大阪都構想を中立的な視点で見る

2度目の大阪都構想への挑戦

大阪都構想とは?時系列で説明

2008年、橋下徹氏が大阪府知事に就任することで、今日で騒がれている「大阪都構想」は動き始めた。橋下氏は、大阪府政と大阪市政は二重行政が横行していると問題視し、「広域行政と基礎自治体の行政、機能の分化、整理というものはきちんとやらなきゃいけないと思ってます。」と語った。

2010年、前身となる大阪府議会会派「自由民主党・維新の会」から「大阪維新の会府議会議員団」が独立。同年、橋下徹を代表として「大阪維新の会」が発足する。大阪維新の会は自民党からの出身であり、自民党から受け継いだものもあれば、独自な文化もある。

2010年、大阪維新の会が発表した行政構想で、大阪市・堺市を含めた政令市を解体し一体化させるというもので、2015年を目標に実現を目指すものだった。

2011年、大阪府知事・大阪市長ダブル選挙が行われる。大阪市長に橋下徹氏、大阪府知事に松井一郎氏が就任した。大阪市では自民党を抜いて、大阪維新の会の勝利を収める形となった。

当時の大阪都構想は堺市を含めたもので、堺市の協力が必要であった。しかし、2013年、堺市長選挙で大阪都構想に反対する竹山氏が大阪維新の会の候補を破り市長に就任した。こうして、事実上堺市を含めた都構想は潰えてしまった。翌年の2014年、大阪市長選挙で橋下氏が大阪市長を再任する。

2015年、「大阪市における特別区の設置についての投票」が行われる。政令指定都市の廃止を問う全国初の住民投票となった。住民投票の結果、賛成694,844票、反対705,585票となり僅差で反対票が上回り「大阪都構想」は否決された。この結果を受けて橋下氏は政界を引退した。同年に行われた大阪府知事選挙は松井一郎氏が就任し、大阪市長選挙では大阪維新の会の吉村洋文氏が就任する。

2018年、大阪維新の会は大阪市を4区に分割する案を支持し、大阪市を解体して「淀川区」「南区」「北区」「天王寺区」とする構想を目指す。翌年、2019には松井氏が大阪市長を、吉村氏が大阪府知事を再任した。

2020年11月1日、2度目の住民投票が行われる見通しだ。

大阪都構想のメリット・メリット

[box05 title=”メリット”]・二重行政の解消
過去に大阪市と大阪府で二重行政が指摘されていた。市と府の方向性が合わず無駄な公共投資が行われていたが、重複する事業を統廃合することで行政の無駄を解消しようとするもの。こうした府市の対立を未来に渡って無くすことで、役割分担を徹底し、二重行政を制度的に解消しようとするもの。

・住民サービスの向上
「淀川区」「南区」「北区」「天王寺区」の区長は選挙によって選ばれ、住民のニーズに合わせた、区独自の発展が可能となる。現在では区長は選挙で選ばれておらず、大阪都構想による特別区が設置されると、区長を選挙で選べるようになる。[/box05]

[box05 title=”デメリット”]・行政効率の低下の懸念
都構想になると大阪市を解体されてしまうため、市内全域をまとめて管理する「一部事務組合」という組織が設立される。(水道事業や児童自立支援施設、保護施設、市立病院、斎場など)従って、「大阪府」、「一部事務組合」、「特別区」の三重行政になってしまうという批判がある。

・再編コストがかかる
これまで大阪市ひとつの行政単位で行っていたものを分割し、それぞれの区長に任せるため、行政コストが上昇する。大阪市が出した資料によると分割コストが241億円であり、毎年ランニングコストの上昇が30億円ということになっている。ちなみに「大阪市」は消える。[/box05]

鍵は税収を増やせるか

大阪都構想の最大の懸念は今より行政コストが上昇することであり、もし、都構想実現により大阪が経済発展し税収も増加するのであれば、この問題は解消される。大阪都になることで成長できると思う方は「賛成」に。鈍化すると思う方は「反対」に投じてもらえば良いと思う。

感情的な面としては、「大阪市」が消えるかどうかについて、私は大阪市に縁もゆかりもないので分からないが、市民からすると寂しいのかもしれない。

行政改革は基本的に国から地域へと波及していくが、大阪都構想は地域から出るもので、この行政改革が行われれば他地域へ波及する可能性は極めて高い。11月1日はまさに分水嶺であり、住民投票が否決されれば維新の会は勢いを失うだろう。住民投票には政治的な思惑も絡まってくるのかもしれない。

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