【タリバン】武装勢力と今後のアフガニスタン情勢の展望

タリバンとは?

タリバンはアフガニスタンで活動するスンニ派過激組織です。もともと1994年に結成した組織ですが、指導者らはソ連のアフガニスタン侵攻の反発し、戦争でも戦っていました。ただ、1989年にソ連がアフガニスタンから撤退した後も、アフガニスタン内では様々なグループで権力争いが起こっておりました。次第に影響力を増し、1996年にはアフガニスタンを制圧し、タリバン政権を樹立しました。

しかし、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の首謀者であったオサマ・ビンラディンをタリバンが匿っていて、引き渡しに応じなかったとして、今度はアメリカがアフガニスタンを侵攻しました。当初はオサマ・ビンラディンの確保とテロリストの温床となっていたタリバン政権の除去を目的に侵略しました。タリバン政権は同年に崩壊した一方で、中々首謀者らの確保やタリバンが唱えたイデオロギーを取り除くことが出来ず、タリバンによるテロ活動も増え、アメリカは思った以上に長い間アフガニスタンに関連することになってしまいました。

莫大なお金と死者が伴っていた長年の戦争に終止符を打ちたかったアメリカは、2020年にタリバンとの和平合意で2021年までの軍の完全撤退に合意しました。アメリカ軍の撤退をチャンスとみなしたタリバンは、少しずつ地方の州都を制圧し、8月16日には首都のカブールも制圧しました。

各国の反応

予想を上回るスピード(わずか10日)でアフガニスタンを次々に制圧したニュースを受け、アメリカ、イギリス、ドイツなどの国は大使館の閉鎖及び職員や駐在している国民の退去を早めました。また急遽、アフガニスタンに一時的に軍を派遣して、安全な退避を確保した。

タリバンからの報復を恐れ、アメリカ政府やアメリカ主導の有志連合に協力したアフガン通訳や女性人権活動家などを優先的に難民として受け入れる姿勢を複数の国が表明しています。イギリスとカナダは2万人を受け入れることを明らかにし、アメリカやドイツなどの国は今調整中だという。

今後の懸念

1)女性の権利

1996年から2001年までのタリバン政権では、女性の権利はほぼ無い状態であった為、今回のタリバン政権でも同じことが繰り返されるのでは無いかと不安に思っている人は大勢います。タリバンの報道官はイスラム法の中での女性の権利は守られると語る一方で、このイスラム法がどのように解釈されるのかは依然と曖昧ですが、前の民主政権と比べ権利が制限されるのは間違いないと思います。また、最近発表されたタリバンの暫定政権では女性の入閣は見送られ、女性課題省も廃止された事自体がタリバンの政治での女性に対する扱いが鮮明になりました。

2)不安定な情勢

タリバンが国民の了承を得ずにアフガニスタンを一方的に制圧し、民主政権が崩壊したことに対してまず国民はどう反応するのかが大切になると思います。タリバン政権をやむを得ずに受け入れるのか、或いは反発し、内戦が起きるのかなど。またタリバン政権はアフガニスタンに平和を取り戻すことはできるのか?

また、テロ活動を通じて政権を奪還できたからこそ、それに感化され他の組織によるテロ活動がより活発になるのではないかという懸念もあります。これに対して、タリバンは他国の人がアフガニスタンをテロ活動を行う目的で好き勝手に利用させないと約束しました。ただ、タリバンも過激なイスラムのイデオロギーを広める一環としてテロ活動は継続する可能性はあるので、不安定な情勢は続くと予想されます。

3)タリバンと中国の今後の関係

アフガニスタンはヨーロッパと中国を繋ぐ、一帯一路において重要な場所に位置しています。ヨーロッパへのアクセスをより確実にするためにも、アフガニスタンの安定は中国にとっても大切になってきます。国の再建や安定させる一環として、アフリカなどの国で行ってきた、高速や病院などインフラプロジェクトを支援する可能性は十分にあります。また、アフガニスタンには銅やリチウムなどの資源があり、これを採取することもできます。ただ、これまでアメリカなどヨーロッパの国々がアフガニスタン再建に失敗した中、中国は慎重に投資することが予測されます。

また、中国はタリバンの政権奪還に感化され、ウイグル自治区の独立派組織のテロ活動が活発になることを恐れています。なので、安全保証と引き換えにインフラプロジェクトの支援する可能性もあります。国内の安全を保証するためにも、中国にとってタリバンと良好な関係も持つインセンティブがあります。

4)政権の正当化か過激なイスラム法の解釈を優先するのか?

タリバンがアフガニスタンを制圧した今、彼らが政権を握っています。ただ、この20年国際社会の援助に頼り続けていた結果、アフガニスタンは経済的に自立する事ができませんでした。タリバンが政権を奪還した現在は、これまで幾度なく援助をしてきた欧米の国々や国際機関などは断固としてタリバンの過激なイスラム法の統治に反対し、援助を止めています。貧しい国を引き継いだ事によって、必然と他の国からの経済的がサポートが必要となりました。

しかし、過激なイスラム教を唱え、このような解釈を広めるべくテロ活動などを含む過激な活動を続ける組織をあまり支援してくれる国はいません。だからこそ、タリバンがアフガニスタンの正当な政府と国際社会に認められる為に、これまで女性差別やテロなどを含めたの活動をどこまで自粛するのか、或いは支援してもらう為に制限をする必要があるのかが個人的に気になります。

【竹島問題】日本・韓国の領土問題の争点や解決策はあるのかを解説

「竹島問題」をご存知でしょうか。

「日本と韓国が揉めている領土問題」というイメージをお持ちの方は多いと思います。

今回は、竹島がなぜ日韓問題の1つになっているのか、そもそも韓国はなぜ領有権を主張しているのかを解説します。

竹島の歴史

竹島は、2つの島とその周辺の小さな島々を合わせた総称です。

日本は数百年前から竹島を認識しており、漁獲地として利用してきました。

1600年代(江戸時代初期)には、江戸幕府が領有権を確立しています。

1905年に島根県の領土となり、竹島に関する当時の閣議決定の資料も残っています。

1900年代に入ると、日本は海外の多くの領土を併合・編入してきましたが、太平洋戦争に敗れたことでそれらの領土を失いました。

太平洋戦争終結後のサンフランシスコ平和条約において、日本は朝鮮の独立を承認しました。

同時に、放棄すべき地域に済州をはじめとする日本が放棄すべき領土についても規定されます。

一方で、竹島は放棄すべき領土には含まれていません。

竹島の領有権を主張した韓国に対し、アメリカは「竹島は歴史上、朝鮮の領土として扱われたことはない。これまで朝鮮が領有権を主張したことはない。」との回答を示し、韓国の訴えを却下しています。

しかし、韓国はこれを無視し、1952年より日韓の海の国境を定めました。

現在では韓国軍が竹島を実効支配しています。

こうした韓国の一連の国際法違反に対し、日本は再三にわたり国際司法裁判所の判断を仰ごうと提案していますが、韓国はこれを拒否しています。

内閣官房 領土・主権対策企画調整室|国際社会の法と秩序を尊重する日本の対応

竹島の領有権をめぐる両国の主張

日韓両国は何を根拠に領有権を主張しているのでしょうか。

日本の主張

日本は、国際条約を根拠に竹島の領有権を主張しています。

先ほども触れましたが、サンフランシスコ平和条約で竹島は日本の行政権を離れませんでした。

数百年に渡り支配し続けてきた領土の領有権を放棄する根拠がどこにもないため、日本固有の領土であると長年主張し続けています。

韓国の主張

対する韓国は、「李承晩ライン」を根拠としています。

当時の大統領の李承晩が定めた国境のことを指すのですが、国際的に認められたわけでも歴史的な根拠があるわけでもなく、韓国が自ら定めた国境です。

歴史上韓国は竹島の領有権を主張したことはなかったのですが、太平洋戦争後いきなり「竹島は韓国のものだ。」と主張しています。

また、韓国本土から近いという主張もしていますが、特定の島がどこに帰属するかを決定する上で本国との距離は考慮されないことは国際司法裁判所の判例から明らかです。

解決策はないのか

竹島の歴史と現状を解説しましたが、解決策はあるのでしょうか。

結論から申し上げますと、平和的な解決は非常に難しいです。

竹島の領有権を主張する韓国に対し、日本は国際法に従った平和的な解決を目指しています。

竹島および領海内での活動があるたびに抗議してきました。

1954年、竹島の領有権はどちらにあるのかを国際司法裁判所(ICJ)に付託することを韓国へ提案しましたが、韓国側は「領土問題は存在しない。」としてこれを拒否しました。

国際司法裁判所は、訴えに対し両国の合意がなければ審議を開始しない仕組みとなっています。

そのため司法の場に進めず、こう着状態となっているのが現状です。

まとめ

竹島は、日本固有の領土です。

自国の領土が他国に支配されている状況に無関心にならず、平和的な解決を求め続けることが大切です。

【緊急事態条項】コロナ対策で再び議論されている自民党の改憲案を解説!

中国武漢市での感染拡大を皮切りに、世界中で新型コロナウイルスが大流行。

日本国内での累計感染者数は75万人を超え、世界では1億7千万人と、2億人に迫る勢いで感染が広まっています。(2021年5月末現在)

そんなコロナ禍で「緊急事態条項」というワードが話題となっています。
今回は、「緊急事態条項」とは何なのか、成立すると何が変わるのかを解説します。

コロナとどのような関係があるのでしょうか。

緊急事態条項は憲法改正案の1つ

緊急事態条項は、2012年に自民党が発表した4つの憲法改正案の1つです。

災害や戦争が起きた際、内閣が直接法律と同じ効力を持った政令を出せることを定めた内容です。

普通、法律は国会で可決した後に初めて効力を発揮します。これは日本国憲法によって決められており、権力者が暴走して独裁的な国の運営がされるのを防ぐためのものです。

日本国憲法では、法律や政令が効力を持つためには国会の承認が必要だと明記されています。

また、憲法は「最高法規」つまり、全ての法律の上位に存在するものです。

憲法を変えずに緊急事態条項を制定しても、効力を発揮すると憲法違反になってしまう状態なのです。

そのため、自民党を中心とした憲法改正案の1つに盛り込まれています。

海外では採用されている?

緊急事態条項ですが、海外ではどのような形で採用されているのでしょうか?

ドイツ

ドイツには緊急事態条項が存在しますが、発令時にどのような対応となるかが明記されています。
これは、第二次世界大戦時に権力が集中したことの反省だと言われています。

「緊急事態を発令した場合にどうなるか」というところまで、個別の法律で規定されているのです。
つまり、発令時されると「A法はこのように変わる」「B法は効力がなくなる」など、細かい法律があります。

アメリカ

アメリカは大統領の権限が非常に強い国です。
戦争の手続きや非常時の対応も原則として大統領ができます。

ブッシュ政権がイラク戦争を決断した際に国家緊急権が話題となりました。

韓国

韓国では1970年代後半まで、大統領が非常事態を乱用する歴史が続きました。

立憲政治を正常化するために、憲法裁判所が緊急措置を慎重に審査することもあります。
しかし、汚職や私権の乱用などで大統領が逮捕される例はいまだにあります。

緊急事態条項の成立で何が変わるの?

緊急事態条項、賛否両論を呼んでいます。

【メリット】賛成派の意見

日本国憲法には、国会が機能しなくなるほどの非常事態時を想定した記述がありません。
大災害や戦争が発生した時には、一瞬の判断に大勢の命がかかっています。

そんな非常事態に国会を招集し、法案の成立を待つという従来の方法では、潜在的に国益を損ねる可能性があります。

特に国防に関しては、首相の一言で自衛隊を動かせるような仕組みがなければ非常事態の初動が遅れてしまうかもしれません。

【デメリット】反対派の意見

緊急事態条項が成立すると、首相の権限で国民の行動を制限することができます。

仮に私的な理由でこの権限を行使するような首相が現れた場合、国がファシズムの流れに傾いてしまうのではないかという懸念があるのです。

さらに、現行の憲法でも非常事態に十分対応できるとの考えもあります。

例えば、2012年には新型インフルエンザ対策特別措置法、2020年にはコロナ特措法を制定しました。
この法律によって債務支払いなどの延期がなされました。

この措置は、災害対策基本法にしたがって盛り込んだ内容であり、現行の憲法でもなんら問題はないとする意見もあります。

緊急事態条項とコロナの関係

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、緊急事態条項が必要だという声が再び上がりました。

先ほど解説したように、国会は、2020年3月にコロナ特措法を制定しています。(正確には、新型インフルエンザ対策特別措置法の一部をコロナにも適応しました。)

これによって私権の制限が一部可能になりました。

緊急事態条項の制定賛成派は「医療体制の脆弱さ」を訴えています。

一方で、護憲派は「憲法が問題なのではなく、憲法を遵守しようとしないことが問題だ。」と主張しています。

「国民の生活よりもオリンピックを優先することは、憲法25条、生存権で明記されている生活の保障をしていないなではないか?」

との声も上がっているのです。

緊急事態条項の賛成派・反対派、双方からさまざまな主張が飛び交っているように、「コロナ」とは切っても切れない関係があります。

まとめ

日本国憲法制定から70年以上が経過しています。

これは、改正されていない憲法としては世界最古のものです。

「憲法」は国民の権利を守るために存在します。

そのために改正が必要なのか、現行の憲法を保持すべきなのか、どちらの立場であってもその目的と意義を理解した上で考えることが大切です。

政治家になるには?定年はあるの?政治家について解説!

政治家って何?

今回は政治家について解説します。私たちは普段、テレビや街中のポスターに写っていたり、演説をしている政治家の存在を意識することはあっても政治家の定義について意識することはないと思います。

政治家とは政治的な活動を仕事にしている人のことを指します。議員や首長のような公的な職務に就いていなくても街頭演説やビラ配り、政治的な集会を行っている人は政治家に該当します。

政治家は選挙により選ばれた議員や首長だというイメージを持つ人も多いかと思いますが、議員や首長になっていなくても目指す人々は政治家であることに変わりはありません。

知っているようで知らない「政治家」と「議員」の違い – スッキリ (gimon-sukkiri.jp)

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政治家になるためには

先ほどは議員や首長でなくても政治的な活動をしている人は政治家であると説明しました。

しかし、政治家として有権者の声を聞いて議会で提案をしたり、政策を実現するためには、選挙に当選して議員や首長にならなければなりません。

選挙に当選するためには、多額の費用がかかりますし、相当な努力と時間を要します。

また、政治活動を行う上でビラ配りや選挙カーの運転など、サポートをしてくれる人員も必要です。

そのような観点から見ると政治家になるためには資金力だけでなく、自分の力で世の中を良くしたいという信念や責任感、その信念を貫くための努力、さらには周りの人々に支援したいと思わせる人望も必要です。

また、最近は与野党問わず様々な政党が党勢拡大に向けた人材発掘のために政治塾を主催しています。

政治家になりたい、選挙に出馬したいと考えている人はこのような政治塾に参加するのも政治家への近道になるかもしれません。

政治家になるために知っておきたい4つの必要なこと!国民の期待に応えられる人の特徴とは│ホプラス|女性の資格・転職・就職・キャリアアップをサポートするメディア (hoplus.jp)

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政治家の定年は?

政治家に定年という概念はありません。

国会議員については現在の政権与党である自民党が内規で参議院選挙の比例代表候補を70歳未満に限定する(一部例外あり)とともに衆議院選挙の比例代表候補に73歳の定年制を定めています

ただし、国会議員は与野党問わず70歳代後半でも現役バリバリの議員が多くいます。

また、議員引退後も公的な職務に就くなど、政界に影響力を行使する政治家もいます。

以上の点から見ても政治家は年齢に関係なく生涯現役の職業と言えるかもしれません。

国会議員に定年はある? 年金はもらえる? | 国会議員の仕事・なり方・給料・資格を紹介 | キャリアガーデン(Career Garden)衆院比例代表「73歳定年制」堅持を 多様性のある自民に | | 小林史明 | 毎日新聞「政治プレミア」 (mainichi.jp)

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政治家に寄付したい やり方や条件は?

ここまでは政治家という職業、政治家の仕事について説明してきました。

政治家になりたいとは思わなくても政治に関心を持つ人、あるいは政治家に自分たちが望む政策を行ってもらいたいという人は政治家への寄附を考えるかもしれません。その寄附のルールを説明します。

個人が行う政治家への寄附について、政治家個人に対する寄附は金銭や有価証券による寄附が原則禁止されており、1年間で150万円以内の物品等に限られます。

ただし、選挙期間中は陣中見舞いとして金銭や有価証券を寄附することが可能です。

また、政治家の資金管理団体や後援団体に対する寄附は一団体年間150万円まで金銭による寄附が可能です。

一方で、企業や団体が政治家個人や後援団体に寄附することは禁止されています。しかし、政党及び政治資金団体に対しては企業や団体も寄附を行うことができます。

政治家に寄附したいけれど、できますか。 江戸川区ホームページ (city.edogawa.tokyo.jp)

社会を作っているのはあなたです

日本は国政選挙でも投票率は5割程度と政治への関心が薄いです。

政治への関心の低さには、人それぞれ理由があると思いますが、まずは社会を作っているのは自分自身だという自覚を持つことが肝要でしょう。

「社会」を作るのは、その「社会」に生きる一人一人の「人」であり、「人」が社会を作っていく行為のことを「政治」というのです。議員や首長は我々の代表者にすぎません。

そのことを忘れず、身近なことから社会に取り組んでいく事・その意思が何より大切です。

イギリス政党をわかやすく解説

イギリスはエリザベス女王を国家元首とした政党政治が展開されている国です。
そんなイギリスの政党を紹介します。

イギリスの政党制度

イギリスは単一国家で国王(女王)はいますが、政治的権限は全く持っていません。

選挙は小選挙区制で政権交代が起きやすく、その為二大政党化が進みやすいと言われています。

イギリス憲法には単一の法典ではなく、成文法判例法慣習法などのさまざまな要素を組み合わせたものが憲法と見なされています。

現在のイギリス下院議会の議席状況

Hung parliament and 70 Lib Dem MPs: What the general election result would have been if we used a PR system-INDEPENDENT

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政党の紹介

保守党(Conservative Party)

スローガン:“Build back better”

Build Back Better|Conservatives

党首:ボリス・ジョンソン

政治的思想:保守主義

  • NHS(国民医療制度)への追加資金を提供。また毎年5万人の新しい看護師を雇い、5000万人分の手術の予約を可能にする
  • 所得税、付加価値税、国民保険の税率を引き上げない
  • 2050年までに温室ガス排出実質ゼロの目標を達成するために持続可能なエネルギーとグリーンインフラに投資
  • EU離脱

保守党が2019年の秋に行われた総選挙で過半数以上の議席を獲得した背景には、国民投票から3年たったEU離脱問題を早く解決し、NHSやインフラなどの問題に取り組む事を期待されていたことが挙げられます。

しかし、この10年保守党が行った緊縮財政政策がコロナの影響で裏目に出てしまいました。

コロナ以前に資金不足で苦しんでいたNHSはコロナの対応で医療崩壊寸前の状態、ブレグジット交渉は全く進まないのに、コロナ感染者数はまた増え続け、医療崩壊を防ぐためにも二度目のロックダウンが12月まで実施される予定です。

ジョンソン首相は「二度目のロックダウンはやりたくない」とずっと言っていたのにもかかわらず、一転と態度を変えた事をよく思う人はあまりいません。

イギリス政府は他の国と比べ、コロナ対策を実施するのが遅く、国民にも不人気という事から、ジョンソン首相に対する世間からの支持はこれをきっかけに下がると思います。

労働党(Labour Party)

スローガン:”A new leadership”

LABOUR

党首:キア・スターマー

政治的思想:社会民主主義

  • 国民保険と所得税の税率を凍結する一方で、年間80,000ポンド以上の収入がある人には、所得税をあげる
  • インフラの投資(特に北イングランド)
  • NHSに対して年間支出のうち平均で4.3%を投資する
  • 合意なしのブレグジットに反対

2019年総選挙で大敗を喫し、保守党が過半数以上の議席を獲得するという状態に陥ってしまいました。

敗因として挙げられるのが労働党が掲げたブレグジットに関する「二度目の国民投票」が国民の支持を得られなかった事、コービン党首が党内の反ユダヤ主義問題に対処になかった事でしょう。

大敗の責任をとり、コービン党首が党首の座から退いた事で今年労働党の新党首にキア・スターマーが選ばれました。

スターマー氏の当選で党のイメージアップを行おうとしていると同時にジョンソン首相のコロナウイルス対策に対する国民の不満が少しずつ募っている事から、次首相になる可能性がある政治家です。

スコットランド国民党(Scottish National Party)

Scottish National Party

党首:ニコラ・スタージョン

政治的思想:社会民主主義、スコットランド愛国主義

  • 合意なしのブレグジットに反対(62%のスコットランド人が離脱に反対した為)
  • スコットランド独立を是非を問う二度目の住民投票の実施
  • 2045年までに温室ガス排出実質ゼロの目標を達成

2014年の住民投票でスコットランドの独立は否決されたものの、総選挙で議席を増やして以来、勢いのある政党です。

ロックダウン中には毎日スタージョン氏が会見を開いたり、コロナ対策をイングランドよりも早く導入するなどして、コロナ対策でイングランドとの差を出しています。

コロナ対策に関してはスコットランドはイングランドよりも上手くいっているようです。

だからこそ、独立を巡る二度目の住民投票の実施の声が高まっています。

住民投票の実施にはイギリス政府の許可が必要な為、ジョンソン氏が首相を務める限り実施される可能性は極めて低いのですが、独立支持派が優勢になっている今、SNPがこの勢いをコロナが収束した後どれくらい長く保つ事ができるのかに注目しです。

自由民主党(Liberal Democrats)

Liberal Democrats

党首:エッド・デイビー

政治的思想:自由主義、親欧州主義

  • ブレグジットの中止(2019年総選挙での政策)
  • 2045年までに温室ガス排出実質ゼロの目標を設定
  • 学校に年間100億ポンドを投資。新しく20,000人の教師を採用

第三党であり、保守党・労働党の批判票の受け皿として見られる場合もあります。

総選挙ではブレグジットのキャンセルを訴えたものの、あまり国民の支持を得ることはできませんでした。

また当時党首だったジョー・スウィンソンは落選してしまった為、選挙後に辞任しました。

新しい党首にエッド・デイビー氏が選ばれたものの、知名度は他の党首と比べ低いのが現状です。

親欧州主義の政党が、EU離脱後はどのような政策を訴えるのでしょうか。

ブレグジット党(Brexit Party)

ReformUK

党首:ナイジェル・ファラージ

政治的思想:ポピュリズム、欧州懐疑主義

  • EUからの早期離脱
  • ロックダウン反対

党首のナイジェル・ファラージはEU離脱を訴えた、欧州懐疑主義運動のパイオニア的存在です。

UKIP(イギリス独立党)の党首であったが、2年前に辞任します。

2019年にブレグジット党を結成し、5月に行われた欧州議会議員選挙では保守党・労働党を抜いて首位となりました。

EU離脱の日に近くなるにつれ党としての存在意義を見失ったと思いきや、党の名前を Reform UK に改め、ロックダウン措置に反対する立場を表明しました。

【軽減税率とは何か】複雑なシステムをわかりやすく解説

キーワード解説:軽減税率

軽減税率制度とは何か

軽減税率とは生活必需品など特定の商品の消費税率を標準税率より低く設定することです。

消費税は納税者の所得に関わらず全ての商品に等しく課税されます。そのため、日常生活に欠かせない生活必需品の税率を他の商品に比べて低く設定することにより、消費税の生活への影響を抑える軽減税率が様々な国で導入されています。

日本では2019年10月の消費税率10%への引き上げに際して低所得者への経済的配慮という観点から、8%の軽減税率を導入し、飲食料品と新聞に適用しました。

食品には「消費税8%」が適応

飲食料品は引き続き「8%」

8%の軽減税率が適用される飲食料品は食品表示法に規定する食品です。

基本的に商店やコンビニで販売されている肉や魚などの食材、お菓子やジュースなども全て軽減税率の対象に含まれます。

海外ではカロリーが高いハンバーガーや清涼飲料水に高い税率が課せられることもありますが、日本においては食品の材料や成分に関係なく等しく軽減税率が適用されます。

外食やアルコール類は例外

同じ飲食料品であってもレストランなどで外食をする際は標準税率の10%が適用されます。

テーブル、椅子、カウンターといった飲食設備がある場所で飲食する場合は外食にあたります。

そのため、コンビニやショッピングモールなどのフードコートで飲食する場合は標準税率が課されます。

一方で出前やテイクアウトなど、飲食設備を用いない場合は軽減税率の対象となります。

最近、流行のウーバーイーツも軽減税率の対象です。ケータリングや出張料理については軽減税率の対象外になりますが、例外として学校や有料老人ホームで提供される給食は軽減税率の対象となります。

また、アルコールや医薬品も軽減税率の対象外です。

しかし、アルコール分1%未満の甘酒や調味料、ノンアルコールビールなどは軽減税率の対象に含まれます。

【図解】軽減税率って何?いつから?対象品目は?わかりやすく解説(インテージギャラリー)
消費税が10%に(MJS NEWS)
政府広報オンライン

新聞は8%

飲食料品の他に新聞も軽減税率の対象になります。

対象となるのは週2回以上発行され、社会・文化などの一般社会的事実が掲載された新聞で定期購読契約に基づくものに限られます。

新聞でも週に2回以上発行されないもの、定期購読契約ではなくコンビニなどで購入されたものは軽減税率の対象外となります。

新聞が軽減税率の対象に含まれる理由は、新聞が国民の生きるために必要な情報の源であるとともに、国民が知的好奇心を満たすことに資するためとされています。

軽減税率制度はいつまで続くのか

現在、軽減税率に期間の定めは設けられていません。

2019年10月の消費増税時に軽減税率と同じく負担軽減策として導入されたキャッシュレス還元は2020年6月で終了しました。

しかし、軽減税率についてはその制度が定められている消費税法が改正されない限り恒久的に続きます。

いつまで軽減税率は続く?制度について改めて概要をおさらい(bizocean)

最後に

軽減税率は導入から1年以上が経過し国民生活にも馴染んできました。

しかし、今後消費税をめぐる議論の際には軽減税率も議論の的になることが考えられます。

以前のように全ての消費税を一律にするのか、あるいは更なる消費増税に際して更に標準税率と軽減税率の差を広げるのか、様々な可能性が考えられます。

少し複雑な制度ではありますが、しっかりと内容を理解し今後の税のあり方に注目していくことが大切です。

【2020】栃木県知事選挙を解説

11/15は栃木県知事選挙

現職

ふくだ   とみかず

福田 富一(67)

●昭和47年【18歳】

栃木県庁奉職 宇都宮・鹿沼土木事務所建築課本庁住宅課に勤務

●昭和56年【27歳】

栃木県庁退職、建築設計・行政書士事務所を開設

●昭和58年4月【29歳】

宇都宮市議会議員 初当選

●平成3年【37歳】

栃木県議会議員 初当選 以後2期連続当選

●平成11年【45歳】

宇都宮市長 初当選 以後2期連続当選

●平成16年【51歳】

栃木県知事 初当選 以後4期連続当選

 

対立候補

たのべ たかお

田野辺 隆男(60)

●昭和58年【23歳】

NHKに入局

●平成27年【55歳】

NHK宇都宮放送局長を最後にNHKを退職

●平成28年【56歳】

参議院選挙出馬、次点

●平成29年【57歳】

(有)田野辺運送店社長

●令和2年【60歳】

(株)田野辺社長就任

 

福田候補の公約

田野辺候補の公約

相違点

相違点賛成どちらかと
言えば賛成
どちらかと
言えば反対
反対無回答
栃木県の「地方創生」の取り組みは十分な効果を上げたか
福田

田野辺
栃木県の行政活動をさらにスリム化すべきか
田野辺

福田
同性パートナーシップ県条例の制定についてどう思うか
田野辺

福田
参考:https://www.shimotsuke.co.jp/articles/gallery/379303?ph=1

 

期日前投票は11月14日20時まで

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【消費税とは何か】誰もが知ってる身近な税金をわかりやすく解説

キーワード解説:消費税

消費税とは

消費税は商品や製品(モノ)の販売、サービス(コト)の提供などの取引に際して課される税金です。

財務省の外局である国税庁が所管しています。

消費税はモノやコトの提供を受けた消費者が負担をしますが、納めるのはモノやコトを提供した事業者です。

例えば、○○さんが××商店で100円(税抜)の商品を購入した場合、○○さんは商品代金100円とともに消費税10円を支払います。その後、××商店は消費税10円を税務署に納税します。

このような税を負担する者と納める者が違う税金は間接税と呼ばれます。

消費税のしくみ(国税庁)
消費税法(昭和六十三年法律第百八号)

【現在10%】いつから増税!?

現在、日本の消費税率は軽減税率(8%)の対象となる一部の商品を除き10%です。

消費税率は現在の10%になるまで、導入時の3%から3度の増税を経てきました。その過程を振り返ります。

【3%】1989年4月

消費税が日本で最初に導入されたのは元号が平成に変わったばかりの竹下登政権のときでした。

消費税が導入される前の日本は所得税を中心とした税体系でした。

日本では速いスピードで高齢化が進んでおり社会保障の費用が増え続けています。

保険料だけでは足りず借金や税金も充てていて、借金の占める割合が多いのも事実でした。

将来世代に先送りにする負担を減らすため、安定的な財源の確保が必要とされていました。

その背景から全世代の消費に広く薄く税負担を求める消費税が導入されたのです。

当時は、身近な物に新たな税が課せられることで日々の生活への影響も懸念され国民の反対の声が強くありました。

【5%】1997年4月

初めての消費増税は1997年4月に橋本龍太郎政権の下で行われました。

前任の村山富市政権から始まり、1994年~1996年にかけて行われた減税による税収不足を補うため消費税率が3%から5%に引き上げられました。

【8%】2014年12月 【10%】2019年10月

記憶に新しい2014年12月、2019年10月(8%→10%)に増税が行われました。(共に安倍晋三政権下)

この2度の増税は前任の民主党・野田佳彦政権時代における民主党・自民党・公明党の間での三党合意に基づくものです。

消費増税による税収を社会保障と財政の健全化に充てる「社会保障と税の一体改革」のために行われました。

2014年4月の8%への増税は予定通りに行われました。

2015年10月に予定されていた10%への増税は2度の延期を経て、2019年10月に行われています。

また、自民党と連立政権を組む公明党の要望により、2019年10月の8%から10%への消費増税では食品などの一部の商品の税率を8%に据え置く軽減税率が導入されました。

財務省ホームページ
消費税の歴史と創設の背景(Zeiken Press)
社会保障と税の一体改革(政府広報オンライン)
消費税の歴史を一挙解説!導入の理由は?なにに使われてきたの?(お金の窓口)

消費税のメリット・デメリット

消費税が国家にもたらすメリット・デメリットを解説していきます。

消費税のメリットは?

消費税の主なメリットは税収の安定性です。

景気や人口動態に関わらず、全国民に等しく課されるため税収が安定しており、特定の世代に負担が集中することもありません。

そのため、世代の間の不公平感も少なく、常に安定した税収が望めます。

消費税のデメリットは?

消費税のデメリットは消費の冷え込みを招くことです。

国民への負担が大きく増税後は消費が落ち込む場合が多いです。

消費が落ち込むと景気が悪くなり、企業の内部留保も増えます。従業員へ還元されにくくなるのです。

また、消費税は所得の多寡に関わらず税率が一律のため、低所得者ほど税負担が大きくなります。

そのため、日本共産党れいわ新選組などは消費税の廃止や減税を主張しています。

消費税増税のメリット&デメリット(ZEIMO)

消費税減税研究会

2019年10月に馬淵澄夫氏と山本太郎氏が立ち上げた消費減税研究会がにわかに話題になりました。

消費税が10%に引き上げられた直後に発足したこの研究会には立憲民主党国民民主党をはじめとする様々な政党から議員が集まりました。

山本太郎氏が馬淵氏と減税研究会 消費税5%を旗印に(朝日新聞 DIGITAL)
第906号 消費税減税研究会発足!

最後に

消費税は国民にとって最も身近な消費という行動に課せられる税金であり、お金持ちが高級車を買っても子供がお菓子を買っても課税されます。

つまり、国民全員が納税者になる税金です。

国民生活への影響は大きく、重要な政治課題でもあります。

だからこそ、誰しもが関心を持ち、今後の消費税のあり方に注目を向けていくことが大切ではないでしょうか。

ぜひこの記事をきっかけに消費税に関心を持っていただければ幸いです。

消費税(国税庁)

【大阪都構想に迫る】第2回 そもそも「都」とは何か(By るた)

【大阪都構想に迫る】 第2回 そもそも「都」とは何か

賛成派、反対派の見解の相違

いわゆる「大阪都構想」の住民投票の結果がまもなく出る。

この連載は、少し政局的な話とは距離を置いて、根本的な2つの論点について検証する企画だ。
前回は、「区」とは何か、を検証した。

今回はもう一つの論点、「都」とは何か、について考えていきたい。

この住民投票の正式名称は大阪市廃止・特別区設置住民投票というが、主に賛成派は「大阪都構想」というフレーズを多用し、反対派は「大阪市廃止~」という住民投票の名称を強調することが多い。

すなわち、賛成派にとってこの住民投票はいわゆる「大阪都」を実現するための手段だといい、反対派は「大阪都」などできず、「大阪市廃止」こそ住民投票の焦点であるという。

ここにそもそも、見解の相違がみられる。

この住民投票で「賛成」が過半数となれば、「大阪『都』」が成立するのか、という点である。

賛成派は、道府県が大都市地域に特別区を設置する際の諸手続きについて定めた法律である大都市地域特別区設置法の第10条に、「特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、(中略)都とみなす」とあることを根拠に、大阪府は「都」になる、と主張する。

反対派は、都道府県の名称の変更について定めた地方自治法第3条第2項に「都道府県の名称を変更しようとするときは、法律でこれを定める」と規定されており、大阪府が名称を変更する法律は成立していないことから、大阪府は「都」にはならない、と主張する。

この見解はいずれも正しい。
というのも、ここで賛成派と反対派が指す「大阪『都』」が、そもそも別物だからだ。

賛成派がいう大阪「都」とは、法令の適用上の意味において「都」となることを指しており、反対派がいう大阪「都」にはならないとは、呼称上の意味において「都」とならないことを指している。

さて、「区」に続いて厄介な話である。

そもそも法令上の「都」とは何か、呼称上の「都」とは何か。

このあたりを改めて紐解いていく必要がある。そのために、都区制度の元祖である東京の都制成立の歴史にフォーカスして、今回の住民投票における「都」をめぐる論点について考えていきたい。

法令上の「都」

「都」の定義は?

さて、元も子もないことを言うようだが、地方自治法において「都」の定義は存在しない

ただし現在のところ東京都にしか存在しない特別区についての規定を参照すると、「都の区は、これを特別区という」(同法第281条)とある。

このことから逆説的に、特別区の存在する道府県が法令上は「都」である、と解釈することができる。
しかしあまり満足のいく説明ではない。

そこで、東京に都制が成立するまでの経緯を確認し、それが道府県といかなる相違をもった制度として検討されてきたのかを見ていくことにしたい。

東京の行政史

前稿で触れた通り、東京府と東京市が合併する形で東京都が誕生したのは、太平洋戦争が激化し、その戦局が切迫する1943年のことである。

このとき東京都制の目的は以下の通りである。

・帝都たる東京に真の国家的性格に適応する体制を整備確立すること
・帝都に於ける従来の府市併存の弊を解消し、帝都一般行政の、一元的にして強力な遂行を期すること
・「帝都行政の根本的刷新と高度の効率化を図ること

しかし、その実質的な理由は戦争遂行の効率化であった。

さて、そんな戦時法制の一環たる東京都制は、このとき突然提案されたものではない。

東京に特別な制度をしこうという問題は、明治いらい実に約50年にわたって検討されてきたことで、政府の行政能率化の要請に対し、東京市の側が民主的自治を要求する構図の中で、長きにわたって紛糾し続けた。

双方の主張は時代によって微妙に変化があるが、要旨はこうだ。

すなわち、東京市は東京府の管轄外とし、公選の市長を置くという「東京市制案」を、政府の側は東京市ないし東京府の区域をもって東京都を設置し、官選の都長を置くという東京都制案を掲げてきた。

多くの場合、東京市の主張は衆議院に、政府の主張は貴族院にそれぞれ議員提出法案として審議にかけられ、ことごとく審議未了に終わっている。

大正に入り衆議院は「東京市制案」を捨てて「帝都制案」を掲げるようになったことから、名称上の相違はなくなるが、それでも官治か自治かをめぐった東京市=衆議院ラインと政府=貴族院ラインの対立は続いていくことになる。

昭和に入ると政府は地方行政の刷新を狙い、各種の審議会・調査会を置くようになる。

そして1933年には、官治色の強い「東京都制案」を政府自ら提出し通過をはかろうとしている。
これに対する衆議院の批判は強く、やはり審議未了に終わっているが、その後、戦時体制に入ると、むしろ政治的摩擦を引き起こす問題だとして、議論が避けられてきた。

しかし1943年の第81議会は決戦議会と称され、重点産業の生産力を拡充するための権限を総理大臣の手に集中できることを定める「戦時行政特例法案」「戦時行政職権特例案」や、言論の徹底的取締を目指した「戦時刑事特別法」の改正案と併せて東京都制案が審議された。

ゆえに、政府は「都制案」に反対する新聞記事を禁じ、会合や東京市会などの意見書や決議文の提出に干渉するなどして、強行をはかったことは言うまでもない。

緊迫する戦局の中では衆議院も抗うことができず、ついに「都制案」が成立をみたのだ。

こうして歴史を顧みれば、結局のところ、東京の都制が他の道府県と異なる制度として成立している背景には、戦時体制に伴う行政の効率化があり、そこには長年にわたって東京市が反発し続けた官からの干渉の強い内容を戦時体制にかこつけて強行したという事実がある。

そうしたあり方は戦後の地方自治法においても受け継がれ、東京都の特別区は市町村より著しく権限の小さい団体として成立した。

つまり都をめぐる自治は道府県より制限された所から始まっているというのが歴史の語る事実であり、だからこそ都に存在する特別区は、戦後の長きにわたって自治獲得に奔走してきたのだ。

呼称上の「都」

このようにして実現された東京の都制であるが、それではそこに込められた「都」にはいかなる意味があるのだろうか。

上述した通り、都制は明治の頃から検討されてきた課題だったが、それが結実したのは太平洋戦争の最中だった。

それまで「都」とは「国都」や「帝都」という意味で用いられていたが、戦時中における「都」の成立は、八紘一宇、すなわち全世界を天皇制が中心となるひとつの世界にする、という思想を背景とした「皇都」としての性格を帯びることになった。

『東京百年史』(1974)では、こうした「都」をめぐる文化人の言説を追うことによって「都」の意味をつかもうとする試みがによって行われているので、ここではその検証に沿って「都」への考え方を探っていきたい。

大正から昭和初期にかけての文献においては、東京を表す抽象名詞には「国都」や「帝都」があてられる。

そこに込められる意味合いは
「明治元年七月十七日(中略)大詔下りて、江戸は東京と改称せられ、(中略)翌年帝都を此処に奠め(さだめ)給い、東京は統治の発源地となれり」(『東京市政概要』)だとか「地域が拡がり市民が殖えたばかりが決して大東京ではない。大東京には別に大東京としての意義がなくてはならない。大日本の首府として、又大日本の国都として、そこに格段の意義が蔵せられている。全日本の看板であり、精神であり、生命であり、対象である。」(『大東京』)
というように、本邦における政治・経済・文化の中枢的大都市であることが含意されている。

時代が下り、準戦時段階にはいると、さらに中央集権的国家体制の強化策の一環としての「掛まくも畏き帝皇が此処に天が下知ろし食す大宮所」(喜田貞吉)である「皇都」が用いられるようになり、1943年の都制成立段階に至ると、その「皇都」の意味合いが、日本列島を超えた中央権力の思想支配の中心としての役割へと変容していく。

「呼びなれた東京市が本年(1943年)7月から東京都と呼ばれるやうになった。慣れないうちは耳障りで言ひにくく、聞きづらかったが今となると、東京市などと聞くとどうも地方都市のやうで米英を相手に戦う日本の首都としては如何にも規模が少さく、みすぼらしい感じだ。(中略)これまでは日本の東京でよかった。

しかし現在はさうは行かぬ。大東亜の盟主日本の首都であれば即ち大東亜の東京でなければならない。」(『都の歴史と文化』)という具合である。

また「都の国体的意義」という一文によれば、日本の古語の都(みやこ)という言葉は、英語のシチー(city)や漢語の都会、都市という言葉とは意味が違い「宮処」であって、天皇の宮居(皇居)があるとし、「大東亜が八紘為宇の世界となるためには、まずその中心地たる東京都が名実兼ね具えた真の都になければならぬ。東京都制施行の第一義はここにある」(前掲書)とし、都制の成立は「神によって与えられた光栄」とさえ言う。

こうした記述から、都制成立期における「都」には、単に政治的・文化的中枢であるというだけでなく、「皇都」すなわち八紘一宇の思想を背景とした、何か精神的な、あるいは神がかり的な意味合いが含まれていることが分かる。

「都」が持つ意味合い

このように見ていくと、法令上の「都」とは、戦時が要請した大都市行政の効率化に端を発するもので、その背景には、より上位のアクター(=政府)による大都市資源へのアクセスの要求があった。

また呼称上の「都」には、戦争遂行のため皇都という精神的、あるいは神がかり的な意味合いを付与することによって世界征服を正当化しようとする思想が背景にあった。

こうしたことを総合すると、「都」は大都市行政を効率化して戦争遂行に資するための道具として導入され、その名目に「皇都」なる神がかり的な意味合いが付与されることによって正当化された、という考え方が成り立つ。

そうしたことを踏まえたときに、大阪が「都」を名乗ることの意味合いがどこにあるのか、何が隠されているのか、それとも隠されていないのか。

こうした見極めが、大阪の帰趨を決めることになると言っても過言ではない。

  • 古井喜実(1943)「東京都制について(一)」『国家学会雑誌』第57巻第9号
  • 東京都編(2013)『都史資料集成II 第1巻 東京都制の成立』東京都
  • 都政20年史編さん委員会編(1965)『都民と都政の歩み : 東京20年』東京都
  • 東京百年史編集委員会編(1972)『東京百年史〈第5巻〉復興から壊滅への東京(昭和期戦前)』東京都

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教育実習で見た「若者」と「政治」の現在地(By Keita)

教育実習で見た「若者」と「政治」

私事ですが先日、公立高校に教育実習に行ってきました。

私の免許は地理・歴史科と公民科なので、実習校では現代社会を教えました。担当した部分は「地方自治」と「選挙制度」!

今回は教育実習で見た、若者の政治や時事問題に対しての関心についてお話ししたいと思います。

地方自治から見えた「若者」と「政治」

まず、私の教えた地方自治の部分では、住民自治に基づいて認められている権利として、「イニシアティブ(住民発案)」「リコール(解職請求)」「レファレンダム(住民投票)」の3つが重要語句として出てきます。

そして、実習先の学校の現代社会の授業では、毎授業、最初に最近見た気になるニュースを発表することになっています。現代社会という教科は、教科書で学んでいることが、まさに今現在進行形で、実際の現実で起こっており、生徒自身の生活と切り離すことのできない教科だと私は思っています。

前置きが長くなりましたが、レファレンダム(住民投票)という語句が出てきた際、ニュースのチェックを課題にしていることもあり、私はひとつの質問を生徒にしました。

「現在(10月15日)、日本でレファレンダム(住民投票)が行われているのを知っている人?」

高校1、2年生、計6クラスでこの質問をしましたが、答えられた生徒は1人だけ。
「大阪都構想という言葉を知っている人?」
と質問を変えても、手を挙げた生徒は10人もいませんでした。

これが現在の「若者」と「政治」の間にある距離です。

もちろん、分かっていたけれど手を挙げなかった生徒もいると思いますし、15~17歳の生徒なので選挙権はありません。しかし、この240分の1(40人学級×6)という数字が、現在の若者、高校生の政治や社会への関心度なのです。(学校の学力レベルは偏差値50よりやや上の中堅校です。)

「若者」と「政治」の間にあるもの

ではなぜ、毎日ニュースで取り上げられている「大阪都構想」という政治的キーワードを大多数の生徒は知らなかったのでしょうか?「若者」と「政治」の間にあるものはなんなのでしょうか?

9月、N高等学校が設立したN高政治部の授業に登壇した麻生太郎副総理は、「若者が政治に関心がないことは、悪いことではない」、「それだけ日本で平和に暮らしているということだ」として、自らが政情不安のアフリカにすんでいた経験から、アフガニスタンなど戦闘が続き、命の危険がある中では政治に関心を持たざるを得ない、政治を気にしなくても安心して暮らしていけるという意味では「政治に関心が無くても平和に生きられる国にいる方がよっぽど良い」述べました。

つまり、関係がないから関心がないのです。

もっと言うと、関係があることを知らないから関心がないのです。

例えば、学校の周りの道が狭くて危ない、また街灯がないので夜になると暗くて危ない。
駅前に勉強する場所が少ないなど、若者の身近にも問題はあるはずです。
しかし、それを政治によって変えられることを知らない、これで仕方がないと受容してしまっているのです。

「若者」と「政治」を近づけるために行われていること

現在、主権者教育として、「私たちが拓く日本の未来」という、総務省と文部科学省が作成した副教材が全国すべての高校生に配布されています。

しかし、私たちと政治がどのように関係しているかの記述は少なく、選挙や政治の仕組みの解説がほとんどであることもさることながら、「フリガナ」がないのです。

選挙には4つの原則があります。そのうちの1つが財産や性別に関係なく選挙権が与えられる「普通選挙」という原則であり、もう1つが人種、性別、社会的身分、門地、教育などによって差別してはならず、一人一票を平等に扱うという「平等選挙」という原則です。つまり、勉強が得意でない生徒も、もちろん主権者なり、この副教材を使うのです。かなり細かく初歩的なところですが、主権者を育てるうえで、いかがなものかと思います。

最後に

私はこの現状に非常に驚いたとともに、危機感を覚えました

「大阪都構想」という言葉の内容は知らなくても言葉くらいは知っているものだと思っていました。

若者の政治参画を促す。これは私たちpolicyが目指していることです。

同じ若者である私たちが、政治の記事を届けることで、政治を身近に感じてもらい、若者の政治参画を促す。自分たちが生きる未来の社会は自分たちで創る。

「若者」と「政治」の距離を少しでも近づけられるよう、アクションを起こしていきたいと、今回強く思いました。

注記)地方公務員法36条および教育公務員特例法18条、公職選挙法第137条を順守し授業を行っております。また、大阪都構想は最新図説現社(浜島書店)にも記載されています。

https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/09/16/makeschool/

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