPP】環太平洋パートナーシップ協定とは〜加盟国や問題点は?〜

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は関税の撤廃を通して自由貿易の拡大を目指す経済協定です。
日本国内ではTPP参加に対して賛成派と反対派が二分しました。
この協定の対象は、工業製品食料品に限らず医療品医薬品にまで及びます。

キーワード解説:TPP(環太平洋パートナーシップ協定)

TPPとは

TPPは太平洋地域における経済連携協定です。正式名称は環太平洋パートナーシップ協定といいます。
太平洋沿岸の国々の間で関税の撤廃などを行い貿易の拡大を促すとともに、人の移動や知的財産の保護といった規制緩和を行うことで、巨大な自由貿易の経済圏を作ることが目的です。

TPPはもともと12カ国で構成されていましたが、アメリカが離脱したため参加国は11カ国となりました。

アメリカが離脱する前のTPPと区別するため、現在はTPP11あるいはCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)と呼ばれます。

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)とは|わかりやすく簡単に解説!メリット・デメリットがわかる (winfreedom.jp)

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TPP参加国

2020年11月現在のTPP参加国は11ヶ国です。

TPP加盟国 一覧

・オーストラリア
・カナダ
・シンガポール
・チリ
・日本
・ニュージーランド
・ブルネイ
・ベトナム
・ペルー
・マレーシア
・メキシコ

TPPがこの11カ国になるまでには紆余曲折がありました。

TPPの原点はシンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイによる経済連携協定である環太平洋戦略的経済連携協定です。

この枠組みを拡大させる形でTPPの交渉が始まり、2010年にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアが交渉に参加し、2012年にはカナダとメキシコが新たに参加しました。

日本は2010年から参加を検討していましたが、賛否をめぐる国内世論が真っ二つに割れていたこともありなかなか参加に踏み切れませんでした。

しかし、自民党安倍晋三政権の下で2013年に交渉に参加しました。

その後TPP交渉は12カ国で進められ2016年に協定への署名が行われましたが、2017年に就任したアメリカのトランプ大統領が離脱を表明し現在の11カ国になりました。

TPPとアメリカ〜バイデン勝利でTPP参加?〜

TPP参加国の中で人口、経済的な規模が抜群に大きいアメリカの離脱は他の参加国にとって痛手でした。

2020年のアメリカ大統領選挙の結果次第では流れが変わる可能性があります。

バイデン氏は大統領選において再交渉の上でTPPに復帰する可能性を示唆していました。

一方で世論や党内の反対から復帰に否定的という見方もあります。

TPPにアメリカが戻ってきて再び12カ国に戻るかどうか、来年誕生する新大統領の動きに注目です。

バイデン氏、米大統領選で雇用最優先 TPP再交渉も: 日本経済新聞 (nikkei.com)

TPP参加のメリット、デメリットは?

日本のTPP参加について、国内では賛否がわかれました。国内では主に製造業が賛成、農業関係者は反対を表明していました。

TPP参加のメリット

TPPのメリットは、関税の撤廃によって日本で生産された製品を他国に安く輸出できるようになることです。

製造業など海外へ多くの製品を輸出する企業に恩恵をもたらします。

また、他国の製品を安く輸入できるようになるため、消費者はオーストラリアやニュージーランドの農産品やチリのワインなど、輸入製品を安く購入できるようになります。

関税撤廃に加え規制緩和も行われるため日本企業が海外への進出や投資を行いやすくなります。

さらにTPP加盟国を合わせるとアメリカ抜きでも世界のGDPの12.9%、貿易額の14.9%を占める経済圏が生まれるため市場の拡大も期待できます。

TPPデメリット

TPPのデメリットは関税撤廃により外国産の食料品など安価な製品が流入し、国内の農業にダメージが出る可能性があることです。

国内の農業が衰退し、食料自給率の低下につながるかもしれません。

遺伝子組み換え食品の規制緩和などにより食の安全が脅かされるとの声もあがっています。

遺伝子組み換え食品を巡る規制や考え方は国にって異なるため、各国の目線あわせが重要です。

また、医療保険制度の自由化により日本が守ってきた国民皆保険制度が崩れてしまうという懸念もあります。

TPPとは?TPPのメリット・デメリットをわかりやすく解説 – 【とはサーチ】 (toha-search.com)
TPP発効で日本のメリットデメリットは?わかりやすく解説 | 【英国発】news from nowhere (1ovely.com)

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まとめ

TPPは貿易などの企業活動のみならず、食料品の価格や医療など私たちの生活にも様々な影響を及ぼします。

現在のTPP加盟国の中で最大のGDPを誇る日本がTPPを巡る国際的な議論をリードできるかどうかが重要なポイントです。

また、TPPは今後、アメリカの復帰の可能性に加えて中国韓国タイなど新たに参加を検討している国もあります。

私たちにとって身近なTPPという国際的な枠組みが今後どのような形で進展していくのか、その行方から目が離せません。

【京都議定書】温室効果ガス削減目標を定めた国際条約を解説

キーワード解説:京都議定書

京都議定書は、1997年に採択された気候変動に対する世界的な取り組みのための国際条約です。
先進国のみが対象であったことや大国アメリカが離脱したことなど様々な問題がありましたが、環境問題について世界が考えることを広く促す意義のある条約でした。

京都議定書とは

京都議定書は、1997年の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された気候変動(地球温暖化)に対する取り組みのための国際条約です。

国際会議が京都で開催されたことからこの条約を京都議定書と呼んでいます。

世界で初めて条約批准国の具体的な数値(削減目標)に言及し、採択された条約でした。

以後、京都議定書に関する具体的なルールについての交渉が行われました。

8年後の2005年2月16日に発効しました。

京都議定書とは?合意内容とその後について(WWF)
「京都議定書」とは(京都府 公式サイト)
京都議定書(JCCCA)

京都議定書の発効

京都議定書が採択されるまでに至った経緯とその内容を見ていきましょう。

当時の環境と成立に至るまで

第二次世界大戦後、先進国では経済復興、経済発展が進ました。

1972年、ローマクラブ「成長の限界」を発表し、このままの発展の仕方では地球環境に影響を及ぼし、環境汚染が手遅れの状況に陥ると継承を鳴らします。

1980年代には地球温暖化オゾン層の破壊も問題となり、国際的なルール作りへの動きが活発化しました。

先進国を中心に世界中で環境問題に関する話題がフォーカスされていきます。

1992年にリオデジャネイロで行われた地球サミットで、気候変動枠組条約が採択されました。

155カ国が署名したこの条約は温室効果ガスを削減するための一般的な義務を定めたものでした。

この気候変動枠組条約の具体的な各国の義務は、締約国会議(COP)で別の条約作って定めようというシステムです。

1995年ベルリンでCOP1、1996年ジュネーブでCOP2が開催され、翌年のCOP3で京都議定書が採択されたのです。

京都議定書の内容

京都議定書は、先進国に対して温室効果ガスの削減目標を定めたものです。

ここでの温室効果ガスは以下の6種類です。

・二酸化炭素(CO2)
・メタン(CH4)
・六ふっ化硫黄(SF6)
・一酸化二窒素(亜酸化窒素)(N2O)
・パーフルオロカーボン(PFC)
・ハイドロフルオロカーボン(HFC)

2008~2012年の第1約束期間内で基準年となる1990年比で「先進国全体で5%」の削減を約束しました。

日本はこの期間内に6%の削減を宣言し、達成しています。

環境問題の概要
京都議定書(Sustainable Japan)

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失敗に終わった?京都議定書の意義

京都議定書はたびたび失敗だったと言われています。

まず、温室効果ガスの削減目標は先進国のみで発展途上国にはルールを課しませんでした。

当時世界的にも省エネが進んでいた日本に「6%」という削減目標が課されたのです。

さらに、先進国だけが温室効果ガスの削減を強制されることへの不満を持ったアメリカは2001年に離脱してしまいました。

それに対し発展途上国からも「先進国は環境を荒らしながら発展してきたのに、これから発展する途上国はそれを妨げられなければならないのか」という不満の声があがりました。

一度は決裂しかけた京都議定書でしたが、各国は諦めず積極的な呼びかけをしました。

2004年にロシアが批准したことで国際条約として効力を持つものとなり、翌年発効に至ります。

ところが、2000年代後半は「発展途上国」として免除されていた中国やインドが急激な経済成長期に入っており、大量の温室効果ガスを排出していました。

2013年以降の削減目標については白紙のままであったこともあり先進国と発展途上国の間で溝を生むことにもなったのです。

このように問題点はありましたが「数値を含んだ上での国際条約」が締結されたことは大変意義深いものでした。

また、世界中が環境問題について当たり前のように考える社会を作ったという点においても意義のある条約だったと言えます。

京都議定書とは?合意内容とその後について(WWF)

ポスト京都議定書

先述の2008年~2012年の京都議定書「第一約束期間」以降の体制の問題点をポスト京都議定書と呼んでいます。

2005年のCOP11以降、2013年からの取り組みについての話し合いが行わていきました。

結論が出たのは2010年、COP16でのカンクン合意の採択でのことです。

この合意により日本は「2020年までに2005年比で排出量を3.8%削減すること」を宣言しました。

そして2015年に開かれたCOP21で2020年以降の温室効果ガスの削減に関するパリ協定が採択されました。

パリ協定を巡っても、トランプ大統領がアメリカの離脱を表明するなど足並みが揃わない問題はあります。

京都議定書の後継となったパリ協定は、今後も続く地球環境問題の議論での中心となるキーワードでしょう。

今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~(経済産業省 資源エネルギー庁)

【PKOとは】国連平和維持活動の具体例や問題点を解説

キーワード解説:PKO

PKOは、世界の平和を守るための活動です。
日本も1992年にPKO協力法を制定し、国際的な活動を積極的に行ってきました。
近年は、安保法制憲法9条との兼ね合いなど、新たな議論を呼んでいます。

キーワード解説:PKO(国際平和維持活動)

PKOとは

PKOの正式名称は国連平和維持活動(United Nations Peacekeeping Operations)です。

世界各地で起きている紛争の防止や紛争の対処をするため、紛争地域を監視、復興援助をする活動のことです。

東西冷戦中に多発した紛争を解決する目的で、紛争地帯に出向いて停戦合意を促し、当事者の復興をはじめとする経済援助をしてきました。

冷戦終結後は世界情勢が目まぐるしく変わり、対立構造も複雑化しました。

それに伴って国連PKOの役割も増えこれまでは国家間の紛争であったものが内戦の解決、これまで以上の人道支援等、多岐に渡ります。

PKOってなに?(国際貢献)
国連平和維持活動(PKO:Peacekeeping Operations)(外務省)

日本におけるPKOの派遣事例

国際的な活動に協力するため、日本は1992年にPKO協力法を制定し自衛隊を派遣しています。

PKO協力法成立以降、日本は国連PKOの活動に自衛隊を13回派遣しています。

派遣期間派遣先国名称
1992年アンゴラアンゴラ国際平和協力業務
1992年~1993年カンボジアカンボジア国際平和協力業務
1993年~1995年モザンビークモザンビーク国際平和協力業務
1994年エルサルバドルエルサルバドル国際平和協力業務
1996年~2013年2月イスラエル、シリア、レバノンゴラン高原国際平和協力業務
1999年インドネシア東ティモール国際平和協力業務
2002年~2004年東ティモール東ティモール国際平和協力業務
2007年東ティモール東ティモール国際平和協力業務
2007年~2011年2月ネパールネパール国際平和協力業務
2008年~2011年9月スーダンスーダン国際平和協力業務
2010年~2013年2月ハイチハイチ国際平和協力業務
2010年~2012年9月東ティモール東ティモール国際平和協力業務
2011年~2017年5月南スーダン南スーダン国際平和協力業務

PKO協力法に基づき人員が初めて派遣されたのは、1992年9月のアンゴラ国際平和協力業務でした。

アンゴラで行われた国会議員選挙、大統領選挙が公正かつ円滑に進むよう、選挙を監視するための人員3名が派遣されました。

投票所の巡回、不正の防止を監視しました。

この派遣を皮切りに、日本は25年以上国際平和のために人員を派遣しているのです。

PKO協力法(コトバンク)
我が国の国際平和協力業務の実績(内閣府)
アンゴラ国際平和協力業務(1992(平成4)年)(内閣府)

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南スーダン派遣にみるPKOの問題点 

国際的な平和維持活動に努めるPKOですが、日本ではいくつかの問題点が議論されています。

憲法9条に反する可能性

日本は南スーダンへのPKO部隊を2011年から派遣していました。

この派遣が後に国内で議論を呼ぶものとなったのです。

南スーダンでは、2013年12月から大統領派と反大統領派の内戦が続いていました。

PKO部隊を統括するUNMISS(国連南スーダン派遣団)が南スーダン軍との戦闘となる可能性が浮上したのです。

南スーダンへ派遣される自衛隊はUNMISSの指揮下に入るため、南スーダンとの交戦、あるいは戦闘に巻き込まれる可能性があったのです。

憲法9条で日本は交戦権を否定しているため「これは憲法違反になるのではないか」という議論が巻き起こりました。

PKO協力法に抵触する可能性

日本はPKO協力法の5原則を定めています。

これは、国連PKOに派遣された日本人の現地での安全を確保するためのものです。

1,紛争当事者間で停戦合意がある
2,受入国と紛争当事者の同意がある
3,中立的立場を厳守する
4,以上のいずれかが満たされなくなった場合は即時撤収・撤退する
5,武器使用は要員の生命保護など必要最小限が基本である

2016年の戦闘では民間人も含めた死亡者が300人を超え、さらには中国軍から派遣されたPKO部隊にも死者が出ました。

これが5原則の1と4に抵触していると批判されています。

さらには、2015年7月に可決された安保法案と5原則の矛盾も物議を醸しました。

法案の可決によって可能になった「駆け付け警護」は中立的立場の維持を定めた5原則の3に反する恐れがあるとの批判が噴出したのです。

一方で、PKO協力法の制定から25年間で日本を取り巻く世界情勢が変わったことから「成立した安保法制に合わせたPKO協力法の改正が必要」との意見もあります。

南スーダン自衛隊PKO派遣の問題点まとめ&対案としてすべきこと(YAHHO!ニュース)
日本のPKO 四半世紀の活動と変遷(nippon.com)

PKOは世界の平和を守る存在

今回はPKO(国連平和維持活動)を紹介しました。

日本では問題点もたびたび取り上げられていますが、世界の平和を守るための活動です。

また、「日本のPKO協力法が時代にあったものなのか」という新たな議論もなされています。

派遣された日本人を守ること、同盟諸国との足並みを揃えること、これらを両立するための仕組みづくりは今後も話題となりそうです。

【国連サミットで採択】SDGsの「自分ごと化」

フィリピンの経験から伝えたいSDGsとは何か

SDGsを知っていますか?

皆さんはSDGsという言葉を聞いたことはありますか?
SDGsジャーナルによると、トルコ、中国では90%以上の人がSDGsを「聞いたことがある」と回答してるのに対し、日本では49%ととても低い結果となっています。
世界28か国の平均は74%で、日本は28か国中28位とまだまだSDGsの認知率が低いことが分かります。

 

SDGsを聞いたことがある!と答えた人の中には「知ってはいるけどよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。

SDGsとは Sustainable Development Goals の略で日本語に訳すと持続可能な開発目標となります。2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人として取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

例えば1の貧困をなくそうというゴールでは
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
といった具体的な目標が掲げられています。

遠い存在のように感じていた国際問題

SDGsという言葉を聞いても、貧困の現状を知っても、どこか他人事であるような。そんな感覚でいる人もいると思います。
私も少し前まではそうでした。
貧困や紛争の悲惨な現状を知っても自分とは遠い問題のような気がして、具体的に何をしたらよいかもわからない。
改善するべきだということはわかっていても、突き動かされるような原動力がない。

フィリピンで見た景色

フィリピンのセブ島といえば、何を思い浮かべますか?

青い海と青い空ですか?
果物のジュースを飲みながらゆったりと過ごす南国リゾートのイメージですか?

私が見たものはそんな日本のガイドブックから作られるようなイメージとはかけ離れたものでした。
ショッピングモールが並ぶダウンタウン。
きれいに整備された内装とは異なり、その周辺を取り巻くのはゴミや油などが浮いた水たまり、いたるところであらゆる異臭がします。
海にはプラスチックやレジ袋などのゴミが浮いていました。
また、フィリピンでは水道からでる水はそのまま飲めません。

フィリピンは日本より致死率が高く、現地で出会ったフィリピンの学生にも親しい人を亡くすという経験した人が多くいました。

フィリピンでデング熱などの病気が流行っているのは、気候のせいもあるかもしれませんが、衛生的な問題もあると思いました。

フィクションが現実になった瞬間

小さな子供にお金を要求された。

発展途上国に訪れた人から聞いたことがあるフレーズ。

別に嘘だとは思ってない。嘘だとは思ってないけど、どこかフィクションのお話であるような感覚でいました。
フィリピンで街を歩いている中でストリートチルドレンに遭遇しました。

でこぼこした道を裸足で歩いていました。
教会の前で一生懸命ものを売りつけてくる人に会いました。
道で募金箱をおいてうなだれているホームレスを見ました。
道で横たわっている子供を見ました。

この現状をたたきつけられて、簡単に受け入れるだけの器は私にはありませんでした。
頭を鈍器でたたかれて、脳震盪を起こしているような感覚でした。
お金をせがまれて、ここでお金を渡しても根本的なものは解決できません。

一体どうしたらよいのでしょうか。

自分ごと化

フィリピンから帰国してから思ったことは、買い物する際に、私が「レジ袋いらないです。」と言ったところで世界は変わらないだろうということです。

けど、もし100万人がレジ袋をいらないと言ったら世界は変わるかもしれません

だから1人でも多くの人に意識してもらいたいと思っています。

SDGsを達成するためにはより多くの人がSDGsについて考える必要があると思います。
どうしたら多くの人を巻き込めるのか。

なにか行動を起こすときに必要なのは原動力です。
原動力とは嬉しさ、楽しさ、わくわく、怒り、憎しみなどの感情から生まれます。
そう。人を動かす時には感情を動かすことがキーになるのです。
やらされてやるよりも進んでやるのでは当然熱量が変わってきます。

具体的にどう感情を動かすかというと
諸問題を自分のストーリーに組み込む
ようにすること。

自分の‟学校を創りたい“という夢も、
選択肢がなく、自分のやりたいことが出来なく、不自由さを感じながら過ごした高校時代の経験から来ています。

まさにこれこそ、問題を自分のストーリーに組み込むということに当てはまるのではないかと思っています。
選択肢がなく、人を標準化するという現代の教育の問題に不自由さを感じたということでこの問題を自分ごと化したというわけです。

自分ごと化
今の日本にとって、とても重要なキーワードであると私は感じています。

おわりに

フィリピンの学生はこの状況を打開するために必死で考えていました。
私も一緒に一生懸命考えます。

大きすぎる壁の前にどうしていいかわからず、
ただ突っ立っている状態だけど、私たちは動かなければならない。

2030年まであと10年。

新型コロナウイルスの流行により、ますます世界は厳しい状況になりました。
このペースでは間に合いません。

間違いなく言えることは、世界中全ての人がSDGsについて考えなければこのゴールは達成できない
ということです。

https://timetankcom.wordpress.com/2020/09/16/makeschool/