【TPP】環太平洋パートナーシップ協定とは〜加盟国や問題点は?〜

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は関税の撤廃を通して自由貿易の拡大を目指す経済協定です。
日本国内ではTPP参加に対して賛成派と反対派が二分しました。
この協定の対象は、工業製品食料品に限らず医療品医薬品にまで及びます。

キーワード解説:TPP(環太平洋パートナーシップ協定)

TPPとは

TPPは太平洋地域における経済連携協定です。正式名称は環太平洋パートナーシップ協定といいます。
太平洋沿岸の国々の間で関税の撤廃などを行い貿易の拡大を促すとともに、人の移動や知的財産の保護といった規制緩和を行うことで、巨大な自由貿易の経済圏を作ることが目的です。

TPPはもともと12カ国で構成されていましたが、アメリカが離脱したため参加国は11カ国となりました。

アメリカが離脱する前のTPPと区別するため、現在はTPP11あるいはCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)と呼ばれます。

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)とは|わかりやすく簡単に解説!メリット・デメリットがわかる (winfreedom.jp)

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TPP参加国

2020年11月現在のTPP参加国は11ヶ国です。

TPP加盟国 一覧

・オーストラリア
・カナダ
・シンガポール
・チリ
・日本
・ニュージーランド
・ブルネイ
・ベトナム
・ペルー
・マレーシア
・メキシコ

TPPがこの11カ国になるまでには紆余曲折がありました。

TPPの原点はシンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイによる経済連携協定である環太平洋戦略的経済連携協定です。

この枠組みを拡大させる形でTPPの交渉が始まり、2010年にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアが交渉に参加し、2012年にはカナダとメキシコが新たに参加しました。

日本は2010年から参加を検討していましたが、賛否をめぐる国内世論が真っ二つに割れていたこともありなかなか参加に踏み切れませんでした。

しかし、自民党安倍晋三政権の下で2013年に交渉に参加しました。

その後TPP交渉は12カ国で進められ2016年に協定への署名が行われましたが、2017年に就任したアメリカのトランプ大統領が離脱を表明し現在の11カ国になりました。

TPPとアメリカ〜バイデン勝利でTPP参加?〜

TPP参加国の中で人口、経済的な規模が抜群に大きいアメリカの離脱は他の参加国にとって痛手でした。

2020年のアメリカ大統領選挙の結果次第では流れが変わる可能性があります。

バイデン氏は大統領選において再交渉の上でTPPに復帰する可能性を示唆していました。

一方で世論や党内の反対から復帰に否定的という見方もあります。

TPPにアメリカが戻ってきて再び12カ国に戻るかどうか、来年誕生する新大統領の動きに注目です。

バイデン氏、米大統領選で雇用最優先 TPP再交渉も: 日本経済新聞 (nikkei.com)

TPP参加のメリット、デメリットは?

日本のTPP参加について、国内では賛否がわかれました。国内では主に製造業が賛成、農業関係者は反対を表明していました。

TPP参加のメリット

TPPのメリットは、関税の撤廃によって日本で生産された製品を他国に安く輸出できるようになることです。

製造業など海外へ多くの製品を輸出する企業に恩恵をもたらします。

また、他国の製品を安く輸入できるようになるため、消費者はオーストラリアやニュージーランドの農産品やチリのワインなど、輸入製品を安く購入できるようになります。

関税撤廃に加え規制緩和も行われるため日本企業が海外への進出や投資を行いやすくなります。

さらにTPP加盟国を合わせるとアメリカ抜きでも世界のGDPの12.9%、貿易額の14.9%を占める経済圏が生まれるため市場の拡大も期待できます。

TPPデメリット

TPPのデメリットは関税撤廃により外国産の食料品など安価な製品が流入し、国内の農業にダメージが出る可能性があることです。

国内の農業が衰退し、食料自給率の低下につながるかもしれません。

遺伝子組み換え食品の規制緩和などにより食の安全が脅かされるとの声もあがっています。

遺伝子組み換え食品を巡る規制や考え方は国にって異なるため、各国の目線あわせが重要です。

また、医療保険制度の自由化により日本が守ってきた国民皆保険制度が崩れてしまうという懸念もあります。

TPPとは?TPPのメリット・デメリットをわかりやすく解説 – 【とはサーチ】 (toha-search.com)
TPP発効で日本のメリットデメリットは?わかりやすく解説 | 【英国発】news from nowhere (1ovely.com)

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まとめ

TPPは貿易などの企業活動のみならず、食料品の価格や医療など私たちの生活にも様々な影響を及ぼします。

現在のTPP加盟国の中で最大のGDPを誇る日本がTPPを巡る国際的な議論をリードできるかどうかが重要なポイントです。

また、TPPは今後、アメリカの復帰の可能性に加えて中国韓国タイなど新たに参加を検討している国もあります。

私たちにとって身近なTPPという国際的な枠組みが今後どのような形で進展していくのか、その行方から目が離せません。

【新興国の台頭】今後の世界を牽引するBRICsとは?

キーワード解説:BRICs

新興国の市場は2012年には世界経済の50%を超えるなど、伸長を続けています。その代表格がブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの各国の頭文字を取ったBRICsです。それら各国の経済がどのように発展してきたのか。新興国の台頭と世界経済の今後についても解説していきす。

・新興国とは先進国と比べ発展途上ではあるものの、条件を満たせば高い成長が見込めると言われている国家の事

・先進国の中でも最先端を走っている国として挙げられるのがBRICs。ブラジル(Brazil),ロシア(Russia),インド(India),中国(China),南アフリカ(South Africa)の英語の頭文字を取ったものです。

*この言葉は、ゴールドマンサックスが作成したレポート内で使用され、以降新興国を表す言葉として浸透しています

・2050年にはBRICsの4カ国が世界のGDPで上位6カ国に入る可能性があると言われています。

そもそも新興国って?

新興国とは、日本や欧米などの先進国に比べ、経済発展が遅れているものの、近年政治・経済・軍事などの様々な面において急速に発展しつつある諸国の事です。主に、中南米、東南アジア、中東、東欧などの国々を指し、特定の条件を満たせば高い成長が見込めると言われています。

新興国の将来性と注目度

新興国はまず始めにビジネスや株式などの市場で注目されるようになりました。

中国のような新興国は輸出して外貨(外国のお金)を獲得する事によって経済拡大を始め、世界経済に対するシェアは1980年代には30%・2012年には53%にまで拡大しました。

これにつれて2000年代半ばには、新興国の代表格であるBRICsに注目が集まるようになり、BRICs諸国を取り上げるマスコミの報道や書籍が目立つようになります。

代表的な新興国BRICsの国一覧

BRICsとは、新興国の中でも特に先端を走っている国々を表し、ブラジル(Brazil)・ロシア(Russia)・インド(India)・中国(China)・南アフリカ(South Africa)の英語の頭文字を取ったものです。

ブラジル

ブラジルは、日本の真裏にある南米最大の国家です。

鉄鉱石などの豊富な天然資源を持ち、世界有数の農業大国としてコーヒーやカカオの生産で有名であるなど、近年注目度が高まっている国家です。また、自動車生産など製造業での強みも確立しています。

ここ数十年ブラジルは人口や国土の割には低成長であると言われてきました。そこで2019年1月に誕生したブラジルのトランプと言われるボルソナロ大統領は新自由主義的な経済政策を実行。新型コロナ感染拡大前は緩やかな成長を果たしていました。ブラジルの成長はこれらの経済政策成否にかかっているでしょう。

注目度高まるブラジル経済の今を読み解く ~堅実な成長を遂げるブラジルとのつながりを深める三重県経済~

ロシア

ロシアは、世界最大の国土を持つユーラシア大陸北部の国家です。

ロシアの強みは豊富な資源であり、その広大な領土には、石油やガスを初めとしてダイヤモンド、ニッケル、石炭、金などの多様な資源で世界有数の生産量を誇っています。しかしながら長年、国や企業、家計が投資に回す比率である投資率が低く、なかなか生活水準が他の先進国に追いつかないという問題も抱えています。

景気は、2000年前後はアジア通貨危機や財政悪化により低迷状態でしたが、その後成長を続け緩やかな成長基調にあります。2017年にはヨーロッパ5番目の経済規模となっています。

ロシア経済の強さと弱さ

インド

インドは、南アジア最大の国土と世界第2位の人口を有している国家です。

90年代以降成長を続け、世界で6番目の経済規模を持っています。インドでは労働力の3分の2が何らかの形で農業に携わっている一方、IT産業の伸びが凄まじい事が特徴として挙げられます。

インド南部にあるバンガロールはIT産業の中心都市として「インドのシリコンバレー」と呼ばれるまでになりました。

中国

中国は、東アジアにある世界一人口の多い国家です。

1970年代まで立ち遅れていた経済発展も鄧小平の「改革開放」を皮切りに伸び続け、2005年には世界のGDPに占める割合が5%だったものが2018年には16%となっています。2010年に日本を抜き世界第二位の経済大国となった事は世界的なスクープとなりました。

中国経済の伸びはまさに海外からの投資によって支えられており、2003年には世界第2位の投資受け入れ国としてアメリカを抜いき、こうした投資により中国の経済、特に対外的な輸出がここ数十年年伸び続けています。

中国の外貨準備高(直ちに利用可能な対外資産)は世界第一位となっており、海外輸出の伸びによって稼いだ資産が積み上がっている証しだと言えます。

現在の先進国経済には、もはや中国の存在は不可欠となっており、今後の成長も期待できます。

南アフリカ

南アフリカは、南アフリカ大陸にある地域大国であり、アフリカ最大の経済大国です。

南アフリカの経済発展はインフラ整備が大きく寄与しており、1994年のアパルトヘイト撤廃によって黒人が土地を所有するようになり、2010年のワールドカップに向けた整備として経済効果4700億円が生まれています。

しかし、南アフリカでは長年エイズの流行に悩まされており、平均寿命が低い水準に止まっていました。

治安の悪さも社会問題となっており、特に強姦の件数が高く、南アフリカの男性の4人に1人を超える割合が、「過去に成人女性または少女をレイプしたことがある」と回答するという調査結果もあるくらいでした。ただ、強姦件数は近年減少にあり、エイズの死者数の減少により平均寿命も上昇するなど今後の治安や保健分野での伸長が望まれます。

これからの新興国について

BRICsの各国は2006年の時点で世界の国土の29.2%、そして人口では42.7%を占めており、圧倒的な比重を持っており、GDPの世界経済での割合では30.2%と既にアメリカやEUを上回っています。今後も世界的な地位や存在感は高まっていくと見られます。

また、BRICsに次いで高い潜在力を持っているとされている。NEXT11(日本ではN11と言われる事が多い)も台頭しており、2030年ごろにはEUの経済規模を上回ると予想されています。具体的にはイラン、インドネシア、エジプト、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、韓国の各国です。

BRICsやN11や初めとした新興国の台頭に世界は注目しています。

【青天を衝け】吉沢亮演じる渋沢栄一・民間主導の近代化をめざした彼の原点【温故知新】

渋沢栄一・民間主導の近代化を志向した彼の原点

今、最も注目が集まりつつある歴史上の偉人は誰だろうか。

それは、渋沢栄一だ。

彼は「日本近代経済の父」と称され、関わった社会・公共事業は600以上に及ぶなど、彼の功績は計り知れない。中には現在にも引き継がれている組織も多くあり、今もなお日本経済に大きな影響をもたらしていると言えよう。

渋沢栄一は、吉沢亮主演の2021年度のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で主役として取り扱われる予定である。これに留まらず、新一万円札の肖像となることも決定。ここにきて彼の存在に再び注目が集まりつつある。

今回はそんな元祖偉人・渋沢栄一について見ていこう。
彼を知ることで、私たちが生きるこの社会への理解もきっと深まるに違いない。

黎明期・渋沢栄一出生

渋沢栄一は後に第一国立銀行の頭取となり、上記の通り600以上の社会・公共事業の設立支援を行うこととなる。
特筆すべきは農民出身であるにも関わらず、士族さながらの出世を果たした彼の生い立ちだ。
その秘密の一端を、彼の出自から垣間見ることが出来る。早速紹介しよう。

渋沢は1840(天保11)年に、武蔵国血洗島(現在の埼玉県深谷市)にて生れた。もともとここは特段豊かな農村ではなかった。しかしながら、関東に入国した徳川家康が戦国期の争乱をおさめ、江戸時代は比較的平穏であったと言われている。

血洗島のあたりは領主等々の支配構造が安定しており、飢饉や打ち壊しが少なかった。このことも、平穏な時代であったことの理由とされている。

また、中山道の宿場町・深谷宿や、利根川水運の中継地点であった中瀬河岸場があり、血洗島周辺は交通の要衝であった。

つまり、平穏な時代であり交通結節点として栄えた渋沢の故郷は、農家の経営を発展させるには最適な場所だったのだ。

渋沢の一家は村内で一番古い家系。しかし、村内の中心的立場ではありながら、代々小農家であり、お世辞にも裕福であるとは言えなかった。

しかし栄一の父親の代で、藍を仕入れて藍玉に加工し、江戸の商人を介さず群馬、長野、秩父の紺屋に販売するという事業を開始。その新しいビジネスにより、村内で一、二を争う富農へと成長する。

士農工商と身分が固定されたこの時代に、農民が「商人ビジネス」をはじめ、一代にして財を築いたのである。これには先進的であると言わざるを得ない。

そして、積極的に商いに乗り出す父親の背中を見て育った栄一。彼ののちの「商売人」としての気質は、この時に養われたと言っても過言ではないだろう。普通の農民とは違う視点から社会を眺めるようになった訳である。この点で、栄一は普通より恵まれていたのかもしれない。

また、特殊な出自といえば他にもある。親戚である尾高家から四書五経書法など、普通の農民であれば享受できない教育を彼は受けることが出来た。
幼年期に高度なリテラシーを身に着けることが出来たことが、彼の生涯にどう影響したかは最早言うまでもないかもしれない。
「教育」の重要性は現代においてもしきりに叫ばれるが、まさに彼の人生はその最適例ではないか。

農民から幕臣へ、類まれな出世劇

リテラシーを身に着けると、情報感度が上がる。

彼は本格的に学問を志すようになる。1853年にペリーが浦賀に来航しているが、同時期に渋沢も江戸に出て学んでいる。社会情勢が不安定な時期だ

そこから、彼は次第に尊王攘夷運動に加担するようになる。「1863年には栄一も150両ほどの資金で槍や刀など100本ほど揃え―総勢70人ほどで高崎城乗っ取り、横浜焼き討ちを計画した(雨夜譚)」

単なる農村の一青年であった渋沢は、学問に励み、当時としては画期的なビジネスモデルから商業の可能性にいち早く目をつけた。
更には尊王攘夷運動を行い、当時の封建社会制に対しての不満を持つようになった

しかしながら、次第に攘夷の実現可能性に疑問を抱くようになる。
攘夷運動は確かに、実現性が極めて低かった。例えば薩摩藩が薩英戦争でイギリスの軍事力を思い知り、開国派に転じた話は有名だ。

そこで渋沢は一橋家の用人であった平岡円四郎のつてを頼り、尊王思想から一転して幕府側である一橋家の家臣となる。

一橋(徳川)慶喜。一橋家当主。江戸幕府15代目にして最後の征夷大将軍。大政奉還により政権を朝廷に移譲した。

農民出身の為最初は軽輩(下の身分のもの)として加わったものの、渋沢のその能力は高く評価され、最終的には、慶喜の弟、徳川昭武に随行してパリ万博の視察団に加わるという出世を果たしている。

余談だが、彼の出世劇は冷静に考えてもすさまじいものがある。元々一農村出身の青年でしかなかった彼が、幕臣となり、外国視察すら任されている。

外国視察の目的は列強諸国の先進知識収集であるが、途方もない費用がかかる。もちろん飛行機などない時代。いつ沈むともしれない木造船でヨーロッパを目指すのである。しかも外国との交流を一切絶っていた日本から。並みの人間には到底任せられない。「本当に賢く、やり遂げる器量のある人間」にしか成し遂げられない大役だ。

『民が栄えてこその国』彼の社会観形成

さて、パリ万博で渋沢が目にした欧米列強の近代化の進展具合だが、これは彼にとっても非常に衝撃的であった。
近代的軍事技術の展示のほかに、渋沢は鉄道によって結ばれた欧州全体の発展に強く感銘を受けた。
アヘン戦争で清国が敗北し、欧米列強が植民地支配を益々進めようという段で、当時の日本の士農工商幕藩体制といった旧態依然とした部分や、産業構造の未熟さに改めて限界を感じたに違いない。

 

振り返れば、渋沢は父の代から藍玉のビジネスを行っていた。それは作物を栽培するだけの旧来の農民の枠を超えていた。
また江戸の商人を介さず直接遠方と取引を行うなど当時としては画期的であった。

これらのことが、のちの渋沢の民間主導の国家観、言い換えれば市民による積極的な資本主義経済への参加を後押しする姿勢につながっていると言えるのではないだろうか。

また、立身出世を地で行く彼には、身分固定社会は滑稽に映っただろう。
資本主義は、実力主義だ。皆が競い合ってこそ、文明が花開く。
彼はきっとどこかでそう確信していたのではないだろうか。

第一国立銀行

渋沢は大政奉還後、慶喜について駿府にわたり、その後大隈重信の再三の頼みで明治新政府の仕事をするようになるが、最終的には民間に下り、第一国立銀行を創設するに至る。そして、資本主義社会を後押しする為、600もの社会・公共事業に関わった。

名前を変え、形を変え、今にも残る会社もある。彼の功績は、今に生きている

さいごに

渋沢が生きた時代は、我々のそれとは大きく違う。単純比較は出来ない。また彼は一般的な農民に比べ、遥かに恵まれた環境に生まれ落ちた。そのことは否定されるべきでない。

しかしながら、彼の人生から我々が学び取れるものは計り知れない。それが具体的に「何か」はここでは明示しないでおく。

現在、急速な国際化デジタルトランスフォーメーションにより、5年先の未来すら分からない時代に突入しつつある。
そんな変化の時代において、渋沢栄一から学び取れるものは、何だろうか。

島田昌和(2011年)『渋沢栄一 社会起業家の先駆者』岩波新書

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【安倍自民党政権】アベノミクスとは何だったのか?3本の矢(金融緩和・積極財政・構造改革)の評価とは!?

安倍政権を振り返る。アベノミクスとは何だったのか?

政治家娘YOUTUBERみこちゃんねる

タカジュン

Ryuga

みこ 今日は、policy高校生ライターのRyugaくんに、アベノミクスを分かりやすく説明してもらおうという企画です!!

タカジュン さて、将来の財務大臣にアベノミクスとは何か説明してもらいます笑笑

Ryuga 今日はよろしくお願いします。

アベノミクスの3本の矢とは?

 

Ryuga アベノミクスは、①金融緩和、②積極財政、③構造改革という三つの柱で構成されています。補足として、③に関しては公式的に「成長戦略」とされていますが、核心は構造改革であるということです。

では、それぞれの項目について簡単に説明を。

まず、「金融緩和」とは、簡単に言えば日本銀行がお札をたくさん刷ること(実際に印刷している訳では無い。)やマイナス金利政策により、市場に出回る貨幣の量を増やし、投資を誘発させることです。次に、「積極財政」とは、インフラ整備などの公共投資の拡大や、減税などによって有効需要を創出することです。

この二つはカンフル剤のようなもので、もっと簡単に言えば「起爆剤」のようなものです。これは、リーマンショックや東日本大震災対応、民主党政権の失政により日本経済がどん底な状態であった2012年当時の状況から日本経済を再生させていくという目的が有りありました。

「構造改革」は、規制緩和などによって日本経済の体質を根本的に改善していくという「特効薬」のようなものです。つまり、一本目の矢と二本目の矢が飛んだとしても、構造改革進まなければ、日本経済の持続的な経済成長を実現するのは難しいと言えるでしょう。

そして、この「カンフル剤」と「特効薬」の合わせ技こそがアベノミクスであり、その目的は持続的な経済成長を可能にする、具体的には、名目で年率3%以上の成長を実現するというものであると理解をしています。

名目GDPとは?
国内で一定期間に生産されたモノサービスの付加価値の合計額を表す指標

タカジュン つまりは今までは悪い構造だったの?

Ryuga 例えば、日本の中央主権・中央集権的な経済構造は「1940年体制」(=戦時体制の踏襲)とも呼ばれています。永田町・霞ヶ関に権限が集中し、規制で雁字搦めにされた中央統制型の経済・社会のシステムが構築されていた結果、経済全体の新陳代謝が起こらず、成長出来ない構造がで出来上がってしまったのです。

1940年体制
中央集権的な構造が日本の成長を阻害していた。

実際、日本のここ30年の潜在GDPはほぼ0%の低成長であり、まさに高度経済成長期に貯めた貯金を切り崩していく、「ジリ貧国家」になってしまったのです。

みこ 構造改革がちゃんとできていないと金融緩和と積極財政の意味は・・・

Ryuga 確かに、大胆な財政と金融の協調政策は短期的な経済の再生には絶大な効果をもたらすのですが、長期的な持続可能な成長の実現には構造改革が必要です。

Ryugaのアベノミクスの評価

Ryuga まず、金融緩和の評価は「A」で、デフレ脱却を実現した点が大きな評価ポイントです。

これは、日銀と政府がインフレ・ターゲット(目標)を設定し、2%の約束の下で金融緩和を行った結果、インフレ率2%こそ達成していないものの、プラスに転じる等、少なくともデフレでは無い状態を作り出すことが出来ました。

ただし、インフレターゲットの核心は、期待インフレ率を向上させ、投資意欲を上向かせることにあります。しかし、未だデフレマインドは払拭されず、投資の誘発は実現出来ていません。よって、詳細は後述しますが、財政政策や構造改革と併せて金融緩和は今後も継続し、強化していく必要があります。

インフレ・ターゲット(目標)
インフレ(物価水準の継続的な上昇)を目標とする金融緩和の枠組み。

また、雇用情勢も大幅に改善されました。失業率は大幅に改善され、2%台前半と、ほぼ下限まで低下し、完全雇用と言える状態となりました。それだけでは無く、同時に就業者数も増えており、就業者数が増えた上で失業率が改善している点からも金融緩和による雇用情勢の改善は大きな成果であると言えます。

次に、積極財政の評価は「B」です。評価出来る点は、新型コロナ感染症に伴う経済対策です。例えば10万円の一律給付は、これまでの発想ではなかなかできないような大胆な施策であり、6月の消費支出の改善に大きく寄与しました。

一方で、財政政策全体としての問題点は、「消費増税」を2回行ってしまったことです。これは、1度目は経済状況が改善しつつある中であった為、影響は比較的小さく済みました。しかし、2度目は悪化し始めていた所で無理やり行ってしまった、かつそれにより昨年の10月~12月期のGDPが下がった状態で、予測は出来なかったとは言え、不幸にも新型コロナが襲ってしまったことで、日本経済はどん底な状態に陥ってしまいました。

そして、今のアベノミクスは歳出面に偏った積極財政である為、特定の産業や特定の企業、既得権団体を保護し、結果として民間の自由な競争を阻害する可能性、行政の肥大化を招き民間活力を削ぐ可能性を孕んでいます。よって、消費税や所得税の減税、社会保険料の減免といった普遍的な積極財政である歳入面の財政政策を打つべきであるということから評価は「Bです。

最後に構造改革は「E」です。3本目の矢は、善し悪し以前にそもそも飛びませんでした。これが飛ばなければ日本経済は根本的な成長出来る構造になったとは言えません。

規制改革に関して言えば、加計学園問題で「国家戦略特区構想」がつぶれてしまい、そこから規制改革自体は大きく失速をしてしまいました。本来であればあの時期からもっとアクセルをかけて改革を進めていく予定であったのにもかかわらず、結果として失速してしまい、結局日本の潜在GDP、つまり日本の潜在的な経済の力を示す値が上がらなかった点から、評価は「E」にさせて頂きます。

以上のことから、アベノミクスの総合評価は、「ABE」(アベ!?。勿論、こんなシャレの効いた評価は思いつきません。浜田宏一内閣官房参与の評価を引用させて頂きました笑)とさせて頂きます。大胆な財政と金融の一体政策(1・2本目の矢)により、マクロ政策の最大目標である雇用情勢の改善は実現しました。しかし、構造改革(規制緩和等の3本目の矢)は進まず、潜在GDPは低迷から脱せていません。持続的な成長の為には、マクロ政策は継続しつつ、構造改革も更にアクセルをかけていくことが必要不可欠です。

https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/08/20/gdp-genzei/

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ベーシックインカムで日本を活性化!

ベーシックインカムで日本を活性化!

ここ数年、世界各国で何かと注目されてきているベーシックインカム。コロナウイルス感染拡大により日本でも一律10万円の特別定額給付金でさらに多く注目を浴びています。そこでベーシックインカムとはそもそもどんなものなのか?どんなメリットがあるのか?また、財源や導入方法についても考えていきます。

そもそもベーシックインカムって何?

ベーシックインカムとは国民一人ひとりに対して生活に必要な最低限の金額を無条件で定期的に給付し続けるという仕組みの社会保障制度です。

従来の社会保障制度はある一定の条件が必要でしたが、ベーシックインカムは無条件で支給されるというのが1番の大きな違いです。簡単に言えば働かなくても、ある一定の金額が国から支払われるというシステムです。

社会主義と一緒じゃないか!?と思われる方もおられるかもしれませんが、社会主義とベーシックインカムは全く違います。

社会主義は全ての経済活動において国家が介入していきます。何を作るかまで国家が決めて、そこで出た利益は国家が全て集約し、国民に配分するという仕組みです。簡単に言うと、働かなくても働いても所得は同じという事です。

それに対してベーシックインカムは経済活動において国家が介入せず、あくまでも資本主義経済の下支えとなる仕組みで、簡単に言うと、働かなくても所得は得られるが、働けばもっと多くの所得は得られるという事です。

何のメリットがあるのか?

では、そのベーシックインカムは、世の中に何を生み出し、与えてくれるのでしょうか。

貧困対策

最低限度の生活を保障するために生活保護という公的扶助制度があります。生活保護を受け取るための条件は決して容易ではありません。条件が厳しくて、受け取りたくても受け取れないケースだってあります。また、条件は満たしていても社会的プライドの観点から受け取りたくても受け取れない人もいるのではないでしょうか。ベーシックインカムは、そういった生活保護を受給出来ない貧困層の人達にもお金が行き届くので、貧困対策になります。

少子化対策

本当は子供を産みたいけれども経済的に余裕がないので産めない人はベーシックインカムで0歳児から全員が給付されるようにすれば、経済的に心配することなく、子供を産むことが出来るようになります。また、ベーシックインカムの導入で、子供を育てるのは大変だけど、収入が増えるので頑張って子供を育てようと思う人も出てくるでしょう。そうなれば十分な少子化対策になります。

労働環境の改善

職を失うことの恐怖心から今まであればブラック企業にしがみつかないといけなかった人も、ベーシックインカムを導入すればそういう恐怖心はある程度減りブラック企業にしがみつかなくてもいい状況になり、働き方改革を促す事が出来ます。そうなっていくと仕事終わりにスポーツ観戦に行ったり劇場に行ったりする人が増えて、エンタメも盛り上がるのではないでしょうか。

職業選択の自由度UP

一般的に起業家や芸術家などの仕事はリスクが高くてそういう職業を選べない人もたくさんおられますが、ベーシックインカムの導入すれば最低限の生活が担保されているので、そういうリスクの高い仕事にも手が出しやすくなり、職業選択の自由度が増えて、自分の好きなことを職業として選べる人も増えるのではないでしょうか。

地方活性化

言うまでもなく都心より地方の方が家賃は安いので、都心から地方へ人の移動を促し、東京一極集中の是正や地方活性化に繋がると思います。

行政コストの削減

社会保障制度の簡素化により生活保護や国民年金などの複数の手当てを1本化して、今まで手続きに要していた公務員の人員と手間を削減することが出来る為大幅なコスト削減に繋がります。

ベーシックインカムの課題の解決策

ベーシックインカムの導入は沢山のメリットがあると考える人達もいれば、一方でデメリットや導入が不可能だと考える人達もいます。一般的に言われているそういう課題に対して自分の考えや解決策を述べていきます。

勤労意欲が下がるのか?

1つ目は、勤労意欲が下がるのではないかという意見です。これに関しては、自分は逆だと思っていてベーシックインカムを導入すれば勤労意欲は上がると思っています。なぜなら現状の生活保護制度は働いて稼いだらその分、受給額が減ってしまって、そのため働かない方が得だと思って働かない人も多くいるからです。ベーシックインカムは生活保護のように収入関係なく、働けば働くだけ収入が増えて、しかも最低限の生活は保障されるので、勤労意欲は上がると思います

財源はどうするのか?

2つ目は、財源はどうするのかという意見です。ベーシックインカムで余計な仕事を無くすことが出来るので行政コストの大幅な削減で、ある程度新たな財源を獲得することが出来ると思います。それに加えてマイナンバーカードもしっかりと活用して、さらに大幅な行政のコスト削減が可能になれば、新たな財源を獲得することは出来ると思います。例えば、マイナンバーカードで買い物が出来れば、税金の申告もいらなくなるので税務署や市役所、年金庁の仕事は確実に減ります。そうやってコスト削減していけば、ベーシックインカム導入のための財源はある程度確保出来ると思います。また、実際にベーシックインカムの導入によってお金を給付することで景気が良くなれば、税収も自然に増加するので財源についてはそこまで心配する必要はないと思います。

どうやって導入するのか?

3つ目は、どうやってベーシックインカムを導入するのかという意見です。初めからいきなり導入する方法もありますが、色々な懸念からいきなり導入するのはやはり難しいと思います。そこで、考えられる方法が2つあります。

まず1つ目は、全ての高齢者に支払われる年金と全ての子供に支給される子供手当からスタートする方法です。高齢者と子供はそもそも労働人口ではないので、働かない人が増えるという心配もないし、それによって社会が維持出来なくなる心配も全くありません。徐々に年金の支給開始年齢の引き下げをAIやロボットなどの生産設備などの増加と平行して行うことにより、働く人が減って経済活動が低下する心配はなくなります。徐々に引き下げ最終的には全ての年齢で年金が支給されれば、これがベーシックインカムとなります。

そして2つ目は、少額からスタートする方法です。導入1年目は少額の給付金としてスタートして1年ごとに社会の状況に応じて増やしたり減らしたりするわけです。少額から導入することによって働く人が急に減ることなく、支給額が増えると同時に徐々に減っていくので社会に急激な混乱をもたらすことはありません。また、その間にAIやロボットも徐々に普及してくるため、人手不足で経済活動が低下する心配もありません。この方法の場合、ベーシックインカムを導入してすぐに社会保障をやめると生活が出来ない人が出てしまうためベーシックインカムを徐々に導入しても今の社会保障制度も継続していくべきでしょう。しかし、これでは二重給付になるためその時は今の社会保障制度を減額していく必要があります。

他にも導入方法の案は沢山あると思うので、ベーシックインカムに興味を持った人はぜひ、自分でも考えてみてください。

https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/08/04/iryo-hi/

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【GDP-7.8%】どうなる?日本経済 ~経済復活の鍵は「大減税と構造改革」~

コロナショックからの再生に必要な経済戦略

今月17日に内閣府が発表した4~6月期のGDP(国内総生産)の速報値は、実質で前期比-7.8%、年率換算で-27.8%でした。消費税率が8%から10%に引き上げれた昨年の10月以来、3四半期連続減となり、減少幅はリーマンショック時(2009年1月~3月期)を超える戦後最大の落ち込みとなりました。ただ、世界の先進各国と比較すると下げ幅は小さいとも言えます。しかし、厳しい経済状況であることには変わりなく、世界経済全体が不安定であることは、金融危機等新たな危機に発展する可能性を孕んでいます。よって、今後どのような経済政策を打つかにより、日本のみならず、世界の未来が決まると言っても過言ではありません。そこで、コロナショックからの再生に必要な経済政策、コロナ後の新しい経済社会を見据えた長期的な経済戦略について問題提起をしていきます。

コロナショックの正体

GDP(国内総生産)とは、国内で一定期間に生み出された付加価値の総額です。付加価値とは、粗利(売上-原価)のようなものであり、粗利は所得に結びつく為、GDPは日本国内の所得の合計とほぼ等しくなります。また、付加価値(=粗利)の総額は、支出の総額(GDE=国内総支出)によって計算出来るので、GDPは次の式で表すことが出来ます。

Y=C+I+G+(X-M)
…GDP=消費+投資+政府支出+純輸出=GDE

そこで、コロナショックの正体を、項目別に考えていきます。ちなみに、マスコミによる報道では年率換算(今期の成長率が1年間継続すると仮定した数値)が頻繁に用いられますが、今般のような大ショックが1年間も継続するとは考えにくいため、今回は前期比の実質値(季節調整済み)を用いることとします。

前述の通り、2020年4~6月期の実質GDP成長率は(内閣府・国民経済計算より)-7.8%となっており、項目別では、消費(民間最終消費支出)-8.2%、投資(民間企業設備)-1.5%、住宅設備投資(民間住宅)-0.2%、公共投資(公的固定資形成)+1.2%、輸出(財貨・サービスの輸出)-18.5%、輸入(財貨・サービスの輸入)-0.5%となっています。実質GDP増減の内外需別寄与度は、内需が-4.8%分、外需は-3.8%分となっています。

これらの数値から分かるのは、個人消費と輸出の落ち込みが大きいということです。これは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行とそれに伴う半強制的な経済活動の停止を如実に表してると言えるでしょう。そこで、特に落ち込みの大きい、個人消費と輸出について深掘りしてみます。

まず、個人消費です。以下のグラフ(家計調査報告を基に筆者が作成)から、消費支出の推移は、4から5月に大底を打ち(5月:86.8)、6月には大きく回復(98.1)していることが読み取れます。これらの要因として考えられるのは、第一に4・5月は緊急事態宣言の発令期間であり、半強制的に経済活動が停止していたこと、第二に緊急事態宣言下で控えていた消費分を6月で消費したこと、第三に6月に定額給付金(全国民一律10万円給付)の支給が行われたことであると筆者は考えます。つまり、大底は抜けたものの、このまま回復が続くとは限りません。よって、7月や8月の数値を注視し、必要ならば2回目の給付金や、消費税の減税といった消費マインドを向上させる景気刺激策を打つ必要があるでしょう。

次に、輸出です。以下のグラフ(報道発表を基に筆者が作成)から、財貨の輸出水準の推移は、個人消費とは違い、3月から低下の一途を辿り、6月に至っても回復の兆しは読み取れません。

また、サービスの輸出水準の推移も(国際収支状況参照)同様の傾向が見られ、回復の兆しは見られません。中でも、旅行収支の落ち込みが大きいことから、観光需要の落ち込みが顕著に表れてます。よって、内需は比較的短期で回復する可能性が高く、外需の回復には時間がかる可能性が高いと筆者は考えます。インバウンド等、外需の完全回復には、新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が完成し、人類がウイルスとの戦いに打つ勝つまでの長期戦になることを覚悟する必要がありそうです。

個人消費と輸出の落ち込みに共通するのは、新型コロナウイルスに起因するものであるということです。要は、リーマンマンショックのように金融危機から実体経済が悪化したのでは無く、実体経済の悪化から始まっているのです。それを顕著に表しているのが、株価の下落幅が小さいことです。通常の経済危機であれば、日経平均株価が最低でも10000円台前半まで値下がりしていてもおかしくはありませんが、実際には20000円を大きく超えて推移しています。これは、コロナショックが、新型コロナウイルスの流行が終われば収まるものであるという、将来への期待が高いからであると筆者は考えます。

実は、もう1点、コロナショックで不可解な点があります。それは、上記の通り、設備投資の落ち込みが小さい点です。通常の不景気では、投資が真っ先に下がります。ただ、今回の数値はあくまで一次速報値(供給側のデータ無し)であり、二次速報時点で大幅に修正される可能性は十二分に考えられます。しかし、それにしても動きが小さく、通常の経済危機とは異なるものであることを如実に表していると言えるでしょう。そして、コロナショックは長期化すれば、金融危機や、供給ショックによるインフレーションを誘発する可能性もあり、不確実性が高い経済危機であることは間違いありません。

コロナショックの行方

では、今後コロナショックの行方はどうなるのでしょうか。正直な所、前述の通り不確実性の高い経済危機であり、楽観論から長期化論まで、専門家の間でも様々な意見があります。ちなみに、OECD(経済協力開発機構)による世界経済見通し(世界経済の回復への道のりは綱渡り―OECD Economic Outlook)では、世界全体は-7.6%~ー6.0%、G20はー7.3%~-5.7%、ユーロ圏は-11.5%~-9.1%、米国は-8.5%~-7.3%、日本は-7.3%~-6.0%と予測しています。(前者は第2波を避けられなかった場合、後者は第2波を避けられた場合)この数値からすれば、昨年の日本の名目GDPは約550兆円なので、約30兆円~40兆円のGDPが欠損することになります。よって、政府の財政政策におけるいわゆる真水は、この程度の有効需要を創出する分が目安になるのではないでしょうか。

前述の世界経済見通しや、4~6月期のGDPを見ると、日本の経済の落ち込みは他の先進各国に比較すると小さいと言えます。これは、これまでの政府の財政出動における、いわゆる真水の額が米国に次いで二番目の規模であると共に、新型コロナウイルスの流行が他国と比べて落着いていることは大きな要因であると言えるでしょう。

ただ、筆者はもう一つ重大な要因があると考えています。それは、日本の労働市場の流動性が低いことです。日本は雇用の流動性が低く、他国と比較して失業率が極めて低くなっています。実際、米国の失業率は4月14.7%、5月13.3%、6月11.1%で、日本は2.6%、2.9%、2.8%となっています。このように、失業率が低いことが、短期的な経済の落ち込みが小さくなることに繋がっていることは間違いありません。しかし、これは本当に良いことであると断言出来るでしょうか。

日本の失業率が低い理由に、雇用調整助成金(従業員への休業手当の支援)があります。日本はコロナショックに対応し、この雇用調整助成金の要件を特例で大幅に緩和することで、雇用の繋ぎ止めを行いました。一方アメリカは、失業保険で失業者を支えました。その結果、米国に比べて日本は失業者こそ少なくなりましたが、休業者は500万人以上とも言われ、失業者と合わせた潜在失業者は約11%にも登ります。つまり、日本の潜在失業者の割合は米国の失業者の割合とほぼ同等なのです。勿論、これが短期の経済ショックであれば問題有りません。しかし、今般のコロナショックは不確実性が高く、長期化の可能性が高いものです。雇用調整助成金という弥縫策的な制度で、いつもでも凌ぎ続けるのは無理があるのでは無いでしょうか。

そして、感染症拡大による経済危機という特殊の環境では、産業構造の大転換が起こると考えるのが自然です。にも関わらず、貴重な労働者を一つの会社に繋ぎ止め、労働移動とそれに伴う産業構造の転換を阻害することには疑問を覚えます。これでは、短期的な経済の落ち込みは防げても、長期的な経済成長が見込め無いからです。実際、上記のOECDによる世界経済見通しでも、2020年の落ち込みは米国等と比べて小さいですが、2021年の(後者)予測では、米国が+4.1%に対して、日本は+2.1%となっています。

歴史を振り返ってみると、大災害や戦争、パンデミック、経済危機の後は、経済のV字成長・回復することが多いのです。それは、労働の大移動が起こり、産業構造が大転換をし、経済の新陳代謝が活性化するからではないでしょうか。しかし、解雇規制が厳しく、雇用調整助成金で雇用の繋ぎ止めに固執し、労働市場の流動性が低い日本ではそのような回復は望めず、OECDの見通しのように、まさに「√」の逆のような状態に陥り兼ねないと筆者は考えます。

大減税で供給ショックを防ぎ、構造改革で新しい経済社会の構築を

コロナショックが長期化すれば、単なる需要ショックでは無く、供給ショックに陥り兼ねません。よって、企業を支え、競争力を維持する経済政策を打つことが必要不可欠です。例えば、迅速に企業へ資金を提供するため、日銀による無利子の直接提供や、企業の研究開発費の政府負担、家賃支援の強化、そして各種税徴収の凍結等が挙げられます。ただ、ここで重要となるのは、元々体力のあった企業は支える一方、元々危ない企業はあえて支えないという選択使もあるということです。それは、元々危ない企業を救済しても、ビジネスモデルの転換に対応出来ず、かえって傷口を広げる可能性が有るからです。

しかし、あえて救済しないという選択使を取る以上、再チャレンジ政策を進め、アフターコロナを見据えた新しい経済社会、とりわけデジタル社会に対応出来る経営者・労働者を育成することは必要不可欠です。そのためも、経営者の資産を残す法整備や、他社への労働移動を促す政策を早急に打つべきです。これは、前述の雇用調整助成金の話からも繋がりますが、コロナショックをむしろチャンスと捉え、自由で多様な働き方への転換に繋がる対策・政策を打つべき時が来ていると筆者は考えます。

コロナショックは現在の所、消費と外需を中心とした需要ショックとなっていますが、長期化すれば供給ショックにも繋がり兼ねないのはご案内の通りです。そこで、普遍的な積極財政政策である(大)減税(消費税の全品目軽減税率、所得税減税、法人税凍結、固定資産税凍結、社会保険料の減免等)により、需要と供給双方の欠損を防ぐと共に、地方自治体へ大胆な臨時交付金を付与し、地方自治体独自の判断で休業要請と補償が迅速に出来る環境を整えるべきです。

そして、何よりも重要なのはコロナショックというピンチをチャンスと捉え、力強く新しい経済社会を構築するための、戦略を持って政策を打っていくことです。例えば、マイナンバーと所得・資産・税情報を紐付け、最低所得保障制度としてのBIや給付付き税額控除を導入することです。これは、次の有事への備えともなり、労働市場の流動化等の成長戦略の土台となる構造改革です。また、期待インフレ率を上げ、投資マインドを上向かせるための、日銀による量的緩和の強化や、マイナス金利の深掘り等で良好なマクロ経済環境を整えることは、構造改革を成功させる為の必要条件となります。日本が長年、低成長のジリ貧国家に成り下がってしまっていたのは、他ならぬこのような長期ヴィジョンの欠如です。コロナショックを期に、目先の弥縫策では無く、覚悟と戦略を持って抜本策を実行することで、再び日本が輝く成長国家になることを願ってやみません。

編集後記

5000字を超える文章となりましたが、最後までご一読ありがとうございました!今回は、先日発表されたGDPを基に、コロナショックからの再生と、その後の成長に必要な経済戦略いついて問題提起をさせて頂きましたが、みなさんはどう思われましたか?少しでも、日本経済の今後について考えるきっかけとなれば幸いです。今回は8回目の寄稿となりました。次回以降もクオリティーの高い記事を提供出来るよう全力を尽くしますので、応援の程をよろしくお願い申し上げます。

https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/08/15/yasukunisanpai/

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【消費増税】「北欧の税率」を持ち出す論者の間違い

【消費増税】「北欧の税率」を持ち出す論者の間違い

2020年8月現在、日本の消費税は10%です。(ただし、食料品等は軽減税率を適応し8%となっています)
目まぐるしく変わる世界情勢や国内の少子高齢化など、様々な要因で「福祉をはじめ、現在の体制を維持していく」ためには、近い将来さらなる消費税の引き上げは避けられないとされています。
追い討ちをかけるように「新型コロナウイルス」の対策費用も膨大です。

というわけで今回は、消費増税について書いていければと思います。

北欧との違い

明確に言うと、私は2019年10月の消費税増税に関しては反対でした。

増税賛成派論者の中には「北欧の税率」を持ち出す人がいます。

これに対し、反論していきたいと思います。

事実として、「北欧の税率」は高いので経済モデルとして持ち出すのは分かります。
消費税の分国民に対する福祉・教育政策が整っているので、目指すべき所であるのに間違いはありません。

しかし、現状北欧の経済事情と日本の経済事情は全く異なっているのです。

まず、北欧は法人税が低いです。
北欧の代表格であるスウェーデンを例に挙げると、日本の法人税率は29.74%(2018年)なのに対し、22%です。
7%強の差ですが、これが大きな違いをもたらしています。
法人税率が低い事によって企業がスウェーデンに入り込み、結果的にスウェーデン経済を活発化させています。
これは「経済成長率3%」とという先進国にしては高いパーセンテージと国際競争力をもたらしています。

これにより収益を上げた企業から家計に賃金として配分され、スウェーデン は世界的にみても高い平均年収を保っているのです。
平均年収ランキングでは、日本は429万円で世界18位ですが、スウェーデンは624万円で世界11位です。
この高い年収から高い消費税を天引きし、高度な福祉と低い法人税率を維持しているのです。

税率の低さを呼び水にして経済を循環させ、日本が目指しているシャンパンタワー(まず企業を潤わせて家計に賃金として配分させる考え方)が上手くできていると言えるでしょう。

しかし、消費税を上げる事が北欧化をもたらすかは甚だ疑問です。

軽減税率も問題あり

北欧化をもたらさないという点以外にも増税の問題点はあります。

次に代表的な問題点は、軽減税率です。

軽減税率とは、比較的所得の低い方への支援の意味も含め、食糧生産品などの生活に必要な税率を増税後も8%のままにすると言う政策です。
しかし、軽減税率はイートイン(外食)は対象外であり、コンビニで商品を買う場合イートインの税率は10%で持ち帰りが8%という複雑さ、他の大多数の書籍やネットニュースを差し置おて新聞だけなぜか8%という問題点を持っています。

これについて新聞利権なのではないかと批判されていますし、「持ち帰り」と言ってイートインを利用する客がいること(イートイン脱税)もニュースで取り上げられていました。

何が8%になるのか10%になるのかで行政の裁量が必要とされ、その采配に利権が付いてくるのではないかという懸念があるからです。

また、8%と10%を使い分ける事業者の負担は大きく、事業者側のコストが考えられていないシステムになっています。

事実、軽減税率をかなり前から導入し軽減税率利権が問題となっている欧米諸国では、軽減税率の廃止を訴える声が多いです。

経済的な問題

増税自体を否定している訳ではありません。
予算配分と規模を考慮し、増税をする事は否定しません。

軽減税率もそうですが、明らかにタイミングが悪かったのです。

現状の経済では、アベノミクスによって企業の収益は増え、やっと少しづつ賃金が上昇しつつあります。
先ほどシャンパンタワーを例に出しましたが、シャンパンがやっと少しだけ下に届こうとしていました。

この段階で景気の後退をもたらしてしまってはまた不景気に逆戻りしてしまいます。

さらには「新型コロナウイルス」の影響による様々な業界がダメージを受けています。

ただでさえ消費が見込めない中での去年の消費増税、企業も国内での拡大をしなくなるでしょうし、拡大をしないのであれば新たな雇用も見込めません。
(当時コロナは想定していなかったため、結果論となってしまった側面はあるのですが)

消費税によって停滞したいた景気が、コロナ禍でさらに深刻化しているのは言うまでもありません。

今後は?安倍政権はどう動くか

ここまでで、消費増税のデメリットについて語ってきましたが、違う観点として言えるのは、安倍政権が非常に政治力のある政権だと言う事です。

歴史的に、増税をした政権というのは必ず倒れています。

安倍政権は2014年の5%から8%の増税を耐え抜いた政権。増税をするのであれば、政治力がある安倍政権の内に行いたいというのも分かります。

そんな政治力を持った安倍政権もコロナによって支持率はかつてない下降を見せています。

増税の半年後のコロナウイルスによる世界経済の大打撃、景気の回復に向け安倍政権がどのように動くのでしょうか。

「命を守る」のはもちろん、国の経済も守らなければ失業者や自殺者が増え、日本がさらに暗いムードになってしまいます。
今後どのような舵取りをするのか、注目です。

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https://atomic-temporary-151149301.wpcomstaging.com/2020/06/28/consumption-tax/

私がレジ袋有料化に賛成する理由

レジ袋有料化とは

2020年7月1日より、全国一律でレジ袋の有料化が始まりました。このレジ袋有料化の目的について経済産業省は「環境の為に一人ひとりのライフスタイルに改革を促す事」だと明記しています。また、日本では一人当たりのプラスチックゴミの廃棄量がアメリカに次いで世界で2番目という事から、プラスチックのゴミを少しずつ減らす目的もあります。

何故レジ袋有料化に賛成するのか

私がレジ袋有料化を支持する主な理由は、今住んでいる英国で同じような取り組みが行われ、成功したと思うからです。 イギリス政府は2015年にプラスチック問題に取り組むために、レジ袋を有料化しました(当時は一枚7円、現在は14円)。その結果、イギリスの大手スーパーで使用されたレジ袋の数を有料化される前の2014年と比べると、およそ90%減少しました(70億5000万袋相当)。

レジ袋の有料化はプラスチック問題を解決しません。ただ、イギリスではレジ袋有料化によって、イギリス人の日頃の行動に変化があり、環境に対する意識が高まりました。環境に対する意識が高くなったことによって、イギリス政府はプラスチック製のストローを禁止したり、ロンドン市内で渋滞税が課せられる範囲を広げるなどのさらなる環境に対する取り組みを発表しています。

このように、レジ袋の有料化によってライフスタイルを見直すきっかけになったり、環境に対する意識が高くなったり、また他の環境への取り組みがより後押しされるような国に日本も将来なってほしいです。

レジ袋有料化の反対意見に対する反論

「ゴミ袋の需要が増える」

レジ袋の有料化によって、ゴミ袋の需要が増えるのは仕方がないと個人的に思います。日本に住んでいないので、どれくらいゴミ袋の需要が増えるのかは想像できません。ただ、レジ袋有料化の影響でレジ袋の需要がどれくらい減り、ゴミ袋の需要がどれくらい増えるかはまだ分かりません。ただ長期的なレジ袋とゴミ袋の需要の変化を見てから、レジ袋有料化によってゴミ袋の需要が増えたのかを判断するのが適切だと思います。

「あまり効果がない」

レジ袋有料化はプラスチック問題の解決策だとは誰もが思っていません。しかし、レジ袋の有料化が始まったばかりなのに「あまり効果がない」 などの結論を出すのはあまりにも早すぎですし、 ライフスタイルの変化にはそれなりの時間がかかります。 レジ袋有料化はプラスチック問題に取り組むための重要なステップであります。 ですが、それよりもさらに重要なのは、この後に続く環境への取り組みや国民が環境に対する意識を変えることです。また、レジ袋有料化の効果だとしても数値では測定できないもの(有料化によって高まった国民の環境に対する意識など)も必ず存在しているので、数値だけに囚われずにいた方がいいと思います。

最後に

何回も述べた通り、レジ袋有料化はプラスチック問題の解決に向けた第一歩であり、解決策ではありません。ただ、イギリスではレジ袋を有料化したことによって、環境問題に対するイギリス国民の意識は大きく変わりました。今後日本で高まる環境問題に対する人々の声をしっかり反映する環境省の積極的な取り組みを期待しています。