保守王国の選択~保守分裂の富山県知事選~
50年ぶりの保守分裂となった富山県知事選挙。候補者の経歴、政策を紹介する。
石井氏、新田氏、川渕氏の3人が立候補
10月8日に、富山県知事選挙が告示された。立候補したのは、届け出順に、新人で前日本海ガス社長の新田八朗氏(62)、新人でNGO代表の川渕映子氏(71)、現職の石井隆一氏(74)の3人。
石井氏は、自民党県連、公明党県本部、国民民主党県連、連合富山の推薦を受けたほか、県内13市町村の首長から支援を受ける。
出陣式では、選対統括責任者の宮腰光寛自民党県連会長をはじめ6人の自民党国会議員、前全国知事会長の上田清司参院議員(無所属)、吉田勉公明党県本部代表、村田正示国民民主党県連代表、辻政光連合富山会長、高木繁雄県商工会議所連合会長、伊藤孝邦県JA中央会長らが応援弁士を務めた。
新田氏は、森雅志富山市長、上田昌孝滑川市長、選対本部長で自民党富山市連合支部長の中川忠昭県議会議員をはじめ県議会会派自民党新令和会の4人の県議、新田氏の実の姉で前北海道知事の高橋はるみ参院議員、日本維新の会の柴田巧参院議員から支援を受ける。このほか、長勢甚遠元法務大臣、市議の一部も新田氏を支持している。
また、告示前の集会には富山県出身の馳浩衆院議員が参加したほか、森喜朗元内閣総理大臣、吉村洋文大阪府知事の応援動画が流された。
川渕氏は、政治団体「いのち支えあう県民の会」が擁立し、共産党県委員会、社民党県連から支援を受ける。出発式では、水谷敏彦選対本部長、社民党の井加田まり県議、共産党の火爪弘子県議らが応援演説を務めた。
候補者紹介
石井隆一候補
経歴
1945年 富山市生まれ
1969年 東京大学法学部卒業
1969年 自治省入省
2001年 総務省自治税務局長
2002年 消防庁長官
2003年 早稲田大学大学院客員教授
2004年 富山県知事初当選
2008年 富山県知事再選
2012年 富山県知事3選
2013年 政府税制調査会特別委員
2016年 富山県知事4選
政策
[box03 title=”石井隆一の政策”]
①コロナ不況からの反転攻勢と先端技術による力強い産業育成
新型コロナ対策の強化/デジタル革命/医薬品1兆円産業化/伝統工芸等の産業活性化
②北陸新幹線の大阪延伸と県内4地域の均衡ある発展
新幹線の大阪延伸/城端線・氷見線のLRT化の調査検討/「大ゴールデン回廊」創出
③「雄大な立山黒部」と「美しい富山湾」の世界ブランド化
黒部ルートの一般開放/最先端ロープウェイやマリン街道整備等による世界ブランド化の達成
④「働き方改革」と「女性活躍」の実現 「新しいとやまスタイル」を創造
スマート農業の推進/デジタルワークの普及/働き方改革と女性活躍を実現
⑤夢・情熱・志で「日本一の人づくり県」に
健康寿命日本一/若者・女性・意欲あるシニアの挑戦の支援/大学振興・大学連携の強化
[/box03]
新田八朗候補
経歴
1958年 富山市生まれ
1981年 一橋大学経済学部卒業
1981年 第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行
1983年 日本海ガス入社
1985年 日本海ガス取締役
1995年 国際青年会議所副会頭
1998年 日本青年会議所会頭
2000年 日本海ガス代表取締役社長
2017年 富山経済同友会代表幹事
2018年 日本海ガス絆ホールディングス代表取締役社長
政策
[box03 title=”新田八郎の政策”]
①新型コロナウイルスに勝つ!新しく力強くワクワクする稼げる産業へ!
特区制度等を活用した大胆な規制緩和/産業競争力強化
②ストップ少子化!子育て環境日本一へ!
こども病院の設置/商工労働部に「ウーマノミクス課」を設置
③健康寿命を伸ばす!「世界のデータヘルス都市とやま」へ!
医薬品生産額1兆円/遠隔医療の体制拡充
④デジタル化・産官学連携・市町村連携による「超」効率的な自治体運営
富山県立大学におけるデータサイエンス学部などの設置を検討
⑤農林水産業の振興と持続可能な地域社会へ!
公共インフラの更新事業を前倒し、「令和の公共インフラ・ニューディール政策」を推進
⑥SDGsの推進!県民ひとりひとりが輝ける多様性のある富山へ!
富山県の女性職員の管理職への登用目標を25%にまで引き上げ/副知事に女性登用
⑦将来の富山を担う「人材」への思い切った投資
学校の働き方改革を推進/県内の全中学校・高等学校におけるプロジェクト学習(PBL)導入/
⑧アフターコロナ「移住の戦国時代」で選ばれる富山へ!
富山観光産業における富裕層の誘致戦略を立案し推進/「環日本海広域連合」の設立の検討[/box03]
川渕映子候補
経歴
1949年 富山市生まれ
1970年 北陸学院短期大学保育科卒業
1970年 富山県小矢部市 石動青葉幼稚園勤務
1971年 神奈川県横浜市 日本水上学園勤務
1974年 南ベトナム・サイゴン市(現ホーチミン市)日本人学校付属幼稚園
1996年 「アジア子どもの夢」代表
2011年 「東北エイド」代表
現在 NGOアジア子どもの夢代表、オールとやま県民連合共同代表
政策
[box03 title=”川渕映子の政策”]
・子どもに寄りそう富山県にする
18歳までの医療費無料化/少人数学級/「子どもの権利条約」づくり
・高齢になっても安心な富山県にする
医療・介護・買い物難民をなくす/こども食堂/NPOとの協働による地域づくり
・災害に強い富山県にする
希望する人に速やかなPCR検査/介護・保育・医療従事者の待遇アップ/DVや虐待から身を守るシェルター
[/box03]
保守分裂の知事選
今回、50年ぶりの保守分裂選挙となった富山県知事選挙。これまで歴代の公選知事は6人中5人が官僚出身である。
現職の石井知事は東大卒で元総務官僚である。石井知事は中央とのパイプや行政経験を生かして、約半世紀ぶりの県債残高減少や財政構造赤字をゼロにするなどの実績をあげてきた。
しかし、多選による弊害や高齢であることを問題視する見方もある。
そんな中で、森富山市長の後援会長を務めている新田氏が立候補を表明した。新田氏が当選すれば、民間出身知事が誕生することになる。石井、新田両氏は自民党県連に推薦願を出し、結果的に石井氏が推薦された。
しかし、自民党富山市連支部長の中川県議が異論を唱え、新田氏を支持する3人の県議とともに自民党議員会を退会し、「自民党新令和会」を立ち上げた。また、富山維新の会代表の吉田豊史前衆院議員と柴田巧参院議員は個人として新田氏を支援すること決めた。
富山県は、有権者に占める自民党員の割合が10年連続全国1位の保守王国である。保守分裂となったことで、県民が県政についてよく考えるきっかけになったと思う。これからの富山県のリーダーを決める重要な選挙、しっかりと考えて、投票にいってほしい。
https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/07/05/election/
[itemlink post_id=”7347″]