【選択的夫婦別姓とは】憲法との兼ね合いは?徹底解説

選択的夫婦別姓とは

選択的夫婦別姓」この言葉をご存知でしょうか。

現行の法制度では夫婦は男性側か女性側、どちらかの姓を名乗らなくてはいけないと決められています。

そのため法改正をして同姓にしても良いし、別姓にしても良いという選択肢を設ける事が夫婦別姓の考え方です。

女性の社会進出や働き方改革、「家族のあり方」が多様化したことにより、この選択的夫婦別姓も議論されるようになりました。

選択的夫婦別姓を認めるメリット

選択的夫婦別姓を認める事によるメリットがいくつかあります。

クレカや身分証の更新などの実務的なコストがなくなる

結婚すれば、どちらかが姓を変更する事になり、クレジットカードや身分証明などに登録されている名前を変更する必要があります。

「何を当たり前の事を」と思われるかもしれませんが、割かれる時間的なコストは計り知れません。

実際に、サイボウズ社長の青野さん(旧姓:現在戸籍上は奥様の姓である西端さん)は飛行機を取る際に通名であり旧姓の青野ではなく、実名の西端で予約を取るように伝える手間が生じると語っています。

これはもちろん、海外でホテルを取る時なども同様です。

社長業のように影響力が強くスケジュール管理を自身で行わない職業の場合、こうした時間コストは企業の生産性にも影響します。

ミスが発生したらキャンセル料や手数料を取られますし、当日発覚した場合はスケジュールに大幅修正を余儀なくされます。

個人的な単位では些細なコストかもしれませんが、日本全国で通名と実名を使い分けている人に「旧姓で取るように」と伝える時間コストやミスが発生するリスクが生じる事になります。

通名使用の人が仕事などの都合上実名から変えられない事を考えれば、日本全体にとってマイナスである事は言うまでもありません。

相続、親権等々(事実婚の場合)

では、実名変更の手間も生じずに夫婦別姓にするために、事実婚を選択した場合はどうなるでしょうか。

その場合、事実婚のデメリットがそのまま夫婦別姓ができないデメリットになります。

事実婚。いわゆる内縁の夫婦では相続が許されない事も多く、相続関係を証明するには認知が必要です。

さらに、子供の親権の問題では父親が圧倒的に弱くなり、控除など、夫婦であれば受けられる公的な制度も受けられません。

夫婦の繋がりとしては結婚をしている人と同じなのに、夫婦間の不均衡や他の夫婦との格差が生じてしまうのです。

同姓にしたことによりキャリアがなくなる?

更には、今までのキャリアが全て無になる可能性も秘めているのです。

例えば、研究者の場合は通名利用があまり認められていません。

今まで旧姓で論文を書き、実績や学会での地名度を得ていたにも関わらず、名前が変わった事で実績がゼロになってしまう事もあるのです。

憲法との兼ね合い

これだけ問題点の多い夫婦別姓において、憲法との兼ね合いも論点としてあります。

憲法13条、14条、24条は男女同権や全ての国民が平等であるとしており、夫婦別姓を選択できずどちらかの姓になってしまう事は憲法違反にあたるのではないかという者です。

憲法13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

憲法14条「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

憲法24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」

引用:日本国憲法

また、日本では外国人と日本人が結婚する場合には別姓を選択する事ができますし、日本人同士が離婚する場合も姓を同姓か別姓かを選択する事ができます。

これも日本人同士が結婚する時に同姓しか選べない事への不平等であるとの指摘もあるのです。

選択的夫婦別姓の反対論

これだけ導入にメリットがある選択的夫婦別姓ですが、もちろん反対論もあります。

「家族の一体性」が損なわれる

先ほど憲法の話をしましたが、日本国憲法制定時点でのマッカーサー草案には「家族は人類社会の基礎」と言われ、当然の事として明文化されなかった経緯があります。

また、国際人権規約においても家族の保護を求める条文があり、夫婦別姓が家族の一体性を損なうという点において憲法と同規約の趣旨に反するという反対論です。

日本人は同姓という環境に慣れ親しんでいる

夫婦別姓が実現されない事を悩んでいる事情を知らずに、「夫婦が同姓になるのは当たり前。」という固定観念や「家族制度の崩壊するのでは?」と叫ぶ声も分からなくはありません。

夫婦別姓の提案には、こうした意見を上手く汲み取り説得していく姿勢が求められているのです。

子どもの姓はどうなるの?

先ほど述べた「家族観」にも繋がるのですが、夫婦別姓によって「子どもの姓はどうするのか」という問題が挙げられます。

仮に夫婦別姓を認めた場合「子どもの姓を巡って夫婦間で意見が別れたらどうするのか」「子どもが複数人いる場合はどうするのか」という議論がなされているのも事実です。

「将来子どもが姓の選択で悩むのではないか」という意見もありました。

この点では「同性が当たり前」の現状は新たな問題を生み出さないことに繋がっているとも言えます。

まとめ

「選択的夫婦別姓」は海外でも認められている国があり、日本でも議論が活発になっています。

古来からの「家族観」を大事にする日本の伝統がある中で、現在はその家族のあり方が変わってきているのは事実です。

一方で、新しい制度を認めればそれだけ新たな問題も議論されます。

「夫婦のあり方」「家族のあり方」をめぐって、この問題は今後も議論がなされるでしょう。

「変化」が必要かどうか、私たちが主体的に判断すべき時がきているのかもしれません。

https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/09/11/kourei-ka/

どうですか?「氏姓選択制」

ちょっとまった!「選択的夫婦別姓」

度々議論になる「選択的夫婦別姓」。これは,結婚に際して夫婦は氏をどちらか一方のものに統一しなければならないという現状を変え,統一しても,別々のままでもどちらでも良いという風にしようというものです。一見,氏を変えたいひとにとっても,変えたくない人にとってもメリットしかないようにも思いますが,私はこの「選択的夫婦別姓」に対して「氏の定義が曖昧になってしまう」という観点から慎重な立場を取りたいと思います。

失われた「氏」と「姓」の区別

前提として確認しておきたいのが,「氏」と「姓」の違いについてです。現在ではほぼ区別されていませんが、実は元々この2つは全く異なるものです。我々日本人が使っている「鈴木」とか「佐藤」といったものは「氏」にあたります。これは,夫婦で統一することになっていて,子供もそれを受け継ぐわけですから,基本的にその世帯に対してつけられる名前だということになります。一方「姓」というものもあります。こちらは現在の日本ではほぼ使われておらず、中国や韓国といった国で主に使われています。例えば,韓国大統領の文在寅氏の場合でいうと、「文」がこの姓にあたります。姓は、たとえ結婚してもお互い変わることはなく、子は基本的に父親のものを引き継ぎます。このことから、姓は原則として血統を表しているということが言えます。世帯を表す氏との決定的な違いはここにあります。

今でこそ氏と姓の区別はほぼなくなってしまいましたが,少なくとも戦時中まではこの2つの概念は厳然と区別されていました。その例としてもっともわかりやすいのが,「創氏改名」でしょう。創氏改名というのは、当時日本が統治していた朝鮮の人々に対し、日本式の名前を名乗るようにさせた制度のことです。(強制だったのかどうかという議論についてはここでは触れないことにします)この制度は氏を新たに作らせる「創氏」と、名を日本風に改める「改名」の2つから成り立っているわけですが、この「創氏」というのがまさにポイントです。朝鮮の人々は「姓」は持っていても「氏」は持っていません。そのため「改氏」でも「改姓」でもなく「創氏」だったのです。

壊れる「氏」の定義

ここまで、氏と姓の違いについて見てきましたが、では選択的夫婦別姓によって「氏の定義が曖昧になってしまう」とはどういうことなのでしょうか。(これまでの話に基づけば選択的夫婦別姓は「選択的夫婦別氏」と呼ぶのが正確ですが、一般的には「選択的夫婦別姓」と言われているのでそう呼びたいと思います)先程も述べたように、我々の名乗っている「氏」は世帯を表すものであり、夫婦で統一されるべきものです。そのため、これを無視して「選択的」に別々の場合もOKとしてしまうと氏の定義が完全に壊れてしまって「鈴木」や「佐藤」が何を表しているのか最早わからなくなってしまいます。選択的夫婦別姓の問題点はここあるのです。

氏の定義を壊さない解決策

しかし、選択的夫婦別姓の議論の経緯を考えれば一生同じ名前を名乗っていたいという需要は少なからずあり、それを無視するわけにはいきません。そこで私案として提示したいのが「氏姓選択制」です。これは,氏と姓の区別を現代的にアレンジした上で復活させ、両方とも戸籍に載るが名乗るのはどちらか選べるというものです。例えば,鈴木太郎さんと佐藤花子さんが結婚し、氏を鈴木に統一したという場合で考えてみると、

鈴木太郎(氏:鈴木、姓:鈴木)→鈴木太郎(氏:鈴木、姓:鈴木)
佐藤花子(氏:佐藤、姓:佐藤)→鈴木花子or佐藤花子(氏:鈴木、姓:佐藤)

といった感じになります。さらに、子の氏と姓は親の氏を受け継ぐので、この例では[氏:鈴木、姓:鈴木]となります。この仕組みであれば氏の定義を壊すことなく、しかも結婚しても名乗る名前を変えないという選択肢も用意できます。少々複雑かもしれませんが「氏姓選択制」、いかがでしょうか?

https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/08/23/japanese/

[itemlink post_id=”6933″]