【熊谷千葉県知事誕生!?】鈴木大地氏不出馬で揺れる千葉県知事選

鈴木大地氏不出馬で様相一転

本記事は「【熊谷vs鈴木】これで丸わかり!千葉県知事選挙(By うの)」の続きです。

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鈴木大地氏の不出馬表明

自民党千葉県連は前向きに千葉県知事に鈴木大地氏を擁立させようと考えていたが、10月28日に様相は一変した。10月28日、地方紙・千葉日報が「鈴木大地氏、擁立困難 自民、森喜朗氏が反対 国会議員あす協議「候補探す場に」【’21千葉知事選】」という記事を出す。以下、記事の一部を引用する。

来年春の千葉県知事選を巡り、森田健作知事(70)の4期目不出馬を前提に、自民党県連が擁立を進めてきた鈴木大地前スポーツ庁長官(53)=習志野市出身=の出馬が、ここにきて困難な状況になったことが28日、関係者への取材で分かった。県連幹部の1人は、30日に県連所属の国会議員団再協議を予定通り実施すると強調した一方で「みんなで一緒に候補者を探していこうと確認する場だ」と説明。鈴木氏擁立の組織決定を目指すとしてきた従来の説明を軌道修正した。

東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が28日、自民県連会長の渡辺博道衆院議員と東京都内で会い、知事選を巡り意見交換。関係者によると、>森氏は、自民県連が擁立を調整する鈴木氏の出馬に反対する考えを伝えた。

森氏はスポーツ界に大きな影響力を持つ。森氏の反対で、自民県連が目指した鈴木氏の擁立は困難な情勢になった。森氏は会談で、スポーツ庁を重視する立場を説明し、長官を退任したばかりの鈴木氏が保守分裂の可能性がある千葉県知事選に巻き込まれることに懸念を示した。森氏は鈴木氏とも面会した。

関係者によると、森氏は鈴木氏が長官時代から関係が深い。自民県連の一部国会議員らが鈴木氏擁立に異論を唱える中、熊谷氏を推す動きも出て、事実上の分裂選挙になる恐れを懸念したとみられる。

10月28日以前は鈴木大地氏も千葉県知事に意欲的であったし、森元首相も始めは賛成であった。しかしながら森元首相の突然の反対。結果として、鈴木大地氏の擁立は困難な事態となってしまった。

熊谷支持を打ち出す石井準一氏

千葉県選出の石井準一参議院議員は一貫して千葉市長・熊谷俊人氏を県知事に推したい考えを示していた。10月14日に自民党本部で開かれた国会議員団会議では「経験値が高く、発信力もある」と熊谷氏に対して言及し、同日の夜に熊谷氏や県内の首長と会合を開き、その関係の近さを見せた。

石井準一氏は千葉県議への影響も強く、2019年に行われた統一地方選では多くの地方議員候補の応援に訪れ、地方議員からの信頼も厚い。自民党千葉県議団の中では”石井派”と呼ばれる派閥が存在しており、国政政党ほどの結束を持つ派閥でないにしろ、県議会においては自派閥を持つほどだ。

楽々余裕?千葉市長・熊谷俊人氏

保守分裂と噂された千葉県知事選挙だが、それどころか、鈴木大地氏を擁立できない結果となってしまった。熊谷氏は旧民主党出身で、熊谷市長就任当時は民主党旋風が巻き起こっていた。先代・鶴岡市長は収賄容疑で逮捕も相まって、千葉市内では民主党への期待が高かった。市長就任後は党派を超えて支持を広げている。前回2017年の千葉市長選では公明党県本部が支持し、自民党は独自候補を立てることが出来なかった。

熊谷氏の発信力はとても強く、市議会・県議会議員から「ブログ・Twitterの発信力はものすごいよね」と語られるほどだ。熊谷市長のTwitterを覗いてみると、市内外を問わず、県外にも”ファン”が多数いる。熊谷氏は全国最年少市長として就任したこともあるが、彼の実績についても見ていきたい。

[box05 title=”実績”]

・市債残高を8年間で600億円以上削減。将来負担比率を306.4%から208.7%へ減少させ、政令市ワースト1位を脱却。

・保育所の入所児童数を約5,000人増加させ、2014年~2015年度には、首都圏政令市で初めての2年連続待機児童ゼロを達成。

・年平均2件程度だった企業誘致を2012年度から2015年度まで、それぞれ19件、25件、37件、35件と大幅に増加させ、1万人以上の雇用と年12.2億円以上の税収を創出。

・可燃ごみ有料化などにより焼却ごみ3分の1削減を達成し、大都市リサイクル率も6年連続でトップに。

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しかしながら、当然批判的な目線もある。

[box05 title=”批判”]

・千葉市は稲毛海浜公園のリニューアル事業の一環でホワイトビーチを造った。整備事業費は約8億円、白い砂はオーストラリアから輸入したが、静岡県熱海市・熱海サンビーチは風で飛ばされづらい千葉県君津産の砂を選んだ。その結果、熱海サンビーチでは年間の訪問者数は40万人と「いなげの浜」の3倍以上。その後、台風の到来により砂が流されてしまったために改修へ。税金が無駄遣いされているのでは。

・モノレールの延伸計画中止を発表。熊谷氏は「費用便益比が大幅に低下するため中止と判断した」と説明した。地図上でモノレールの路線を見ると、千葉都市モノレールでありながら、モノレールの恩恵を受ける人は限られ、路線の短さを感じさせられる。千葉市のモノレールは懸垂型で、その特殊な形状から点検・改修にもコストがかかる。市民からは「千葉大病院に延伸する計画があったはずだ、福祉に繋がるし、利用者も確保できたはず。なぜ中止したんだ。」と疑問を呈された。

・愛知県で校外学習後に児童が熱中症で亡くなった事故が起こったことを機に、全国で小中学校の熱中症についての関心が高まった際、千葉市の普通教室のエアコン設置率は0パーセントであることがわかり炎上した。つけない理由は、老朽化の校舎の改修が優先で、予算がないためと説明であったが、近隣の、市川市、船橋市、等はエアコン設置率100%であった。市長の子息が私立学校に通っている事も相まって、非難が殺到した。現在は設置する方向で進んでいる。

・千葉市は中央区、美浜区、花見川区、稲毛区、若葉区、緑区の6つの区で構成されている。都心側である花見川区・美浜区の投資がなされているが、反対に若葉区や緑区はなかなか開発が進まない。10年くらい街の景色が変わっていないという状態が続いているのではないか、自分の地盤に投資が行われているのではないか、という批判がある。

また、他にも批判があるので引用し記載しておく。

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なぜ鈴木大地氏は不出馬となってしまったのか

森元首相は政界、前述のようにスポーツ界に大きな影響力を持つ。森元首相の鶴の一声で知事選出馬困難になってしまった様子から見て、鈴木大地氏も森元首相には頭が上がらないのだろう。朝日新聞の取材で、森氏は「(分裂選挙で)泥沼になるに決まっている。そんなところに大地君を放り込んだら、無残なことになると思った」と語った。

スポーツ庁長官を4年間務めた経験は、千葉市長3期目になる熊谷氏と比べると劣ってしまう。加えて、鈴木大地氏は政治家ではないという批判があった。確かに、鈴木大地氏は議員ではないし、政治的な手腕の部分では懸念があった。森会長によると、馳浩衆院議員が鈴木氏に「当選したとして、県議会とやり合えるのか」と質問すると不安げな回答が返ってきたという。

森田健作知事は鈴木大地氏の不出馬に「驚いた」と語った。森田県政に批判的な態度をとってきたのは熊谷氏への対抗馬のために立てた鈴木大地氏が不出馬となっては大変残念だろう。鈴木大地氏はスポーツ庁長官を退任後、順天堂大学に特任教授として迎えられることが決まっていたこともあり、出馬を取り下げるという決断が出来たのかもしれない。

さいごに

旧民主党出身の熊谷氏ではあるが、リベラル側から猛烈な支持を受けているかといえば、そういうわけでもない。自民党の千葉県議会議員らも歓迎ムードでは全くない。ある石井派の県議は「鈴木大地でいくんじゃないの。分からないけど、県連で推すなら俺はそっち(鈴木大地)を推す。」と語っていた。石井派であっても熊谷氏を支持しているかはまた別問題だ。

これから自民党は新たに擁立する事態になるのか、もしくは、なし崩し的に熊谷氏を事実上応援する形になるのか、今後の状況を静観していきたい。

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