平成生まれから見た「安倍政権の7年半」

平成生まれから見た「安倍政権の7年半」

ギリギリ滑り込みの、初記事です

皆さま、はじめまして。Kaoと申します。

Policyへの寄稿のご依頼をいただいたとき、「U25のインフルエンサーから、ぜひ自由な提言をしていただいて・・・」と説明をしてもらいました。挨拶もそこそこにお伝えしなくてはいけないのですが、実はわたしはすでにあと数週間で「U25」という枠組みから外れてしまう人間です。もしかすると、この初記事を最後に「お疲れ様でした!ハイさようなら!」と笑顔で通告されてしまうのかもしれません。いままで当たり前すぎて気付かなかったけど、U25って超イケてるワードに思えてきました。人は失うと知ってから初めて、大切なものに気が付くのですね・・・「U25」という響きに怯えながら、何とかU25のうちにこの記事を入稿したいと思います。

「安倍政権しか知らない」平成世代から見えるもの

さて先日、7年半という長期政権を担ってきた安倍首相が退任すると報道され、大きな話題となりました。各種メディアでは次期総裁を予想してみたり、これまでの7年半の功罪を振り返るような特集がこれでもか!と組まれています。

7年半というのは、私が高校2年生~現在(大学院生)に至るまでの期間です。恥ずかしながら高校2年生の終わりに政権交代が起こるまで、部活と行事と受験勉強のことしか頭になく、ほとんど政治や社会に関心を持っていなかった私からしてみると(実はそれがきっかけで政治学科を志すようになるのですが、長くなりそうなので別の機会に…)、実際のところ「ほぼ安倍政権の記憶しかない」のです。東日本大震災のときの菅政権、消費税増税のときの野田政権など、大きな出来事はうっすらと記憶にあるものの、ほとんどないに等しい状態です。そこでふと、「私の同世代や下の世代の子たちは、どういう認識なんだろう・・・?」と気になりました。7年半という長期政権が続いたことで、「私たち平成生まれ=U25の世代」からすると、肌感覚的には「ほとんど安倍政権しか知らない」「日本の政治=安倍政権であり、自民党政権」という認識になると思うのです。そこで、この「U25のメディア」のなかで、平成生まれと一緒に安倍政権を振り返る企画をやってみたら面白いのではないかと思い立ち、この記事を書いてみました。いわば、これが私たちの世代のオーラルヒストリー(但し、ごくごく一部ですが)になっていくことを考えると、実はけっこう重要な記録になるのではないか?とも思っています。

なお、私自身の主観はなるべく挟まないように注意しながら、聞き取りを行っています。この記事はあくまでも「平成生まれから見た安倍政権の7年半」を浮き彫りにすることが目的であり、この記事を通して特定の思想・主張・政党・個人を批判または賛同するものではないことを、ご理解いただければ幸いです。

平成生まれのAさんから見た「安倍政権の7年半」

今回話をきいたAさんは、平成10年(1998年)生まれで、現在は教育全般に関心があるそうです。中学2年生のときに第二次安倍政権が発足したといいます。
以下、私とAさんとのやり取りです。

聞き手:安倍政権になったのは、Aさんが何年生のときでしょうか?

Aさん:そうですね、あれはいつだったんだろう?(学歴・卒業年度早見表を見ながら)ええと、2012年12月は中学2年生ですね。だから私の場合、中2からずっと安倍政権という感じです。

聞き手:当時のことで、覚えていることはありますか。印象に残っている社会の出来事とか、政策とか、法律とか。

Aさん:なんかね、覚えているのは、毎年総理大臣が変わる*1のがイヤだなった思ってたんですよ。他の人が協力すれば何とかなるんじゃないのかとか、総理大臣のせいにするのはどうなんだ、みたいなことを思ってて、もっと安定した政権になったらいいなって思ってました。というのも、そもそも自分が理解できる政治のニュースが、総理大臣が変わりましたってことくらいだったから。汚職がどうとか、子ども手当*2がばらまきだ、ってくらいはわかるけど…それ以外はわからなかった。だから覚えているんだと思います。

民主党から自民党に変わったときも、あんまり印象に残ってないです。まあ、しょうがないのかな~くらい。民主党安定しなかったからな~みんな期待してたのにな~ってくらいでした。ずっと自民党で、超久しぶりに自民党になったってことはわかってたから、やっぱり自民党の方がしっかりしてるのかなって思っていました。

あと、安倍さんになると憲法が変わるのかも、くらいは知ってました。国政の記憶は結構なくて…中2ですよね。ぜんぜんないな…。東日本大震災は民主党でしたね、菅さんだったから。それは覚えてるんですけど、それ以降の政治のニュースがずっと知らなくて、18歳選挙権安保法制くらいから、また記憶があります。あと印象に残っていることはモリカケ問題かな。

聞き手:それは、なんで印象に残っている?

Aさんモリカケと安保法制については、両方同じくらいの理由。両方よくわからなくて、そもそも何に対してみんなそんなに反対しているんだろうって思って。自民党が一生懸命考えて出した結論だしいいんじゃないかとか、かしこいひとがそんなに考えて決めたんだからいいんじゃないかとか。モリカケも正直ちっちゃい問題で、もっと大事なことがあるじゃん、とも思ったんですよ。批判のデモをみて、なんか引いちゃったっていうのがあって。

聞き手:そっち(批判デモのマイナスイメージ)で覚えているんだね。

Aさん:まあでも後からは、安倍政権側も質問に対して答えなかったりして、そういうのはダメなんだなとか、悪いのかなって思ったけど。

聞き手:なんでそう思うようになったの?

Aさん:モリカケ問題については、割と最近、赤木さん、自殺した方*3のテレビをみて、ああそういう事なんだって思って。それは、安倍政権をあんまり信用できなくなったなっていうのがちょっとあります。安保法制も、最初は自衛隊のことは憲法に書いた方がいいんじゃないかっていうのを思っていたけど、憲法の草案をみて…何で見たんだっけな、ツイッターだったかな。その草案には反対だなって思ったりしました。

聞き手:何のツイッターですか?

Aさん:安倍政権が変えたいのは9条だけではありません、みたいな、家族の絆とかを強調しようとしています、みたいなツイートを見て、リンクを開いて憲法草案を読んで、へ~って思って。で、草案をみたんですけど、それには賛成できないなって思った。

聞き手:じゃあ、憲法改正反対派の人の主張を読んだのかな?憲法9条以外にも変えるんだったら、賛同できないなって思ったんですね。

Aさん:はい、確かそうだと思います。
あと幼児教育の無償化とか、大学の授業料無償化*4とかは、若者にやさしいみたいな印象があります。あと自民党は必ずしも外交だけじゃなくて、福祉政策もやっていて、正直参院選とかのマニフェスト見ても、野党との違いがわからないというか。自民党は福祉にも力入れてるんだなって印象はあります。
安倍政権の批判というよりは、文科省には結構不満があって。教員の働き方改革が進まないとか、部活動に対する新しい指針とか。英語の民間試験の話も勝手に進んでいる印象があったりとか、コロナ禍で運動会・文化祭をぜひやってくださいって文科大臣が言ってたけどあんまりわかってないなあとか。
教育については身近ですね。でも道徳教育に力を入れるとか、国を愛する態度に力を入れるとか言い出した時はどうなるんだろうって思ったけど、私の感覚では、その意向はそこまで反映されていないなって感じもしますよね。
あと政権批判をした教師がいたら教えてください*5っていう報道は覚えています。あれって結局どうなったんでしょう。それはさすがにダメでしょって思いました。今調べたんですけど消えていますね。

あと、外交ですね。韓国と、不可逆的な約束*6みたいなのをしたじゃないですか、あれは印象的でした。民主党時代には外交が上手くいかなかったという印象があったから、自民党はそれと比べて上手くいっている、信頼できるなって思います。
韓国に対しては、わたしは反省して謝罪すべきだと思っています。南京大虐殺はなかったみたいなこととか、小池さんが関東大震災の朝鮮人虐殺の日にツイート出さないとか、あれには反対しています。安倍さんが靖国神社に参拝するとかどうなのかなって思います。
でもそういうの、途中からしなくなりましたよね、参拝もいかなくなった*7し、あんまり表立って韓国嫌いとかそういうのを出さないので、いいかなって思っています。

あと、障がい者に合理的配慮をしましょうみたいな法律*8が出たんですよ。あんまりニュースにならなかったけど、みんな知ったらいいのにって思いました。今調べたら2015年って出てますね。これもツイッターで見たんだと思います。もともと障害のある人の生活をよくしたいって思っていたので、おお~って思いました。政治って政局に関するニュースが多いけど、もっとそれだけじゃなくて政策のニュースも流してほしいなって思ったのを覚えています。

聞き手:あと覚えていることは、他にありますか。

Aさん:安倍政権がやらなかったことは、教員の働き方改革同性愛とか同性婚女性の地位向上かなと思っています。夫婦別姓女性活躍と言っていたけどやりませんでしたね。要求があったのに、改革しなかった。それにも注目した方がいいかなって思います。

聞き手:改めて振り返ってみて、思うことがあれば。

Aさん:うーん…。半分信頼しつつ、不信感もちょっとあったという印象があります。例えばフリーランスの記者の質問に答えないらしいとか、一部のマスコミが政権の批判をしなくなったっていう話とかは不信感があるっていうか。あとは、コロナの時に記者会見しなかったとか、野党の批判やマスコミへの質問に真正面から答えなかった、という印象があります。

聞き手:真正面から答えないけど、でもやっぱり、信頼は失われない?

Aさん:うーん。真正面から答えないけど、でもちゃんとやってくれているしな、とも思って。だから信頼感はあったんじゃないかな。

聞き手:ありがとうございました。

聞き取りを終えて

Aさんの語りはごく断片的なものですが、1年ごとの首相交代、憲法改正、安保法案、18歳選挙権、教育無償化、モリカケ問題、日韓外相会談など、この7年半を振り返るうえで重要な視点がいくつも含まれていました。

そして「半分信頼しつつ、不信感もちょっとあった」というAさんの言葉には、現政権を取り巻くさまざまな側面が反映されているように感じます。

皆さまは、どのようにこの語りを受け止めたでしょうか。今後ももし機会があれば、U25の皆さんの声を引き続き聞き取ってみたいと思っていますので、「話をしてもいいよ」という方はぜひ個別でお声がけいただけたらと思います。

【注釈】

*1 2006年9月の第一次安倍政権~2012年12月の第二次安倍政権に至るまで、毎年1年ごとに首相が変化する期間が続いている(安倍・福田・麻生・鳩山・菅・野田)。

*2 15歳以下のこどもを扶養する保護者等に対し、金銭手当(給付金)を支給する制度。民主党の鳩山政権下で成立し、2010年4月から実施。

*3 学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)が自殺した問題。

*4 2019年10月から本格化した、通称「3つの教育無償化」。もともと公明党が中心に進めてきた教育政策で、①幼児教育の無償化 ②私立高校の無償化 ③高等教育の無償化のこと。2019年7月21日投開票の第25回参議院議員通常選挙の際、自民党と公明党が中心的争点としてアピールした。
公明党HP いよいよはじまる3つの教育無償化
公明党 公式HP
*5 2016年7月9日、自民党が「学校教育における政治的中立性に関する実態調査」と題し、教育現場で政治的中立性を逸脱する教諭の事例がなかったかを把握する調査協力をホームページ上で募り、これが教育現場への過度な介入であるとして批判された。現在、フォームは削除されている。

吉川慧 自民党「政治的中立を逸脱した教員を教えて」 ネット上で批判相次ぐ「密告を呼びかけるのか」(2016年07月09日)

*6 2015年12月28日の日韓外相会談でなされた、日韓間の慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日本政府と韓国政府との合意。
外務省HP 日韓外相会談(2015年12月28日)

*7 安倍首相の参拝については、2013年12月を最後に確認されていない。
時事ドットコムニュース「安倍首相、今年も靖国参拝見送り 終戦の日、玉串料奉納へ」(2020年08月09日)

*8 2013年6月制定、2016年4月1日に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称「障害者差別解消法」)。国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として定められた。
内閣府HP 障害を理由とする差別の解消の推進

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海外から見た安倍政権

海外から見た安倍政権

安倍政権の印象

長期政権は海外から見れば国の安定の象徴であり、安倍政権も例外ではありませんでした。また、この7年間安倍さんが首相を務めていた事によって、海外から日本に対する各国の信頼や期待も高まりました。

日本の外交は、争いを回避する為に友好関係を築く・保つ、という印象がもたれています。実際にイランや中国など欧米なら良い関係を保つのが難しい国でも、安倍首相はその国のトップと会談する事で、親密な関係を維持しています。これは海外ではあまり見られません。また、あの態度が変わりやすいトランプ大統領と良い関係を築けたことも、評価されています。

その一方で、少子高齢化、女性の社会進出などの問題が解決されていないことが海外から指摘されます。簡単に言えば、外交では評価されているものの、まだ内政で問題が残っているというのが海外から見た安倍政権の印象です。

辞任に対する大手海外メディアの反応

今回のニュース、海外メディアも一斉に報道しました。

CNN:アベノミクスは「経済ブームを引き起こすよりも衰退を回避することに成功したが、コロナウイルスの影響で日本はさらに景気後退に陥った」。少子高齢化に関しては、「日本の人口の3分の1以上が65歳を超えており、2019年の出生率は過去最高を記録した。高齢化する人口を支える労働者が必要にもかかわらず、安倍首相は日本が移民に対する国の厳格な規制を緩和することをほとんど避けた」。オリンピックについては「オリンピックの確保は安倍首相の国内での大きな成果の1つであったが、この成功は、コロナウイルスによって消えた」

BBC:「安倍首相は、アベノミクスで日本経済の成長を刺激したことと保守的なナショナリストとしての評判がある。しかし、軍事費を増やし、日本の防衛を強化したものの、憲法第9条を改正することはできなかった」

Washington Post:アベノミクスに関しては「安倍首相が日本が経済を回復するために必要とする構造改革を推進することに失敗した」。他のトピックでは「憲法第9条改正、女性の社会進出、少子高齢化、気候変動に取り組むことは出来なかった」。また、東京オリンピックについては、「コロナウイルスの影響で2021年まで大会を延期することを余儀なくされた。その上、安倍首相のコロナウイルス対策が問題視され、内閣支持率はここ数ヶ月で記録的な低水準に落ちた」。

辞任に対する海外の政治家の反応

安倍首相の突然の辞任に、各国首脳もコメントを発表しています。

台湾の蔡英文総統:安倍総理は在任中において台日関係に多大なる貢献をされ、今後どんな立場においても台湾にとってもっとも大事な友人であります。これからも、ともに台日関係をさらに強化していきたいと思います。どうぞお体を大事に、治療によって体調が万全になるように祈っております。

オーストラリアのモリソン首相:安倍首相は、誠実で良識の人だ。地域、世界において高位の政治家であり続け、開放的な貿易の強力な推進者で日本にとって卓越した国際外交官でもある。地域の繁栄と安定を支持し、第一級の経験豊富な政治家としてリーダーシップを発揮した。

イギリスのジョンソン首相:安倍氏は日本の首相として、日本のため、そして世界のために素晴らしいことを成し遂げた。安倍首相の下で、英日の通商、防衛、文化面での関係は強化された。長年の務めに感謝すると同時に、健康を祈る。

ドイツのメルケル首相:多国間主義を提唱し、ドイツと日本の間の大きな距離を共通の価値基準として明らかにした人物。心から一生懸命頑張ってくれたこと、そして一緒に働いてくれたことに感謝したい。

韓国大統領府報道官:安倍首相は韓日関係に大きな役割を果たしてきた。突然の辞任は残念だ。韓国は引き続き日本の新首相、新内閣と協力し、両国関係の改善を図る方針だ。

カナダのトルドー首相: 私たちが一緒に行ったすべての進歩に感謝します。あなたのビジョン、あなたのリーダーシップ、そしてあなたの友情は私たちの2つの国をより近づけました。 そして長年にわたり、より良い世界の構築に専念してくれて、ありがとうございました。 友人として、あなたの健康を願っています。

最後に

今頃気付いたのですが、私は安倍政権の間ずっと海外に住んでいました。振り返ってみれば安倍首相が日本に対する国際的な尊敬を維持した、と言っても過言では無いと思います。

もちろん、国内では安倍首相に対するイメージが全く違うと最初知ったときはビックリしました。日本では女性の社会進出、少子高齢化など様々な課題が残されている一方で、国際的には北朝鮮核問題、領土に関する争いなどがまだ続いています。これらの問題を次の総理は解決できるのかに注目していきたいです。

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