【5分でわかる】日本の医師不足と地域偏在を解説

キーワード解説:過疎地域の医療

医師の数は地域によって違いがあり、医師は大都市に集中します。田舎に行けば行くほど医師数は少なくなり、患者は適正な医療を受けられない可能性があります。

足りないお医者さん

海外と比べても少ない、医師の数

厚生労働省の「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、意志の数は増えているものの、海外と比べて足りない傾向にあります。

参考:

平成30年12月31日現在における全国の届出「医師数」は327,210人で、「男」255,452人(総数の78.1%)、「女」71,758 人(同21.9%)となっています。

平成30 年届出医師数を平成28 年(以下「前回」という。)と比べると7,730 人、2.4%増加しています。

また、人口10 万対医師数は258.8 人で、前回に比べ7.1 人増加しています。

H30統計の概要

2006年の調査では、日本の人口1000人あたりの医師数は2.0でありますが、OECD平均では3.3であり、上位国では4.9に上ります。

日本は約3倍の差をつけられていることになります。

1000病床あたりの医師数では、日本は14.9ですがOECD平均で65.6、上位国では109.6となり7倍差ついています。

このように、日本では医師の絶対数が他国に比べて少ないのです。

なぜ足りない?

医師の数は地域によって違いがあり、医師は大都市に集中します。

東京に近くて県庁所在地のある、比較的人口密集した都会は医師が足りていますが、郊外に行って都心からどんどん離れるに従い医師の数は減ってきています。

最先端の医療技術があり、情報が多くあるので都会に集中する傾向があり、その影響で人口の少ない過疎地には、どうしても医師が不足するということになります。

田舎に行けば行くほど医師数は少なくなり、患者は適正な医療を受けられない可能性があります。

また僻地の勤務状況によっては、ほぼ24時間365日の拘束をされる勤務を要求する病院もあり、「体が持たない」と、辞めるケースもみられるようになっています。

医師数の絶対数が足りないということもありますが、地域の偏在による問題も挙げられるのです。

診療科による偏在

医師は診療科によっても偏在が見られます。

診療科別に見ると「内科」が 60,403 人(19.4%)と最も多く、次いで「整形外科」21,883 人(7.0%)、「小児科」17,321 人(5.6%)となっています。

これに対し、「救急科」は3,590人(1.2%)、「外科」は13,751人(4.4%)となり、診療科によって偏在していることがわかります。

女性医師は家庭に専念される方もおり、医師不足の遠因となっています。

平成 30(2018)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 -厚生労働省

まとめ

日本社会は少子高齢化で、人口も減っていきます。

これから多くの地域病院は減っていくことが予想されます。

地域の住民が安心して生活できるような医療を目指し、街一体となって医療を作っていくことが重要です。

新たな医療の形を作っていかなければなりません。

満足な医療を受けられない?過疎地域への医療とは

医療は、人が生きていく上で無くてはならないものです。しかし世の中には、環境によって十分な医療を受けられない人がいます。そうした過疎地・へき地の医療問題とはどのようなものなのでしょうか?詳しく解説していきます。

医師は増えるが医師不足は解消せず

厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、平成30年12月31日現在における全国の届出「医師数」は327,210人で、「男」255,452人(総数の78.1%)、「女」71,758 人(同21.9%)となっています。

平成30 年届出医師数を平成28 年と比べると7,730 人、2.4%増加しています。

また、人口10 万対医師数は258.8 人で、前回に比べ7.1 人増加しています。

この数字は一時的な増加ではなく、毎年医師の数は増加しています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/dl/gaikyo.pdf

医師の数が増えている今日において、なぜ「医師不足」が叫ばれているのでしょうか?

「医師の地域偏在」という問題

医師の数は地域によって違いがあり、医師は大都市に集中します。

東京に近くて県庁所在地のある、比較的人口密集した都会は医師が足りているが、郊外に行って都心からどんどん離れるに従い医師の数は減ってきています。

それは、最先端の医療施設や医療技術があり、情報が多くあることや、ビジネス的側面も関連していますが、とにかく医師は都会に集中する傾向があります。その傾向から人口の少ない過疎地には、どうしても医師が不足する、ということになります。

つまり、田舎に行けば行くほど医師数は少なくなり、患者は適正な医療を受けられない可能性がある、と言うことになるのです。

現在、日本には無医地区(医療機関がない地域)は705地区ほどあると言われており、北海道や広島県などいまだに満足に医療を受けられない地区もあります。

またそうした地域にで勤務していた医師に関しても、僻地での勤務状況によっては、ほぼ24時間365日の拘束を要求する病院もあり、医師側が「体が持たない」と、辞めるケースも多くみられるようになっています。

日本において、総数としては医師の数は増えているものの、地方に出向こうとする医師は少なく、今後もその傾向が改善される見込みはない状態です。

「無医地区」とは

無医地区とは、「医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点として、おおむね半径 4 kmの区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易に医療機関を利用することができない地区」と定義されています。

2014年の調査では過疎市町村における無医地区数は1978年の1,168地区から2014年には565地区へと減少しているものの、無医地区を有する市町村は2009年の203から2014年の216へと増加しています。

医師の総数が増えているため、無医地区数は減っているものの、市町村が合併を繰り返し、無医地区を有する数が増えました

過疎地の医療への取り組みは、これからの日本の医療をどう維持していくか、在り方を考えるうえで極めて重要です。

参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/6/106_1151/_pdf/-char/ja

世界レベルでも解消されていない問題

欧米各国て見ても、実は同じような問題は取り沙汰されています。

フランスでは、タウンミーティング(政治家との対話集会)が行われた際に、参加したある女性は、「心臓の専門医を受診するまでに、2年も待たなくてはならないというのは到底受け入れられない。それまでに死んでしまう」と訴えたことも。

医療はどこに住んでいても、患者が受けたいと望む医療がいつでも受けられる必要があります。過疎地・へき地における医師不足問題に、我々は取り組んで行く必要があるでしょう。