新・国民民主党ってどんな党?
自民党総裁選が注目を浴びる中、立憲民主党と国民民主党が合流し、総勢149人の最大野党が「新・立憲民主党」が設立されました。
国民民主党の多くの議員が新・立憲民主党に合流。その一方で、合流新党に参加しない議員ら15名によって「新・国民民主党」が立ち上げられました。
新・国民民主党がどんな党なのか、様々な視点で見ていきます。
新・国民民主党が目指すもの
これまでの多くの野党は、「○○反対」とか「○○中止」とか「何かをしない」ということに力を注いできました。
でも、口で反対とか中止とか言うのは非常に簡単です。しかし、それは果たして本当に国の役に立っているのでしょうか?勿論、野党には政権与党の監視をする役割もあると思います。ただ、反対や中止をするなら代わりに「○○をしよう」という対案を出すべきです。
国民民主党はそういった対案で勝負して、違う立場との対決ではなく、違う立場も巻き込んだ解決を目指す政策提案型の改革中道政党です。
新・国民民主党の議員の特性
まず、国民民主党所属の国会議員を色々な角度で見ていきましょう。
国民民主党の国会議員を男女の割合をグラフで表してみました。

国民民主党の最大の強みは「多様性」です。国会議員15名のうち5名が女性議員です。今の日本の国会議員の女性比率は未だに衆議院9.9%参議院22.9%全体で13.7%という惨憺たる状況です。
玉木代表も仰っておられましたが、爆発的な変化を起こすためには最小限必要だと言われる女性率、いわゆる「クリティカル・マス」と言われるものは概ね30%だと言われています。日本の公党の中で最も高い33%というこの比率は国民民主党が生まれる政策がどのような爆発的な変化を起こすのか本当に楽しみになります。
次は当選回数をグラフに表してみました。

玉木雄一郎代表(4回)や山尾志桜里(3回)衆議院議員、榛葉賀津也幹事長(4回)ら特に中堅議員と呼ばれる人達が多いように感じます。自民党でいうと初入閣の可能性が出てくるような層が厚いです。
各議員の政界に入る前の仕事をグラフにしてみました。

職業の定義について明確な基準を設けたわけではありませんが、大まかな傾向は掴んで頂けるのではないでしょうか。
国民民主党は元官僚や元日銀職員、元検察官など、建設的な提案をするための素晴らしい能力を持ったプロフェッショナルな議員の方々の集団だと思います。
新・国民民主党の政策
次は、国民民主党の政策について見ていきます。
まず、短期の政策で言うと、国民民主党はコロナの経済対策として、100兆円の経済プランを提案しています。とにかく今景気が落ち込んでいるので、それをいかに助けていく為にも追加の給付や消費減税などを提案しています。合わせて地域創生の交付金や医療機関への支援等も5月末に出しています。今こそこういった政策が必要になってくるのではないでしょうか。


次は中長期の政策について説明していきたいと思います。
アベノミクスで企業は過去最高益をあげることが出来ました。雇用情勢も改善されました。しかし、労働者に回るお金の分配率は43年ぶりの低水準となっています。
また、日本は累進税制をとっているのでお金持ちほど税金を払うというのが常なのですが、金融所得課税というのは分離課税でどんなにお金を持っていても20%という低率の税しかかからないので、高所得者ほど金融所得を沢山持っているので、トータルの合算した所得に対する所得税の負担率は1億円をピークにお金持ちになればなるほど下がっていくという構造になっています。
こういった「富の偏在の見直し」をしていくためにも、
- 消費税を含めた抜本的な税制の見直し
- 給付付き税額控除の導入(所得に応じたキャッシュバック)→既存の給付・減税措置を整理、マイナンバーの活用
- 金融所得課税・資産課税の強化→広くあまねく富を分配する「家計第一の経済政策」
→消費を軸とした「令和の好循環」をめざす
日本の潜在成長率や基礎的な国力の強さを作るのは、科学技術です。技術力こそ日本だと言われていたのが、日本は今、様々な分野で物凄く遅れをとっています。科学技術予算は、日本は平成の30年間ほとんど横ばいになっている中、アメリカは約2倍、中国は約20倍以上にもなっています。今中国の科学技術予算は米国の1.9倍、日本の6.7倍もあります。
カギは「人づくりなくして国づくりなし」です。
- 人材・科学技術投資で格差解消・「子ども国債」で教育・科学技術予算倍増・教育無償化や公教育の充実に図る・教育格差⇨社会的・経済的格差の「負の連鎖」を断ち切る
- 労働市場の流動性を高めて賃金アップ・「求職者ベーシックインカム」でセーフティネットを充実・安心して会社を離脱する権利を労働者に保障・経済システム全体の生産性と賃金をアップ
次に「行き過ぎたグローバリズム」の見直しです。
グローバリズムは確かに良い所もありますが、コロナを含むグローバリズムの副作用が出てきています。
- 世界に委ねる部分と国内で対応すべき部分の選別
- 戦略的に閉じる国家戦略
食料自給率アップ⇨第一次産業(農業など)を支援
エネルギー自給率アップ⇨グリーンリカバリー
食料安全保障に関しては、スイスは2017年に食料安全保障を憲法に明記しています。また、経済安全保障に関しては、今、良い技術を持っている日本の中小企業を中国企業がどんどん買い始めています。こういう所を守っていかなければなりません。そして、外交安全保障に関しては、対中国政策をどうするのかが重要です。
[box02 title=”食料安全保障”]
今までの農業
大規模化、集約化、輸出偏重
⇩
コロナ後の農業政策
農家・農地の維持、自給率重視
[/box02]
[box02 title=”経済安全保障”]
・経済低迷で割安な日本企業が外資に買収されるおそれ
・買収規制と資本的支援をセットで
→コロナでダメージを受けた日本企業を中国などの外国から守る
[/box02]
[box02 title=”外交安全保障”]
・尖閣を守るための「グレーゾーン」法制の設備
・英連邦やアセアンとの連携強化
「21世紀の日英同盟」
[/box02]
もう一つは「東京一極集中の見直し」です。
このコロナで東京というのはある意味リスクが高い地域だということも分かりました。また、1400万人まで増えた東京の人口が5月7月と初めて減少に転じました。こういった新しい動きを支えるような政策も必要になってきます。
そこには、やはりデジタルの技術、そしてそれを支えるデータ基本権のようなインフラ整備、また、地方空港や港湾も戦略的に整備をしていき、アジアの成長を上手く取り込んでいくことが大事になってきます。そして、権限や財源を地方に移していくのであれば、憲法の第8章「地方自治」の見直しも必要になってきます。
大都市集中、効率化偏重、中央集権
⇨感染拡大や医療崩壊、的外れで遅い国のコロナ対策
⇩
「21世紀の田園都市国家構想」 |
DX推進
⇨自動運転、ドローン宅配、遠隔教育、デジタル教育 |
データ基本権
⇨「新しい人権」として憲法に明記も |
地方空港・港湾の整備
⇨アジアの成長を取り込む |
権限・財源を地方に
⇨憲法第8章「地方自治」見直し |
まとめると国民民主党は、国家・地域・個人、この3つの尊厳を取り戻していくということを目指しています。その為には3つの見直しが必要になってきます。そして、この中に憲法上の議論があれば、そのことを避けることなく、しっかりと憲法審査会の場でしっかりと議論を深めていきます。
- グローバリズムの見直し→国家の尊厳
- 東京一極集中の見直し→地域の尊厳
- 富の偏在の見直し→個人の尊厳
⇩
コロナ後の国家像を示すための憲法改正草案を提出
合流新党(立憲民主党)との違い
今回の合流騒動で立憲民主党と国民民主党の違いがもっと分かりにくくなったと思うので、解説していきたいと思います。
まず、立憲民主党と国民民主党の1番大きな違いは、支持母体です。両党の全身の民主党・民進党は「日本労働組合総連合会(連合)」という労働組合が支持母体でした。それが2つに割れてしまったことにより、立憲民主党側には、自治労(自治体職員による組合)や私鉄総連(私鉄の労働組合)、日教組(先生の組合)など、かつての社会党を支持していた旧総評(日本労働組合総評議会)が支援しています。
また、国民民主党側には電力総連などの革命や過激な社会主義に反対した現実路線を取ってきた旧同盟(全日本労働総同盟)系が支援しています。
このように労働組合が2つに別れてしまった理由としては、原発政策の違いです。立憲民主党が「1日も早い原発ゼロ社会の実現」を掲げているのに対して、国民民主党は比較的現実的に「2030年代ゼロ」を掲げています。
そして、こういった支持母体の違いからも、共産党への両党の姿勢も異なります。旧総評系支持しているので立憲民主党は共産党への抵抗感が比較的少ないです。先述の通り国民民主党は、共産主義に反発する旧同盟系からの支援を受けているので、共産党への協力に抵抗感が強いです。
他にも立憲民主党は女系天皇を容認しているのに対して、国民民主党は男系の女性天皇を容認しています。また、憲法改正に関しても立憲民主党は議論に慎重な姿勢ですが、国民民主党は議論に積極的な姿勢です。
そういった点も含めて僕は現実的で政策提案型の右にも左にも偏らない改革中道政党である国民民主党を支持しています。
これは玉木代表が仰っておられましたが、
文学者のバーナード・ショーは、「少数派しか世界を変えることは出来ない」と言っています。時代を変えた者たちも初めは少数派だったはずです。僕はこの政策提案型の改革中道政党・国民民主党が古い政治に爆発的変化を起こしてくれることを大変期待しています。
この記事を読んで国民民主党に少しでも興味を持ってくれる人がいたら嬉しいです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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