食料品、生活必需品の調達が困難な人のことを「買い物難民」といいます。
過疎化が進む地域だけでなく、三大都市圏でもその人口は増加しています。
高齢者社会が進む日本の社会課題です。
キーワード解説:買い物難民
買い物難民の定義
買い物難民(買い物弱者)とは、自分が住んでいる地域で食料品の購入、生活用品の購入や役所への手続きなど、あらゆる社会サービスを受けることが困難な人々のことを指します。
過疎化で駅前のスーパーや商店街が閉鎖に追い込まれる、高齢で行動範囲が狭まってしまう、地元の企業(小売業界)が撤退してしまう、これらの要因で買い物難民が生まれています。
農林水産省の定義では「店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者」を「食料品アクセス困難者」としています。
2015年現在、この人口は824万人です。
2005年の調査時と比較すると、全国で21.6%増加しました。
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都市部の買い物難民
「近くにお店がなくて買い物ができない」こう聞くと、過疎化が進んだ地方の町を想像するかもしれません。
しかし、都市部でも買い物難民が生まれています。
2005年から2015年の10年間で三大都市圏の買い物難民の数は44.1%増加しているのです。
東京23区内では、古くなったマンションや団地に住む住民が高齢化しています。
高速道路をはじめとする大きな道路、建物、線路などが周辺にあると、近隣のお店に行くまでに大きく迂回しなければならないという事例が発生しました。
エレベーターのない団地での階段の昇り降り、距離は近いけれどなかなかたどり着けないお店、都市開発の裏ではこのようなことが起きているのです。
買い物難民問題の解決策
最近はネット販売が拡大し、共働き世代や1人暮らしの若者、大学生の利用者が増えています。
もちろん電話やネットで生活必需品を手に入れることができるようになったことは、この問題の解消に役立っています。
しかし、ネット販売だけでは買い物難民問題を解決できません。
充実したネットサービスを積極的に利用する高齢者は少ないからです。
最近では、行政や企業が協力し「買い物代行サービス」に取り組んでいる地域があります。
「買い物には行けないが、食料品は自分の目で買いたい」という人には移動販売サービスもあります。
一方で、このサービスもネットを媒介として利用者と提供者がやり取りをするため高齢者にはあまり根付かないのではないかという懸念もあります。
高齢者が身近に利用できるサービスを行政が積極的に促進することが急務です。
まとめ
日本は今後、ますます高齢社会が進みます。
加えて都市部への人口、産業の集中がさらに加速した場合、過疎地が増え買い物難民は増加します。
地方の衰退によって「買い物難民」は今以上の社会問題になるかもしれません。