キーワード解説:老老介護とは
65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護する状態のことを「老老介護」といいます。
老老介護には様々なリスクが伴い、介護する側、される側双方が認知症を発症する「認認介護」という状態を引き起こし得るのです。
老人が老人を介護する社会
老老介護とは
老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護すること、つまり老人が老人を介護することです。
現代の日本社会では老々介護が社会問題化しており、少子高齢化がこの社会問題を引き起こしています。
高齢化や核家族化が進み高齢者のみの世帯が多くなっているなか、老老介護の世帯も増えてきています。
医療の進歩で日本人の平均寿命が延びたことにより高齢者が高齢者を介護する状態が生み出され、社会がいびつになっています。
認認介護とは
認認介護は事故が起きやすい危険な介護状況の一つです。
老々介護は認認介護に繋がります。
認認介護とは、介護する人と介護される人の双方が認知症を発症しているケースです。
そうした事情を考えると、老老介護がやがて認認介護状態になるのはそう珍しくないことがわかります。
老老介護の中には、「自分に認知症の症状がある」という自覚が無いまま介護を続けている人もいると考えられ、その割合や実態はつかみにくいものです。
高齢介護者は増加中
平成28年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者のみの世帯は全体の26.6%で、総数も割合も30年以上増え続けています。
また、65歳以上の要介護高齢者がいる世帯の54.7%が主介護者も65歳以上であり、いわゆる老老介護であることを示しています。
要介護者も主介護者も共に75歳以上という世帯も30%を超えています。
日本社会では老々介護が常態化しており、どのように解決するかが今後の課題です。
老老介護・認認介護が増加している原因
医療の進歩で日本人の平均寿命は年々延びていますが、日常生活を送れる「健康寿命」が改めて注目されています。
平均寿命から健康寿命を差し引くと、平均10年前後、要介護状態が続きます。
親の介護が始まったときには50代だった子供が介護を続けていくうちに60歳を超え、老老介護に突入するのです。
施設を利用するための準備をしても、介護者に比較的体力がある年齢の場合は、入所の順番待ちをすることになり、待っている間に老老介護に突入するケースも考えられます。
核家族化も要因となっており、独立して別居する子供世帯の家庭が増えたことにより、助けを求められず高齢夫婦間での老々介護を余儀なくされるケースも見られます。
「金銭的な余裕がない」「生活保護を受給している」などのケースも、老老介護に陥りやすくなります。
自宅介護も設備を揃えるために費用がかかりますし、訪問型の介護サービスを利用するにもお金が必要です。
要介護者を施設に入れるお金がなければ、年金を受給しながら介護生活をおくるしかありません。
金銭的な理由から、プロの助けを借りたくてもできない人は多く見られます。
老老介護と認認介護のリスク
老老介護、認認介護には様々なリスクがあります。
老々介護のリスク
・介護する側が高齢のため、負担が大きく共倒れしやすい
・介護する人がいない
・介護にかかる時間が増加する
・介護度が重くなるほど、お互いの負担が重くなる
・外出が難しくなり、社会とのつながりが希薄になる
・運動量が少なくなり、筋力が低下し、身体能力が衰える
認認介護のリスク
・薬の飲み忘れや飲みすぎの管理ができない
・食事管理、栄養管理ができない
・のどの渇きがわからず、適切な水分摂取ができず脱水症状を起こす
・身体の不調を説明できない、適切な処置ができない
・お金の管理ができない
・緊急事態に対応ができない
最後に
老老介護は、社会との接点、周りとの接点が重要です。
一人ではなかなか有益な情報を集めるのも難しくなってきます。
高齢化と核家族化が進んだ現代社会では、他人や行政の助けを借りてこそ、健全な介護を行えるのです。
困ったときは、子供や兄弟、親戚、そして行政に相談するのが、深刻な状況にならないためにも大切な手立てです。
1人1人が介護問題に直面するという自覚をもって置くことが今後必要になります。