【買い物難民】高齢者が直面する社会問題を解説

食料品、生活必需品の調達が困難な人のことを買い物難民といいます。
過疎化が進む地域だけでなく、三大都市圏でもその人口は増加しています。
高齢者社会が進む日本の社会課題です。

キーワード解説:買い物難民

買い物難民の定義

買い物難民(買い物弱者)とは、自分が住んでいる地域で食料品の購入、生活用品の購入や役所への手続きなど、あらゆる社会サービスを受けることが困難な人々のことを指します。

過疎化で駅前のスーパーや商店街が閉鎖に追い込まれる、高齢で行動範囲が狭まってしまう、地元の企業(小売業界)が撤退してしまう、これらの要因で買い物難民が生まれています。

農林水産省の定義では「店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者」を「食料品アクセス困難者」としています。

2015年現在、この人口は824万人です。

2005年の調査時と比較すると、全国で21.6%増加しました。

新たな食料品アクセスマップからみた食料品アクセス困難人口の動向(農林水産政策研究所)
社会課題と市民活動(大阪市市民活動総合ポータルサイト)

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都市部の買い物難民

「近くにお店がなくて買い物ができない」こう聞くと、過疎化が進んだ地方の町を想像するかもしれません。

しかし、都市部でも買い物難民が生まれています。

2005年から2015年の10年間で三大都市圏の買い物難民の数は44.1%増加しているのです。

東京23区内では、古くなったマンションや団地に住む住民が高齢化しています。

高速道路をはじめとする大きな道路、建物、線路などが周辺にあると、近隣のお店に行くまでに大きく迂回しなければならないという事例が発生しました。

エレベーターのない団地での階段の昇り降り、距離は近いけれどなかなかたどり着けないお店、都市開発の裏ではこのようなことが起きているのです。

700万人の”買い物難民”を救う4つの方法(PRESIDENT Online)

買い物難民問題の解決策

最近はネット販売が拡大し、共働き世代や1人暮らしの若者、大学生の利用者が増えています。

もちろん電話やネットで生活必需品を手に入れることができるようになったことは、この問題の解消に役立っています。

しかし、ネット販売だけでは買い物難民問題を解決できません。

充実したネットサービスを積極的に利用する高齢者は少ないからです。

最近では、行政や企業が協力し「買い物代行サービス」に取り組んでいる地域があります。

「買い物には行けないが、食料品は自分の目で買いたい」という人には移動販売サービスもあります。

一方で、このサービスもネットを媒介として利用者と提供者がやり取りをするため高齢者にはあまり根付かないのではないかという懸念もあります。

高齢者が身近に利用できるサービスを行政が積極的に促進することが急務です。

「買い物難民」への対策事業は7割が赤字と判明!運営の改善と継続には、国のさらなる支援が必要(みんなの介護)
広がり、増え続ける買い物難民、高齢者にとっては フードデザート(食の砂漠)問題として健康に係わる問題となっています((大阪市市民活動総合ポータルサイト)

まとめ

日本は今後、ますます高齢社会が進みます。

加えて都市部への人口、産業の集中がさらに加速した場合、過疎地が増え買い物難民は増加します。

地方の衰退によって「買い物難民」は今以上の社会問題になるかもしれません。

【5分でわかる】生活保護を受ける条件は?どのような問題がある?

キーワード解説:生活保護

厚生労働省によると、生活保護制度「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的」としています。日本では約164万世帯が生活保護を受給しています。生産年齢人口がますます減っていく日本にとって、社会保障問題は重要な社会課題です。

生活保護の目的

厚生労働省によると、生活保護制度「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的」としています。

自立の助長に関しては、厚生労働省は「自立支援プログラム」を作成し、様々な受給 世帯に応じた「自立支援」を行っています。

生活保護制度(厚生労働省)

生活保護受給者の推移

生活保護の受給者や受給世帯数をみていきましょう。

受給者数について

平成30年10月時点の生活保護受給者数は約210万人となっており、平成27年3月に過去最高を記録した後、減少傾向にあります。

平成22年1月の12.9%をピークに低下傾向が継続しており、平成27年9月以降マイナスとなっています。

受給者の動向を年代別にみると高齢者の受給者数の伸びが大きく、生活保護受給者の半数近く(平成28年7月末時点で約47%)は65歳以上の者となっています。

世帯数について

平成30年10月時点の生活保護受給世帯数は約164万世帯となっています。

これまで増加傾向でありましたが、平成30年以降減少傾向に転じました。

世帯数の動向を世帯類型別にみても、社会全体の高齢化の進展と単身高齢世帯の増加を背景として高齢者世帯の増加が続いています。

一方、高齢者世帯を除く世帯は、良好な雇用情勢を背景として、平成25年2月のピーク時から約14万世帯減少しています。

生活保護制度について(厚生労働省)

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生活保護を受けられる条件とは

1.能力の活用について

世帯の中で働くことができる方は、その能力に応じて、働いて収入を得る努力する必要があります。

これは、思わぬケガや病気で働くことが出来ない場合や、家庭の事情や年金の支給額が少なく生活の困窮状態となってしまうと自分一人の力ではどうすることも出来なるようなケースを想定していると考えられます。

2.資産の活用について

世帯の資産(土地・家屋・自動車・貴金属・預貯金・生命保険など)で、生活保護を受けている間に保有が認められないと判断されたものについては、売却などの処分をして世帯の生活費に充てなければなりません。

簡単に言えば、生活保護は最後のセーフティネットであって、売れるものがあるなら売ってお金にしてください、ということです。

3.扶養義務者からの援助について

親・子・兄弟姉妹などから、仕送りや養育費などの援助を受けることができる場合は、そちらを活用してください。

4.他法他施策の活用について

年金・各種手当など、生活保護以外の制度で利用できるものがある場合は、生活保護ではなく、そちらを優先して手続きを優先します。

生活保護制度について(千葉市)

まとめ

生活保護に対する問題は数多くあります。

しかし、生活保護によって救われている命があることは明確です。

日本国憲法で規定されている「健康的・文化的な最低限の生活」が送れていないと判断されることができれば、生活保護を受けられます。

いつ誰が生活保護を受けることになるかはわかりません。

私たちで、住みやすい社会を築いていきましょう。

【下流老人】日本が直面する高齢者の貧困問題

キーワード解説:下流老人

貧困問題を表した言葉に「下流老人」というものがあります。
生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者のことを指します。
会社定年時には充分な資産を持っていても、さまざまな要因でこの状態に陥る可能性があるのです。

下流老人とは?

下流老人(かりゅうろうじん)とは、社会福祉士の藤田孝典さんがつくった造語のことです。
高齢者のひっ迫した生活問題を捉えた言葉です。

また、この藤田さんの著書の題名でもあります。

貧困という言葉がちらつきますが、資産に余裕があったにもかかわらず「下流老人」に転落したケースもあります。

高齢化した社会では、この「下流老人」が増えると予想されています。

下流老人の定義

藤田さんの著書では、下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」とあります。

著書では、2015年において下流老人は日本国内に推定600万〜700万人いるとされています。

具体的な事例を用いて、藤田さんは例を挙げています。

スーパーマーケットでは、見切り品の惣菜や食品を中心にしか買えずに、その商品を数点だけ持ってレジに並ぶ老人。

そのスーパーマーケットで、生活の苦しさから万引きをしてしまい、店員や警察官に叱責されている老人。

医療費が払えないため、病気があるにも関わらず治療できずに自宅で市販薬を飲みながら痛みをごまかして暮らす老人。

夏場に暑い中、電気代を気にして、室内でエアコンもつけずに熱中症を起こしてしまう人。

家族や友人がいないため、日中は何もすることがなく、年中室内でひとりテレビを見ている状態にある人。

収入が少ないため、食事がインスタントラーメンや卵かけご飯などを繰り返すような著しく粗末であり、3食まともに取れない状態にある人。

ボロボロの築年数40年の持ち家に住んでおり、住宅の補修が出来ないため、すきま風や害虫、健康被害に苦しんでいる人。

実例を挙げてみると、意外とピンときたり、多いかもしれないと思います。

増え続ける「下流老人」とは!?ー年収400万円サラリーマンも老後は下流化する!?(YAHOO! ニュース)

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下流老人になってしまうケース

年収は1000万円程度、退職時には資産があっても、貧困になるケースがあります。

退職してすぐ、新築マンションを購入し、預金は一気に減りましたが、年金が月に30万円も受け取れるため、問題なく暮らせるだろうという考えでした。

ところが、妻が認知症を発症し、高額な医療費負担が発生し状況が一変します。

料金が高い老人ホームに入所し(しっかりとした施設を選んだ)ために、一時入所金が2000万円必要になったのです。

この時に貯金が尽き、入所した老人ホームは、月に17万円の費用がかかりますが、所得は月30万円ほど。

差し引きで手取りは13万円ほど。

住居を売却するにも、一度住んでしまえば値が大幅に落ちてしまいます。

自身の高齢ですので病気の危険性もあります。

こうして下流老人へと転落してしまうケースがあるのです。

まとめ

老後は2000万円以上必要と言われていますが、2000万円以上の所得を持っていたとしても、貧困に足を踏み入れてしまう可能性があります。

こういった老後を過ごそう、という計画をしっかり練って、安全な老後を過ごしましょう!

【高齢化問題】独居高齢者生活について解説【5分でわかる】

独居高齢者生活

65歳以上の高齢者の一人暮らしが年々増加傾向にあります。それに伴い、認知症や孤独死などの様々な問題もまた増加しつつあります。今回はそんな「独居高齢者」の増加問題について解説。

高齢者の一人暮らしが増加!

一人暮らしをしている高齢者の人数の推移

65歳以上の一人暮らし高齢者は、男女ともに増加傾向にあります。

内閣府 の「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版)」によると、1980年には、男性が約19万人、女性が約69万人でした。

占める割合としては男性4.3パーセント、女性11.2パーセントが高齢者人口です。

2010年には、男性が約139万人、女性が約341万人となり、急速に増加しています。

占める割合としては男性11.1パーセント、女性20.3パーセントが高齢者人口という結果になっています。

2025年には、男性が約230万人、女性が約470万人、高齢者人口に占める割合は男性14.6パーセント、女性22.6パーセントにまで増加する見込みです。

内閣府 平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版

高齢者の1人暮らしによってどういう問題が起きる?

高齢者の1人暮らしによって最も深刻化するのは「認知症」です。

一人暮らしの高齢者が認知症にかかると、地域との摩擦が起こり、近所の住人とトラブルに巻き込まれる可能性があります。

例えば、近所を徘徊したり、交通ルールを守れず交通事故を引き起こす可能性があります。

最悪の場合、今住んでいる部屋からの退居を余儀なくされたり、犯罪に発展したりするケースもあるため、認知症高齢者を一人きりで生活させるのは問題が大きいといえます。

2025年には、一人暮らしの認知症高齢者は約150万人にも及ぶとされています。

高齢者の一人暮らしについて考える上で、孤独死もまた避けられない大きな問題の一つです。

亡くなることで、物件に損害を与えてしまったり、死体の取扱いに税金が投入されます。

放置されれば感染症が蔓延する可能性もあり、社会の負担が増えることが懸念されます。

高齢者の一人暮らしが拡大することによって様々な社会的トラブルが予想されるのです。

認知症患者の推移

高齢者問題と認知症問題は切っても切れない関係にあります。

認知症患者の推移はどのようになっているでしょうか。

ちなみに、高齢者の約4人に1人が認知症の人又はその予備群と言われています。

高齢化の進展に伴い、認知症の人はさらに増加 2012年に462万人(約7人に1人)⇒ 2025年に約700万人(約5人に1人)にのぼると言われています。

これからの方針として、認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく、認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるような環境整備が必要です。

認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要

高齢者の暮らしを支えるために、家族ができること

高齢者の状況にもよりますが、一緒に暮らすことが本人にとって一番為になります。

自分にも家庭があったり、仕事があったりという理由で、同居が難しい場合があると思います。

その際は公的なサービスを利用したり、相談窓口に相談してみてください。

特に、認知症がある高齢者は、腐っているものを食べてしまったり、暑くてもエアコンを使わずに脱水症になってしまったりするおそれがあります。

一緒に暮らすことで、社会との接点を持たせられるように努力していきましょう。

地域で高齢者の暮らしを支えあう事が重要です。

一人暮らし高齢者の問題点を把握しておこう

ひとり暮らしの高齢者が増加しています。

高齢者のひとり暮らしが引き起こす問題を把握しておくことが今後の対策に繋がります。

同居が必ず正しい選択肢とは言えません。

本人にあった方法で、社会との接点を持ちながら、暮らしていくことが大事です。

自分たちはどうしたいのか、高齢者本人や家族で早いうちから話し合っておきましょう。

【5分でわかる】認知症とは?

キーワード解説:認知症

日本の慢性的な高齢化社会の中で、認知症患者は増えています。認知症が原因で起きる問題も、今日注目を浴びるようになってきましたが、あまりこの認知症について知っている人は少ないのが現状です。今回は、そんな認知症について概要から原因・種類や治療薬についても解説していきます。

認知症とは?

認知症とは、老化によって脳の神経細胞が破壊・減少し、物忘れが激しくなる忘れたことを自覚できない判断能力が低下などの症状から、日常生活が正常に送れない状態のことです。

認知症の原因と種類

慢性的に続く高齢化社会の中、認知症患者は増え続けています。その原因から種類を見ていきましょう。

認知症の原因

認知症には2つの要因に分かれます。

変性性認知症

全体の約70%がこれにあたります。

脳の神経細胞が変性・減少する事で発症する認知症です。

アルツハイマー型認知症が約50%を占めて、他に、レビー小体型認知症が20%、他には、前頭側頭型認知症が有名です。

脳血管性認知症

全体の約20%がこれにあたります

脳血管障害が原因となって発症する認知症です。

その他の認知症として全体の約10%を占めています。

脳外傷や脳腫瘍、脳炎等が原因となって発症する認知症です。

三大認知症

アルツハイマー型認知症

脳にアミロイドβやタウというタンパク質が塊となって凝集し、シナプスを死滅させる事が原因です。

唯一治療薬が存在する認知症です。

脳血管性認知症

脳血管障害(脳梗塞や脳出血の多発)が原因で、血圧のコントロールや糖尿病・脂質異常症の治療が重要になります。

レビー小体型認知症

大脳皮質に現れるタンパク質の塊「レビー小体」が原因ですが、大脳皮質にレビー小体が蓄積される理由は解明されていません。

進行性の機能低下と幻視、パーキンソニズム(振戦、筋肉の固縮、緩慢動作、歩行障害などの症候のうち少なくとも2つの症候を発現)があります。

病初期にはアルツハイマー型認知症との鑑別が困難なことがあります。

認知症患者の推移

高齢者の約4人に1人が認知症の人又はその予備群と言われています。

高齢化の進展に伴い、認知症の人はさらに増加 2012年に462万人(約7人に1人)⇒ 2025年に約700万人(約5人に1人)にのぼると言われています。

これからの方針として、認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく、認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるような環境整備が必要です。

認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要

認知症の治療薬は?

治療薬ですが、これはアルツハイマー型認知症の進行遅延を目的とするものです。

・アリセプト

・イクセロンパッチ

・リバスタッチパッチ

・レミニール

・メマリー

コリンエステラーゼ阻害薬と、NMDA型受容体阻害薬と呼ばれるものの2つです。

「認知症を受け入れられる社会」を作っていく必要がある

認知症高齢者に合わせた地域の実現には、国を挙げて取り組んでいく必要があります。

認知症への対応は地域社会で協力しつつ、社会全体で共有していかなければなりません。

認知症への対応は今や世界共通の課題です。

【労働問題】雇用の多様化とは?それぞれの雇用形態を解説!

キーワード解説:雇用の多様化

働き方改革や、ワークライフバランスの考え方が浸透する中、昨今の雇用は非常に多様になってきました。意識していないだけで、意外と多く働き方があります。今回は、この「雇用の多様化」についてそれぞれの雇用形態などからそのメリットまで解説していきます。

雇用の多様化とは?

雇用の多様化とは、一つの企業の中にいる労働者でも、「正社員」だけでなく「契約社員」「パート」「業務委託」など様々な働き方の人がいる状態のことを言います。

これまでの日本社会は、企業で働いていたのは「正社員」のみという所が多かったので、それと比較して雇用は多様化してきていると言えるでしょう。

それぞれの雇用形態

では、多様化する雇用に数えられる、それぞれの雇用形態の特徴を解説していきます。

正社員

企業に、無期限(基本定年まで)で雇われている社員のこと。フルタイム労働が基本で、賃金や福利厚生が非常に充実している場合がほとんど。

契約社員

雇用期間の決まっている社員。更新がなければ雇用契約は自動的に終了させられます。

給与や労働時間などは、その契約に準じる形で決められます。

社会保険加入は正社員と同じようにできます。

派遣社員

「派遣会社」に雇われ、別の派遣先の企業へ出向いて、そこで仕事をします。

賃金格差や出向先の福利厚生施設が使えないことが問題になったことがあります。

臨時社員


アルバイト社員に近く、臨時社員とアルバイト社員の明確な区別はない。比較的短い期間の契約で、労働者がそれぞれ個別で契約して労働する。

嘱託社員

多くの場合、定年後の再雇用社員などを指して表現する言葉。アルバイト社員や臨時社員と明確な区別はありません。

パート・アルバイト

比較的短い労働時間で雇用される雇用形態。時給制の場合が多いです。

業務委託(クラウドワーカーなど)

企業から、業務を委託されてそれを請け負う形の雇用形態。企業から直接仕事をもらう場合もあれば、クラウドソーシングサービス(クラウドワークス・ランサーズなど)を通して行われる場合もあります。

正規雇用の特徴

正規雇用の特徴は、まず待遇の良さや福利厚生が整っている点が挙げられるでしょう。

また、日本では一度会社に入ってしまえばよっぽどのことがない限り解雇されることはないため、雇用に関しては、長期間安心して生活することができます。

しかし、反面基本的に平日8時間フルタイムで働くことが必須なので、仕事中心の生活になりがちという点があります。

非正規雇用の特徴

非正規雇用の特徴は、自由な雇用形態であるということでしょう。

仕事中心ではなく、育児や趣味など自分が大事にしたいものをやりたい人にはうってつけの雇用形態かもしれません。

しかし、反面正社員と比べて待遇が劣ることや、雇用が安定していないことはデメリットとして留意しておかなくてはならないでしょう。

誰もが「生きがい」を持てる労働環境づくりを

昨今は、誰もが正社員として雇われ、仕事中心で生きていく、という社会ではなくなってきています。

しかし、社会の仕組みは過去のままで、賃金格差や待遇格差など、是正しなくてはいけない問題は山積みです。

雇用の多様化に対応していく形で、全ての人が働きがい・生きがいを持てるような労働環境作りをしていくことが、今後重要な課題となってくるでしょう。

【老老介護・認認介護】問題点とリスクを解説

キーワード解説:老老介護とは

65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護する状態のことを「老老介護」といいます。
老老介護には様々なリスクが伴い、介護する側、される側双方が認知症を発症する「認認介護」という状態を引き起こし得るのです。

老人が老人を介護する社会

老老介護とは

老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護すること、つまり老人が老人を介護することです。

現代の日本社会では老々介護が社会問題化しており、少子高齢化がこの社会問題を引き起こしています。

高齢化や核家族化が進み高齢者のみの世帯が多くなっているなか、老老介護の世帯も増えてきています。

医療の進歩で日本人の平均寿命が延びたことにより高齢者が高齢者を介護する状態が生み出され、社会がいびつになっています。

介護の5つの問題とは?老老介護から虐待まで原因と解決策総まとめ(イリーゼ)
老老介護・認認介護とは?増加している原因と問題点、今後の対策(イリーゼ)

認認介護とは

認認介護は事故が起きやすい危険な介護状況の一つです。

老々介護は認認介護に繋がります。

認認介護とは、介護する人と介護される人の双方が認知症を発症しているケースです。

そうした事情を考えると、老老介護がやがて認認介護状態になるのはそう珍しくないことがわかります。

老老介護の中には、「自分に認知症の症状がある」という自覚が無いまま介護を続けている人もいると考えられ、その割合や実態はつかみにくいものです。

高齢介護者は増加中

平成28年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者のみの世帯は全体の26.6%で、総数も割合も30年以上増え続けています。

また、65歳以上の要介護高齢者がいる世帯の54.7%が主介護者も65歳以上であり、いわゆる老老介護であることを示しています。

要介護者も主介護者も共に75歳以上という世帯も30%を超えています。

日本社会では老々介護が常態化しており、どのように解決するかが今後の課題です。

国民生活基礎調査(平成28年)

老老介護・認認介護が増加している原因

医療の進歩で日本人の平均寿命は年々延びていますが、日常生活を送れる「健康寿命」が改めて注目されています。

平均寿命から健康寿命を差し引くと、平均10年前後、要介護状態が続きます。

親の介護が始まったときには50代だった子供が介護を続けていくうちに60歳を超え、老老介護に突入するのです。

施設を利用するための準備をしても、介護者に比較的体力がある年齢の場合は、入所の順番待ちをすることになり、待っている間に老老介護に突入するケースも考えられます。

核家族化も要因となっており、独立して別居する子供世帯の家庭が増えたことにより、助けを求められず高齢夫婦間での老々介護を余儀なくされるケースも見られます。

「金銭的な余裕がない」「生活保護を受給している」などのケースも、老老介護に陥りやすくなります。

自宅介護も設備を揃えるために費用がかかりますし、訪問型の介護サービスを利用するにもお金が必要です。

要介護者を施設に入れるお金がなければ、年金を受給しながら介護生活をおくるしかありません。

金銭的な理由から、プロの助けを借りたくてもできない人は多く見られます。

老老介護と認認介護のリスク

老老介護、認認介護には様々なリスクがあります。

老々介護のリスク

・介護する側が高齢のため、負担が大きく共倒れしやすい
・介護する人がいない
・介護にかかる時間が増加する
・介護度が重くなるほど、お互いの負担が重くなる
・外出が難しくなり、社会とのつながりが希薄になる
・運動量が少なくなり、筋力が低下し、身体能力が衰える

認認介護のリスク

・薬の飲み忘れや飲みすぎの管理ができない
・食事管理、栄養管理ができない
・のどの渇きがわからず、適切な水分摂取ができず脱水症状を起こす
・身体の不調を説明できない、適切な処置ができない
・お金の管理ができない
・緊急事態に対応ができない

老老介護、認認介護の現状-対策やサポート方法は?(LIFULL 介護)

最後に

老老介護は、社会との接点、周りとの接点が重要です。

一人ではなかなか有益な情報を集めるのも難しくなってきます。

高齢化と核家族化が進んだ現代社会では、他人や行政の助けを借りてこそ、健全な介護を行えるのです。

困ったときは、子供や兄弟、親戚、そして行政に相談するのが、深刻な状況にならないためにも大切な手立てです。

1人1人が介護問題に直面するという自覚をもって置くことが今後必要になります。

【就活者必見!】「雇用のミスマッチ」とは?【労働問題】

雇用のミスマッチとは、求人側と求職者側のニーズが一致しないことを意味します。

昨今働き方に多様性が求められている中で、労働市場は大きな方向転換を求められています。深刻な人材不足の中、離職の大きな原因となる雇用のミスマッチ。今回はこの深刻な労働問題に関して詳しく解説していきます。

雇用のミスマッチとは

雇用のミスマッチとは、「採用側の企業と被採用側の人材、それぞれのニーズに違いがあること」です。

雇用のミスマッチが起きてしまうと、

  1. 労働者の能力を生かすことができない
  2. 労働者のやる気が出ない
  3. 離職率が上がる

といった問題が発生してしまいます。

以下、雇用のミスマッチについて解説していきます。

雇用のミスマッチの原因

では、雇用のミスマッチは何故起きてしまうのでしょうか??以下で解説していきます。

企業側が提供する情報が少ない

ミスマッチが起きるのは、被雇用者側が企業の事業や今後の展望、文化や社風といった情報を十分を十分に得られていない場合が非常に多いです。

昨今企業は求人にインターネットや採用支援企業(リクルートやdip、パソナなど)や就活イベントなどを利用しますが、そこで発信される情報が少なければ少ないほど「採用者のターゲット」が広がってしまい、ミスマッチが起こりやすくなってしまいます。

人間関係・労働環境が合わない

企業側が職務に関する説明を行っても、入社後の人間関係や文化・労働環境が肌に合わずミスマッチを起こしてしまう場合も少なく無い。

新卒採用という制度

また、日本には新卒採用という制度があり、この制度が非常に多くのミスマッチを産んでしまっている。

新卒採用(ポテンシャル採用)には、

  • 大量に採用できる
  • 会社への忠誠心の高い社員を育成できる
  • 格安で雇用できる

といったメリットはあるものの、新卒採用は、ポテンシャル採用と言う言葉が示すように、そもそも能力ベースの採用では無いため、要求される能力も分からず雇用のミスマッチが非常に起きやすいのが現状です。

大企業では、新卒で採用されたはいいもののやることはお茶汲みコピー用紙の取り替え電話番なんてことはざらです。

そうなると、能力と目標の高い社員ほど、その環境にギャップを感じてやめていってしまいます。

雇用のミスマッチを解消するには

日本において、雇用のミスマッチは深刻な問題です。この問題をどのように解消していくべきでしょうか?解説していきます。

労働環境の改善

どんなにやりたい仕事に就けても、職場の人間関係が壊滅していたり、サービス残業が慢性的な問題となっているなど労働環境が劣悪な職場では誰も働きたいとは思いません。

そうした環境では、雇用のミスマッチも起こりやすくなるでしょう。

労働環境とは、従業員が会社で働く上での場所や時間などを含めた環境のことを指します

企業情報の開示

企業のビジネス面の情報だけでなく、「企業の文化」や「社員の生の声」を発信していくことで採用者により企業のことを知らせることができ、ミスマッチを減らしていくことができるでしょう。

昨今はtwitterやinstagramと言ったSNSで誰でも簡単に発信ができます。積極的な発信が企業に合った人材の採用に繋がるでしょう。

採用に力を入れる

長期インターンとして学生を雇ったり、人事に採用を丸投げせず各部署で欲しいと思う人材に直接アプローチするなど、採用に力を入れることも重要です。

採用システム自体変えていく必要がある

雇用のミスマッチは、多くの就職者が直面せざるを得ない残酷な現実です。

「入ってはみたものの、職場環境に馴染めない」「やりたい仕事ができず苦痛」「仕事に全くやりがいを感じない」など、

ミスマッチが原因で何度も転職せざるを得ない人が毎年います。

確かにこれらの問題は企業努力によってある程度解消されるかもしれませんが、やはり制度的な問題も無視できません。新卒採用を前提とした大学教育や、採用制度を見直していかなければミスマッチの根本的解決はできないでしょう。

ワークシェアリングとは?概要・導入事例など徹底解説

皆さんは、ワークシェアリングという言葉を聞いたことがありますか?失業対策や働き方改革の一環として採用されていますが、そもそもこれはどんなものなのでしょうか?

今回はワークシェアリングについて、その概要から徹底的に解説していきます。

雇用を分け合うこと

ワークシェアリングとは本来1人の人に任されていた仕事を分担し、複数人で雇用を分け合うことを意味します。

一人ひとりの業務にかかる負担を軽減し、効率的、生産性の高い業務運営や社会全体の雇用拡大を目指す取り組みがワークシェアリングなのです。

ただ、この場合分け合うのは仕事や責任だけでなく賃金もその例に漏れないことに留意しておきましょう。

ワークシェアリングの種類

ワークシェアリングにはいくつかの種類があります。以下で詳しく解説していきます。

雇用創出型

少しでも多くの人に雇用の機会が行き渡るように、すでに雇用されている労働者一人当たりの労働時間を短くし、新規の労働者が就労のチャンスを得られるようにするためのワークシェアリングです。

雇用維持型

雇用維持型は、文字通り雇用維持のために行われるワークシェアリングです。この型は状況に応じて2つのパターンに分類されます。

財政悪化時の雇用維持のため

企業の業績が悪化した際、リストラの手段の一つとして行われるワークシェアリングの一種です。

社員を解雇せず、雇用は維持しつつ1つの仕事を複数人で分担して担当させることで失業者が出ないようにします。

高齢者の雇用維持のため

定年を超えた世代に活躍の場を提供するためのワークシェアリングです。

短時間の勤務や少ないシフトで働く労働者を多く雇用するのが特徴です。

多様就業促進型

様々な働き方を実現するために活用されるワークシェアリングです。

趣味と仕事、育児と仕事、介護と仕事、仕事と仕事など…。個人の仕事に対する考え方は昨今多様になってきています。

多様就業促進型では、そうした考え方・ワークライフバランスに配慮し、「ワークシェアリングでやりたいことと仕事のバランスを取る」ことや「多様な働き方を企業・社会が受け入れる」ことを目的としています。

ワークシェアリングのメリット・デメリット

では、ワークシェアリングにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

ワークシェアリングのメリット

  • 失業者を減らすことができる
  • 労働生産性をあげることができる
  • 労働者のモチベーションの向上に繋がる
  • 仕事と何かを両立でき、人生を豊かにすることができる

ワークシェアリングのメリットは、仕事を分担することで雇用を増やせることだけでなく、個人当たりの仕事量が減ることによる心理的メリットもあるようです。

ワークシェアリングのデメリット

  • 給与のダウン
  • 賃金格差の発生
  • 保険料など一部コストの増加
  • 改革時のイニシャルコストが負担になる

デメリットとしては、やはり給与の問題があげられました。

また、雇用者が増加することによる一部コストの増加などもデメリットの一つとしてあげられます。

導入の問題点

日本において、現在ワークシェアリングは普及していません。

また、導入には

  • 労働者の収入が下がってしまう可能性が高いことから労働者の同意を得にくい
  • 日本では一人一人が担当する仕事が広く曖昧なことが多いため、分割が難しい

などの問題点もあり、今後の普及の障壁となっています。

ワークシェアリングを利用しつつ、根本的な解決を!

ワークシェアリングを利用すれば、失業者を減らすことができるほか、様々な「働き方の可能性」を広げることができるでしょう。

しかし、ワークシェアリングの実態はケーキをより細く切っているだけ。

根本的な雇用問題の解決には、経済活動をより活発にし、誰もが仕事を生み出しやすい社会作りをしていく必要があるでしょう。

【労働問題】雇用創出とは?雇用創出を1から解説!

景気が急激に悪くなった時など、失業者の急速な増加を防止するために「雇用創出」が行われることがあります。

今回は、労働問題の一つである雇用創出について解説していきます。

雇用創出とは

雇用創出とは、「新しい仕事の機会を生み出すこと」です。雇用創出によって、より多くの人が仕事にありつくことができるようになるわけです。

雇用創出の具体的手法としては、

  1. 新規・成長産業の振興
  2. 創業・起業の支援
  3. ワークシェアリングの促進
  4. 経済刺激策の実施などによる雇用機会の創出

などがあげられます。

雇用創出の重要性

では、なぜ雇用創出を行わなければならないのでしょうか?

それは失業者を減らすためです。

失業者が増えると、非常に多くの社会的デメリットが発生します。

また、地方においては人口流出に繋がってしまうと言った側面もあります。

人口が減れば過疎化が進み、周辺地域を支える施設や店舗等が減少し経済が悪化してしまいます。

地方都市においては、雇用創出は早急に取り組んでいかなければいけない課題でしょう。

「失業」の問題点が知りたい方はこちら!

【労働問題】失業者210万人!「失業」を徹底解説

仕事を「生み出す」人の育成を

今回は雇用創出を解説してきました。急激に経済が悪くなったときには頼りになる施策です。

ただ、失業者を減らすために行われる「雇用創出」は確かに必要ですが、もっと重要なのは経済活動が活発に行われるような社会を作っていくことでしょう。

その場限りの雇用創出ではなく、長期的に国民が仕事を生み出しやすくする社会づくりをして行くことが、これからの国家に求められる姿勢なのではないでしょうか?