米中新冷戦〜習近平主席の思惑〜
さて、随分と期間が空いてしまいましたが、前回記事の続きということで米中新冷戦を紐解いていきます。
新型コロナが全てをひっくり返した
しかし、トランプ大統領は2020年1月に湖北省武漢市で新型コロナウイルスが発生、感染爆発を起こすと「武漢ウイルス」などと連呼、更に中国への圧力を強めた。
こうしたトランプ大統領の強硬姿勢を見て中国はアメリカの顔色を伺うのを止め、時に強い言葉で反論し始めた。
トランプ大統領としては中国に圧力を加えていることを自国民にアピールすることで、自らの再選に役立てようという狙いがあったと思われる。しかし、逆に中国が強硬姿勢に転じてしまったため、難しい外交戦略を強いられることになってしまった。
本気になった中国
一方で、アメリカの批判は中国政府と中国国民には内政干渉と映る。中国中央テレビや環球時報などの政府系メディアは、過去にアメリカが大量破壊兵器の証拠もないのに一方的にイラクやリビアに戦争を仕掛けたことなどを例に挙げて、自己中心的なのはアメリカであり、アメリカこそが覇権主義である、と論じている。
こうした背景もあり、政府関係者のみならず一般の中国人、特に「00世代」と呼ばれる、中国が急速に経済発展を遂げた2000年代以降に生まれた青少年の間で「アメリカの傍若無人な他国への介入には徹底的に対抗する」といった考えが広がっている。
例えば香港問題をめぐっても、「一国ニ制度下の香港でアメリカに内政干渉させないためにも警察、公安機関の対策強化が必要だ」と考える人は僕がリアルに付き合っている在日中国人の中でも多い。
習近平国家主席が掲げる「強国路線」は一定の支持を受けている。
コロナ抑え込みが自信に
また、外から見ると民衆を抑圧しているだけのように見える中国共産党だが、国民から一定の支持を受けている。急速な経済の発展や生活の向上などを受け、少なくない中国人(前述したように特に青少年代)が自国に対するプライドを感じ、一党独裁に一定の正当性を与えている面がある。
特に新型コロナウイルス対策では、アメリカやヨーロッパ諸国などの主要先進国がパニック状態に陥っているのに対し、中国では現在、抑え込みに成功している。メディアや政府などによる宣伝効果もあって「中国の社会体制は西洋の社会体制に比べ優れた面もある」との受け止めが広がっている。
もっと慎重に、国内からの懸念
しかし、このような中国政府の強気の外交手腕に異論も出始めている。中国人民大学教授で、政府のアドバイザーを務める時殷弘(じ・いんこう)氏は、中国メディアの取材に対し「マイナスの相互過程を激化させてしまい、しかもアメリカの過激な反中タカ派に弾薬を与えてしまった」と対中圧力を強めてしまったと懸念を示している。
また、アメリカ以外の国との摩擦が強まっていることについても「我々は視線を全世界に向けなければならない。時々は耐え忍ぶことも出来ないだろうか。もし我々が敵を多く作りすぎれば非常に不利になる。我々は忍耐力と必要な謙虚な態度を持たなければならない」
「中国の能力には限界があることを認識しなければならない」とも述べていて、中国の国際社会での孤立に警鐘を鳴らしている。
最後に
前回記事よりも中立的な立場で執筆したつもりですが、いかがでしょうか?
この米中新冷戦の最も興味深い点は、中国とアメリカの双方共に、経済的、軍事的な面で世界的に強い点です。
90〜80年代にアメリカと対立したソ連は軍事的には強力でしたけれども、経済的には社会主義国であり弱く、最終的には崩壊を迎えます。
貿易摩擦で同じく、アメリカと対立した高度経済成長期の日本は経済的にはアメリカに負けず劣らずでしたが、軍事的には米軍に頼りきりで、結局アメリカに屈しました。
この2カ国の長所を併せ持つ国、中華人民共和国はアメリカに勝ち、21世紀の新たな覇権国になるのか? それとも「世界の警察」、アメリカ合衆国に負けるのか?
今後、米中関係に要注目です!
https://timetankcom.wordpress.com/2020/09/14/china-america/
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