介護用食品は、噛む力や飲み込む力の弱まっている高齢者にも安全に食べられるように、素材や調理法などを工夫した食品のことです。きざみ食、ソフト食、ミキサー食、嚥下食、流動食等の種類があります。高齢者人口は、2019年には全人口の28%にも達し、過去最高に。介護食の重要性は、年々増してきています。
キーワード解説:介護用食品
日本の高齢者人口は3588万人(2019年9月時点)と過去最多、総人口に占める割合は28.4%となっており、高齢者人口の増加に伴って現在「介護用食品」の重要性が増してきています。
今回は、そんな介護用食品に関してその概要や必要性などを詳しく解説していきます。
介護用食品とは
介護用食品とは、噛む力や飲み込む力が弱まっている人が安全に食べられるよう、素材や調理方法などを工夫した食事のことです。
介護用食品は、「ユニバーサルデザインフード」とも呼ばれ、これは「全ての人が食べやすく、栄養をとることのできるようデザインされた食品」を意味しています。
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介護用食品の重要性
では、なぜ介護用食品が必要とされているのでしょうか?
それは、介護用食品は身体機能の弱った高齢者が十分な栄養をとることをサポートできるからです。
高齢になると、人はものをうまく食べられなくなったり、消化機能が落ちたりする傾向にあります。
入れ歯になっていたり、噛む力が衰えていたりすると食品をしっかり砕くこともできません。
加えて、胃酸がしっかりと分泌できていないことから消化不良を起こす場合もあります。
そのため栄養や水分を十分に摂れなくなる人、エネルギーとたんぱく質が欠乏し、健康な体を維持するために必要な栄養素が足りない低栄養状態に陥る可能性があります。
低栄養になるとどうなる?
低栄養は気づかずに進行すると命にかかわる危険性もあります。
食欲がなかったり、体重が減少し始めると要注意です。
体力が低下するため、疲れやすくなり、歩くのが遅くなったり、元気がなくなります。
また、免疫力が低下するので感染症の危険もあります。
介護食品の種類
食品の硬さや粘度などをもとに、介護食は以下の4つのタイプに分かれています。
噛む力や飲み込む力に応じて使い分けをしていきましょう。
容易に噛める食品
対象:硬いものや大きいものはやや食べづらく感じるが、普通に飲み込める。
例:普通のご飯~やわらかいご飯/焼き魚/焼き豆腐
歯茎でつぶせる食品
対象:硬いものや大きいものは食べづらく、ものによっては飲み込みづらいことがある。
例:やわらかいご飯~米1に対して水5の割合で炊いたおかゆ/煮魚/木綿豆腐
舌でつぶせる食品
対象:細かくてやわらかければ食べられるが、水やお茶の水分が飲み込みづらいことがある。
例:米1に対して水5の割合で炊いたおかゆ/魚のほぐし煮/絹ごし豆腐
噛まなくてよい食品
目安:固形物は小さくても食べづらく、水やお茶の水分が飲み込みづらい。
例:ペースト状のおかゆ/白身魚の裏ごし/粒のあるペースト状の食品
介護食の種類
食品の調理方法にも、噛みやすさや飲み込みやすさを考慮したいくつかのタイプがあります。
きざみ食
口に入れて噛みやすいように、食品を小さくきざんだ食事。筋力低下などで口を大きく開けられない人や、噛む力が低下した人に適しています。
ソフト食
食品を舌でつぶせるくらいまで煮込んだりゆでたりして、やわらかく調理した食事。噛む力や飲み込む力が弱くなった人や、消化不良を起こしやすい人に適しています。
ミキサー食
食品をミキサーにかけて飲み込みやすい液体状にした食事。
誤嚥しないよう、とろみをつけている場合もあります。あまり噛むことができず、飲み込む力が弱くなった人に適しています。
嚥下食
食品をミキサーにかけ、さらに飲み込みやすくするためにペースト状やゼリー状にした食事。飲み込む力が弱く、特に誤嚥が心配な人に適しています。
流動食
消化しやすいことを重視した、スープや重湯など液体状の食事。高熱を出したときや、胃腸を手術した後など、消化する力が弱っている人に適しています。
健康は食品から
少子高齢化により、介護人口は増加しています。
「健康は食品から」という言葉をモットーに健康寿命を伸ばしていきましょう。
最近は、介護食品も色々な種類が出始めました。
食べる人も作る人も、笑顔で囲める食卓を目指していきましょう。
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